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マカロニえんぴつ、声出し解禁ツアー初日で再発見した“あなたとの居場所”「どんな絶望があっても、ここがあればいい」

全国ツアー『マカロックツアーvol.15 〜あやかりたい!煌めきビューチフルセッション編〜』を開催したマカロニえんぴつ Photo by 浜野カズシの画像

全国ツアー『マカロックツアーvol.15 〜あやかりたい!煌めきビューチフルセッション編〜』を開催したマカロニえんぴつ Photo by 浜野カズシ

 4人組ロックバンド・マカロニえんぴつが19日、東京・Zepp DiverCity Tokyoにて、全国ツアー『マカロックツアーvol.15 〜あやかりたい!煌めきビューチフルセッション編〜』を締めくくった。本記事では、4月6日に行われたツアー初日、神奈川・KT Zepp Yokohama公演をレポートする。

【ライブ写真】マカロニえんぴつが“声出し解禁”ツアー初日で生み出した感動的な景色

 全国6都市のZeppにて開催された本ツアーは、全ヶ所2Days公演となり、1日目がワンマン、2日目が対バンライブという形式で行われた。各地のゲストには、Vaundy(横浜)、くるり(札幌)、サンボマスター(名古屋)、ウルフルズ(福岡)、My Hair is Bad(大阪)といった豪華なアーティストたちが名を連ね、ラストの東京公演では、はっとり(Vo&Gt)がバンドを始めるきっかけとなった憧れのバンド・UNICORNが参加した。

 おなじみのオープニングSEであるThe Beatlesの「Hey Bulldog」が流れ、メンバー4人は大きな手拍子と歓声に呼び込まれるようにして登場した。開幕に選ばれたのは「PRAY.」。音源と同じく、サイレンの音が会場を即座にヒートアップさせ、それと呼応するようにホーンサウンドを採り入れたバンドの演奏も熱を帯びていく。そして、はっとり(Vo&Gt)が「よろしく。楽しんでいってね」と伝え、バンドは軽快な4ビートで踊らせる「レモンパイ」や「眺めがいいね」を披露すると、ファンも思い思いに体を揺らしながらジャンプやハンズアップで応えていった。

 久しぶりの声出し解禁ライブでもあったこの日、「遠心」を届けた後にはフロアからメンバーの名前を呼ぶ声も上がった。はっとり(Vo&Gt)はファンに向けて「もう声が出せるみたいで」とさらに歓声を促しながら、「よかったね、こういう日が戻ってきて。今までのライブは戻ってこないって覚悟したもん。その中で無観客だとか、なんとか楽しみ方を模索しながらやってきましたが…我々の勝利です」と胸を張った。

■ついに実現した“対話”への喜びを音に…4人がこの日鳴らした楽器群

 バンドはそういった喜びを音色にも乗せて届けていく。「働く女」でジャズテイストのピアノを披露した長谷川大喜(Key&Cho)は、「MUSIC」でシーケンシャルなアプローチも併用し、ミニシンセのツマミをリアルタイムに操作するアグレッシブなプレイでも魅了。さらに、NordやYamaha、Hammondといった数々のキーボードを使い分け、多彩な音色でファンを楽しませた。

 高野賢也(Ba&Cho)は、複数本のBlack Smokerの5弦ベース・BETA P-5を軸にしつつ、初披露となった新曲「TIME.」ではスラップも採り入れ、演奏スタイルやさまざまな奏法でグルーヴを生み出す。さらに、「リンジュー・ラヴ」では曲間でシンセベースを駆使し、雰囲気を変化させる場面もあった。

 田辺由明(Gt&Cho)は、もはや自身のアイコンとも言える赤色のGibson製Flying Vのほか、カスタムモデルなども含めた計5本のVスタイルのギターを登場させ、楽曲ごとに異なるキャラクターを提示。心地よいクランチカッティングを響かせた「働く女」や、ワウプレイを採り入れた「溶けない」、テクニカルな速弾きも披露した「哀しみロック」など、演奏面の振り幅でも魅せた。

