イタリア映画『ひまわり デジタルリマスター版』日本語吹替版の上映決定。7月28日から全国順次公開
日本が議長国を務めるG7広島サミット(19日~21日)に急きょ、対面で出席することになったウクライナのゼレンスキー大統領。昨年2月にロシアのウクライナに対する軍事侵攻が始まってから、再注目されているのがイタリア映画『ひまわり』(1970年)だ。
【画像】ジョバンナ、アントニオそれぞれにフォーカスしたビジュアル
『ひまわり』は、『靴みがき』(46年)、『自転車泥棒』(48年)などで知られるネオレアリズモの名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が、互いに思いながらも戦争によって引き裂かれた夫婦の姿を、ヘンリー・マンシーニによるあまりにも有名な甘く切ないテーマ曲に乗せて描き出す悲しき愛の物語。
有名なひまわり畑のシーンは、公開時よりウクライナの首都キーウから南へ500キロほど行ったヘルソン州で撮影されたものだと伝わっていたが、正しくはポルタワ州だったことが判明。いずれにしても現在の戦争で大きな被害を受けている。
ひまわりはウクライナの国花でもあり、ロシアによる侵攻が始まるとSNS上ではひまわりの絵や写真をアップし、ウクライナの安全と平和を祈る投稿が相次いだ。戦争に引き裂かれた夫婦を描いた本作中には、「イタリア兵とロシア兵が埋まっています。ドイツ軍の命令で穴まで掘らされて。ご覧なさい、ひまわりやどの木の下にも麦畑にもイタリア兵やロシアの捕虜が埋まっています。そして無数のロシアの農民も老人、女、子ども……」とのせりふもある。一面に広がる美しいひまわり畑が、戦争は残酷であり、悲惨な結果をもたらすということ、を訴え続ける名作だ。
昨年も日本国内で100館以上で再上映された『ひまわり』だが、多くの要望を受けて、吹替版の作成が実現。新たに修復を加えデジタル・リマスターした『ひまわり デジタルリマスター版』日本語字幕版&日本語吹替版が、7月28日より東京の新宿シネマカリテ、立川シネマシティ、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開されることが決定した。パンフレットほか、グッズ制作を予定しており、売上の一部は、今回の戦禍における人道支援のため寄付に充てられる。
今回の再公開に向けて作成された3種類の新ビジュアルは、ソ連の最前線に送られるアントニオ(マルチェロ・マストロヤン二)と見送るジョバンナ(ソフィア・ローレン)、戦争により引き裂かれる二人を表したメインビジュアルのほか、ジョバンナとアントニオ、それぞれにフォーカス。ジョバンナは、アントニオを探し、本人と思わしき人物を見つけ出すも、否定され、去ってしまった後の絶妙な表情をヒックアップ。アントニオは、会いたい一心からジョバンナに電話をかけるも、「私はひとりではないのよ」と告げられた時の衝撃的な場面のものだ。どれも本作において決定的なシーンが切り取られており、戦争が生み出した悲劇を痛感させられる点に注目だ。
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