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「“陰キャ営業”が忌避されるようになってきている」ぼっちコンテンツが“メジャー”化する今 “陰キャ”の現在地とは?

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チャンネル登録者数37.4万人が彼の“陰キャ”ぶりにトリコ? YouTuber・コスメティック田中

 “陰キャ”“コミュ障”――。インターネット掲示板から生まれたネガティブな意味合いを持つ言葉だが、これ自認し、コンテンツ化しているのがコスメティック田中だ。チャンネル登録者数は37.3万人。さらには陽キャの代表とも言える人気YouTuber「コムドット」やまとともコラボ動画を配信し、145万再生されるなど好評を博した。ここ数年、エンタメとしていわゆるぼっちコンテンツは広がりを見せ、“ぼっち”的趣味を公言するタレントもいいるが、それに関して彼は「意外とマイノリティじゃなかったと分かってきただけなのでは?」と分析する。それでは“ぼっち”“陰キャ”の現在地とは? 

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■「そもそも自分のファンと言ってる人に向けてこの本を出してない」YouTuberがぼっちに向けてあえて“啓発書”を書いたワケ

 「なぜか某有名グループリーダーさんと相互フォローになって約1週間、冷戦状態が続いています…。スマン、やっぱワイから話しかけるのはこわいや…(本人に見られる前に消したい)」。これは4月16日、コスメティック田中がSNSに投稿したツイートだ。これに、当人であるコムドット・やまとが反応。2人のコラボ動画が実現した。先述の通り、これは145万再生と人気動画に。さらにコスメティック田中は先日、書籍『正しい孤独マインド入門』(KADOKAWA)まで刊行した。

 「本の依頼は、よくある“案件”の一つみたいなイメージで、そんなに本気で受け入れようみたいな感じはなかったですね。陰キャとかコミュ障とか結構センシティブな問題なので。そんな堂々と本にしていいのか、僕自身も結構うがった見方をしていたのですが、レビューを見ると結構いい声をいただけて安心しました」(コスメティック田中/以下同)

 同書は、本気で人間と関わるのが苦手な彼が“孤独”について真摯に考察している。啓発書としての側面もあり、書店でもYouTuber本の棚ではなく、心理学の棚に置かれるなど、KADOKAWA編集部内でも「社内のYouTuber書籍はエッセイが多く、珍しい立ち位置の本ができた」と話題になっている。だが“陰キャ”でこっそりやっていたからこそ人気だった面があるはず。これにファンからは「インディーズバンドがメジャーで人気になって寂しい」的な声はなかったのか。

「ありましたけど、どちらかと言うと僕はその“裏切り”が結構好きなんですよ。例えば、コムドット・やまとさんとのコラボ動画も、やまとさんちょっと怖いみたいなイメージがある中で、彼のいい人の部分を敢えて見せた。そもそも僕は自分のファンと言ってる人に向けてこの本を出してないし、逆に僕を知らない人に届いてほしい。認知拡大のメリットを取って書いたんです。何事もメリット、デメリットについて考えちゃうクセもあります」

■人生がうまく行ってない人ほど「勝ち負け」が価値基準に? 「普通の、毎日幸せな人は勝ち負けの段階を通り過ぎている」

 そもそもYouTuber本は飽和しているという認識もあった。「YouTuberの本って、その人のキャラ在りき。そうではなく、僕の本じゃなくても価値があるものにしたいと。ただ、書く専門家じゃないのに、こんな偉そうに色々と書いていいのかとも思いました」

 同書には「陰キャは勝ち負けが基準になっている、どこかで勝たなきゃおかしいだろ」との記述がある。「多分、普通の、毎日幸せな人は勝ち負けの段階を通り過ぎて、幸せを追い求めるんでしょうけど、逆に普段うまくいってない人は、そこに到達する前に勝ち負けでマウントを取るんでしょうね」

 では本の出版やYouTuberとしてチャンネル登録者数の増加が彼にとって“勝ち”かと言えば、そうでもないらしい。「褒める中にもロジックがちゃんとあればいいんですけど、ロジックなしに手放しに褒めてくる人は“何が分かってるんだ”って思ってしまう。例えばTwitterとかで『最近落ち込んでます』と投稿したら、『気にしなくていいですよ』とか、どうせそういうリプが来るんでしょうけど、そんなのまったく心に響かない。陰キャは、全部に意思決定の基準をつけたいみたいなところがありますから」

 そんな彼は普段、豆電球を一個つけた薄暗がりの中で生活している。窓には防音のためにダンボール。当然、陽は入らず、電気もつけない。だが今回のリモート取材や、動画撮影のためには、やる気を出すためにスイッチをつける。

「やまとさんや料理研究家のリュウジさんは本当に素の感じで動画制作されている印象がありました。僕はどこかで動画用の陰キャを用意しているんです。0を1にするのではなく、80を100にしてるみたいな。カメラのスイッチ入れるまでは本当に無気力だったり声のテンションももう一段低かったり。彼らのようにありのままの姿を動画で見せているかといえばそうではないです」

■YouTuberとしての人気はかつてのクラスメイトへの復讐? 「見てろよ、みたいな。でも見られたくない(笑)」

 ところで昨今は『孤独のグルメ』『ゆるきゃん△』などのぼっちコンテンツや、一人焼肉一人カラオケなど、ぼっち系趣味を公言する人も増えている。それについては「人と関わるのが苦手だったりする人たちがSNSやネット掲示板でそれを口にできるようになった。その結果、意外とマイノリティじゃなかったと分かってきただけなのでは? あと陰キャな部分は誰にもあるのでしょうから」と分析している。

 「とはいえ、直近では“陰キャ営業”みたいなものが忌避されるような逆張り傾向が出てきています。いかに自分は『本物かどうか』を実感させられるかが重要になっているようにかんじています。ただ自分のキャラクターを固定することは最終的に自分を行き詰らせるものだと思うので諸刃の剣だと思いますね」

 昨今はAdoのように“陰キャ”属性が垣間見える人が“可愛い”と捉えられる時代に入ったとも分析する。またタレントがアニメファンを自認したり、eスポーツが盛んになるなど「元々、過去は学校内のクラスカーストで下だった存在が、上下ではなく、そういう人たちもいると認められる時代になった。僕からすればそれは当たり前の形」と多様化の社会も実感している。

 編集の伊藤氏に彼について聞くと「いい意味で人間ではなく生物感がある。ずっとウォッチしていたい。動向も気になるし、実はコミュニケーション能力や言語センスも高く、論理的。尊敬できるし学ぶべきところが多い。考え方や行動指針はロジカルだが、データでは表せない人懐っこさや人間らしさもあるので、論理的な魅力と本能的な魅力が混同する“田中さん”という生き物のように感じる」という。受けて彼は「それはニコニコ動画や2ch(現在は5ch)で学んだセンス。人気が出るのも周囲への復讐…というと言葉が強すぎるけど、似たところがあった。見てろよ、みたいな。でも見られたくない(笑)。目指すのは世界の人気者。これは内輪で人気が出ると内輪とそれ以外というくくりができてしまうのが嫌なだけで、周囲とは“平等”な関係でいたいんです」と田中節を炸裂させる。

 「弱点はいずれキャラクターになる」と、かの天才物理学者・アインシュタインは言った。その通りに、また彼が指摘するように、今は“陰キャ”が“可愛い”というキャラに変わりつつある。大事なのは弱みを改善することでも向き合いすぎることでもない。自分の弱点を赦し、共に生きていくことこそ、かけがえのない“個性”を生む秘訣なのだと、彼の言葉から感じた。

(文/衣輪晋一)

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