 はっとりは、使用ギターをVスタイルで統一した田辺とは対照的に、ビグスビー搭載のGibson製ExplorerやGibson Custom製Historic Collection 1959 Les Paul Standard Reissue、Epiphone製Wilshire、Fender製Stratocasterなど、さまざまなギターを起用。これらを用い、田辺とのユニゾンソロも披露した「MUSIC」や、指弾きとピック弾きの音色で変化をつけた「溶けない」など、ギタリストとしての懐の深さを見せつけた。

■「楽しいってさ、自分になれるってことだと思う」――4人とファンたちが見つけた自分に戻るための居場所

 中盤のMCでは、「すごく忙しくしていたよ。(前回の)ツアーが終わった翌週にはレコーディングをしていたし。おかげでいろいろな発表ができております」といい、はっとりが映画『アイスクリームフィーバー』(7月14日公開)に出演することや、日本テレビ系『DayDay.』のテーマソングとして新曲「ペパーミント」を書き下ろしたことなどを報告。

 続けてはっとりは、「なんだかんだで10年くらいやっています」と去年10周年を迎えたことに言及し、「集合体は進んでいるもんでしょ? 振り返ってばっかじゃちょっとね…ということで、11年目は新人のつもりで、こうやってライブハウスを回っていく」と、今回のツアーに寄せる決意も吐露した。そして「去年のことをアツく思い返しながら、これからのことを見通しながら歌います」と、「TIME.」を初披露した。

 そこからの展開はまさに怒とう。2023年の第1弾作品である「リンジュー・ラヴ」から初の流通盤に収録された「幸せやそれに似たもの」まで、文字通りに新旧の楽曲を織り混ぜながら、最新のアンサンブルでバンドとしての現在地を明示していった。

 はっとりは、本編終盤のMCで「楽しいね。楽しすぎて演奏がいい意味でぐちゃぐちゃになっている。こういう夜を本当に待っていた」と“念願の景色”に思いをはせながら、「楽しいってさ、笑えるとか泣けるとか、騒げるとかうれしいとか…そういうのと違って、自分になれるってことだと思うんです」と持論を伝える。

 続けて「おかしな話だけど、自分になろうとしないとなれない瞬間が増えましたね」と語りかけ、「俺はこのバンドで歌っているとき、いつも楽しくてしょうがない。ほかにどんな絶望があっても、ここがあればいいやって思える」といい、ファンに「あなたにとってそんな場所はどこですか? いつですか?」と問いかけつつ「今だよね。また自分を忘れたら、ここで会いましょう。あなたが見つけた、マカロニえんぴつという音楽でした」と頭を下げ、<ハロー絶望>と優しく歌い上げる「ヤングアダルト」で本編を締めくくった。

 そしてアンコールでは、会場中から響くクラップや「ラララ」の合唱も“バンドメンバー”として採り入れ、代表曲「なんでもないよ、」を披露。「こんなにリラックスして迎えた初日は今までありませんでした。やっぱり声が出せるっていいね」とこの日一番の笑顔でつぶやきながら、壮大なストリングスサウンドをたたえた「hope」で幕を下ろし、約1ヶ月半のツアーへと旅立った。

■『マカロックツアーvol.15 〜あやかりたい!煌めきビューチフルセッション編〜』KT Zepp Yokohama公演セットリスト
01. PRAY.
02. レモンパイ
03. 眺めがいいね
04. 遠心
05. 働く女
06. MUSIC
07. 八月の陽炎
08. ブルーベリー・ナイツ
09. TIME.
10. 溶けない
11. リンジュー・ラブ
12. two much pain
13. 幸せやそれに似たもの
14. 哀しみロック
15. ワンドリンク別
16. 洗濯機と君とラヂオ
17. 星が泳ぐ
18. ヤングアダルト
En1. なんでもないよ、
En2. hope

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