プレゼント・クーポンPRESENT COUPON

フェリアSNSSOCIAL

映画・アニメ

毎日欠かさず新たな映画を視聴する男マーク・カズンズ監督 映画は現代の病に効く薬

ドキュメンタリー映画『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』(公開中)マーク・カズンズ監督、ナレーションも担当しているの画像

ドキュメンタリー映画『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』(公開中)マーク・カズンズ監督、ナレーションも担当している

 公開中のドキュメンタリー映画『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』は、マーク・カズンズ監督が、世界中で制作され、公開されている多種多様な映画を独自の批評的視点で整理し、紹介している究極のキュレーション映画であり、サンプリング映画だ。知的好奇心やさらなる探求心をかき立てる、と話題を呼んでいる。

【動画】『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』予告編

 「映画館だけでなく、ストリーミングサービスもあって、あまりにも選択肢が多い。これだけありすぎると混乱して何を観たらいいのかわからない、という状況も生まれていますよね。そこでまさに私が登場する。映画を求めている人に指針を与える、それが私の仕事だと思っています」と語るカズンズ監督に、オンラインインタビューを実施。これまでの人生で鑑賞した総本数は1万6000本超! 365日欠かさず新たな映画を視聴する、“究極の映画オタク”であるカズンズ監督の日常、そして映画愛の源泉に迫った。

 1965年5月3日生まれ。北アイルランド系スコットランド人のドキュメンタリー監督であり作家。映画解説番組のインタビュアー/司会、各国の映画祭でプログラマーも務めている。2004年に発表した著書「The Story of Film」(日本未発売)が、タイムズ紙にて“映画について書かれた本の中で最も素晴らしい本”と評され、同書をきっかけに、映画が誕生した約120年前から遡り、約1000作品を取り上げたTVシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」(11年/JAIHOにて配信中)を監督。

 本作は、本・TVシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」を経て製作された、シリーズ最新作となる。2010~21年の11年間に公開された、ハリウッド・メジャー大作からアートハウス系、知られざる日本未公開作まで、厳選された多種多様な111本の映画を紹介している。

――毎日、映画をご覧になっているそうですが、どのような生活を送っているのでしょうか?

【カズンズ監督】朝6時に起きて、午後1時までは仕事の時間。その後、映画館に行って映画を観て、帰ってきて、午後4時からまた仕事をします。スペインでシエスタの習慣がありますよね。お昼寝の代わりに僕は映画を見るんです(笑)。

――毎日、欠かさず映画を見るようになったきっかけは?

【カズンズ監督】僕は、自分で言うのもなんだけど、すごく働き者なんだ。朝から働いてる僕にとって映画を観ることは、ご飯を食べることと一緒。いや栄養剤みたいな感じかな。人には自分のためだけの時間が必要だ。1日の中で自由に遊べる時間を確保しておきたい。その時間を僕は映画を観ることに使っている。いろいろインスパイアされて、仕事にも活かせるから、映画を観る時間だけは確保したいと思って。さっき言ったようなルーティンの生活をしています。

――いつから映画好きになったのですか?

【カズンズ監督】8歳半くらいかな。当時の僕は神経質でシャイな子どもだった。だけど、映画を観ている間は、映画の世界に圧倒されて、日常を忘れて、ホリデー気分になれる。現実逃避できる方法を見つけたんですね。それが今も続いているんです。

――『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』を作るきっかけは?

【カズンズ監督】僕はこれまで、人生の素晴らしさを表現する作品、人生讃歌を作ってきました。この作品もまさにそれなんですが、全世界の映画を網羅しようと思いました。各国の政治家たちは、ほかとの違いを強調して、ナショナリズムを鼓舞する風潮が高まっているのを感じて、その逆を行こうと思ったんです。いかに映画、映画言語というのは、グローバルで普遍的なものか、それを思いっきり、情熱を込めて伝えたいと思ったんです。

■自分探しをしている人にこそ映画体験を

――111本分の映画を効率よく知ることができる、忙しい人にぴったりなお得な映画だと思いました。

【カズンズ監督】そうですね。この映画はまさに試食体験みたいな感じ。アラブ世界にこんな映画があるけどかじってみて、インド映画でこんなのあるけど、知らなかったんじゃない?と、サンプリング体験できる映画です。

――昭和の日本映画界で活躍した「田中絹代」の大ファンで、彼女の名前を彫ったタトゥーを写真で観て驚きました。日本映画もたくさんご覧になっているのですか?

【カズンズ監督】はい、たくさん観ています。映画文化を生み出し、発展させたのはヨーロッパであり、アメリカだけど、日本映画が何をしたかというと、映画文化をより成熟させた。映画にニュアンスや奥行きを与えたのは日本映画の作品群だと思います。アメリカの映画は男性が主人公であることが多く、個人主義で、ヒーローものが多い。日本映画の優れた作品の中には、女性や子どもを描いているものがある点ですね。しかも、ドキュメンタリーのようにリアルに描いているのが日本の作品だと思います。

――カズンズ監督のように人生を捧げられる、情熱を注げるものがあるって、素晴らしいですね。そこまで夢中になる映画の魅力とは?

【カズンズ監督】21世紀に入ってからの人々の傾向として、半分寝ているんじゃないか、と思うことがあるんですね。何に情熱を注いだらいいかわからない、という若者も多い気がします。ある意味それを“病”とするならば、その治療、薬に最適なのが映画だと思うんです。映画館で映画の世界に没入すると、その時間だけは、自分が抱えている問題を忘れられる。ひとまず自分のことは考えず、映画に身を任せてみてください。きっと映画が魔法をかけてくれます。あなたを歓迎してくれる映画は、世界のどこかに必ずあります。映画の世界は安全地帯だと思ってください。

 映画の中にはいろんなアイデンティティを持った、いろんな衣装を身にまとったキャラクターが登場しますよね、そういうのを見ていくと、自分が好きだと思うキャラクターがわかってきて、自分が何を求めているのか、気づけたりする。自分探しをしている人にこそ映画体験をおすすめしたいです。いま、世界中が非常に混沌としています。そんな世界を映画は救ってくれると思う。救済の役目を果たせるのが、映画なのではないでしょうか。

――監督はこれからも映画を毎日観る生活を続けられると思いますが、目標にしていることはありますか?

【カズンズ監督】映画には未知を発見する喜びがあります。自分の知らないことを教えてくれて、日々発見がある。予備知識がある作品と全くない作品があったとしたら、僕は絶対後者を選ぶタイプです。常に発見を求めて未開の地を目指しています。それが自分にとって生きるってことなのかな。若々しさを保てるようにも思うし。これからも、新しい発見がある毎日を送りたいです。

ORICON NEWSは、オリコン株式会社から提供を受けています。著作権は同社に帰属しており、記事、写真などの無断転用を禁じます。

こちらの記事もどうぞ