映画館がない長崎・五島で映画『こんにちは、母さん』特別上映会が開催され、舞台あいさつに主演の吉永小百合が登壇した
俳優の吉永小百合が17日、長崎・五島市で開催された映画『こんにちは、母さん』(公開中)の上映会で舞台あいさつを行った。2004年に福江中央シネマが閉館して以来19年間、映画館がない五島市民にスクリーンで最新の映画を楽しんでもらいたいという吉永の希望も受けて実施された上映会。当日、会場には朝早くから多くの島民が駆け付け、2回の上映で約2000人を超える観客(1回目:1025人/2回目:1039人)が来場した。
2011年に初めて五島を訪れて以来、五島ファンを公言する吉永。19年に公開された映画『最高の人生の見つけ方』の撮影の際にはロケ地が長崎市に決まると、五島列島での撮影を製作陣に提案したというエピソードも。その後、五島列島に自生する椿を核に地域活性を目指す「五島の椿プロジェクト」にも賛同し、同プロジェクトのサポーターも務めている。
22年4月に映画『いのちの停車場』の上映会を長崎・五島で実施し、「皆さまに見ていただけるような映画を作って、また五島に来ます」と再訪を誓っていた吉永。その約束を果たして吉永は「前作に続いてまたこうやって五島の皆様に、上映会という形でお会いできて本当にうれしいです」と喜びを語った。
今回の作品『こんにちは、母さん』については、「今の時代を前向きに生きるお母さんです。今回ミシンで足袋を縫うシーンがあるのですが、そのシーンは一生懸命練習したので、ぜひぜひそのシーンはみなさんにしっかり見てほしいと思います」と自身の役どころについて触れながら、注目ポイントを紹介した。
『こんにちは、母さん』は、山田洋次監督の90本目の作品。山田監督と吉永のタッグによる『母べえ』(08年)、『母と暮せば』(15年)に続く、「母」3部作の集大成となる作品だ。山田監督の演出について吉永は「山田組は号外というものが出るんです。撮影当日にせりふが変わったりして、シーンが膨らんでいくんですが、今回もそういった場面があって、こうしたらもっと良くなると現場で考え続ける監督の姿勢は、初めて映画に出させていただいた時から変わりません」と山田監督と長い時間、ともに映画を作り続けてきた吉永だからこそ語れる山田監督の一面を語った。
さらに、吉永演じる福江の息子・昭夫を演じた大泉洋とのエピソードとして、「撮影に入る前に大泉さんが小さい頃のお写真を見せていただいて、撮影に臨みました。その写真がかわいらしくて、本当の子どものように感じていました」と撮影を振り返った。
会場では、山田監督と大泉洋からビデオメッセージも流れ、「五島はとても懐かしい場所で、いまから47、8年ほど前ですかね、寅さんの撮影で行きました」と山田監督が撮影当時の想い出を振り返ると、大泉は「この映画には本当に吉永さんの魅力が詰まっています。もちろん僕の魅力も詰まっているわけですけど」と茶目っ気たっぷりにコメントし、会場が笑いで包まれた。さらに、五島の名物である五島うどんにも触れ「小百合さん、五島うどんをたくさん食べてきてください!」と最後まで大泉節を交えながら、会場にいる吉永にエールを送った。
その後、実際に吉永が愛用しているという五島の椿の化粧品をはじめとする豪華景品が当たる抽選会の催しを行うなど、観客との交流を深めた吉永。締めのあいさつでは「みなさんの胸の中にそれぞれお母さんがいらっしゃると思います。映画を観てご家族のこと、お母さんのことを感じてください」と映画について語り、最後は「私も映画の仕事を頑張って、次の映画でもまた、この場所に戻ってきたいと思います」と今後の俳優としての意欲とともに、再び五島への再訪を約束していた。