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「桜塚やっくんの夢を追い続けないと」、がんで声を失っても…元バンドメンバーが女装を続ける理由

バンドメンバーだった故・桜塚やっくんと伊織殿さん(写真:本人提供)の画像

バンドメンバーだった故・桜塚やっくんと伊織殿さん(写真:本人提供)

 現在、SNSなどで自身の女装写真をアップしている、女装研究家・伊織殿さん(@ioridonodono)。2013年に事故で他界したお笑い芸人・桜塚やっくん(享年37)と共に、“美女♂men”という女装バンドを組んでいたという。やっくんが亡くなった後も音楽活動は続けていたが、今度は自身ががんに侵されて声を失ってしまう。目の前で亡くしたやっくんとマネージャーを思い、「泣きながらでも立ち上がって、ふたりの分も夢を追いかけ続けないといけない」と立ち直るまでの思い、そして「これしかない」と決意した女装への考えを明かした。

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■桜塚やっくんの死、がんで失った声、「今の自分に残されたものは何だ?」

――女装に興味を持ち、取り組むようになった理由・きっかけを教えてください。

【伊織殿】もともとは地元の兵庫県でサラリーマンをしていたんですけど、どうしても叶えたい夢がありまして。会社を辞め、思いきって上京したところ、とあるテレビ番組でお笑いタレントの桜塚やっくんが「女装バンドを結成する」と発表しているのを見かけたんです。そこで、メンバーのオーディションをする…とのことで、ぜひ参加したい!と思ったんですけど、応募条件が「女装をすること」だったんです。

――もともとそうした嗜好があったのではなく、オーディションに参加するために女装を始めた…と?

【伊織殿】そうなります。それまで、まさか自分が女装をするとは思ってもいなかったので、嫌々やっていた…というのが正直な感想です。

――実際に女装をするようになって、心境に変化はありましたか?

【伊織殿】女装に関してはあくまでも仕事だとわりきっていました。そのうえで音楽を生業にしていたのですが、2019年、自分の身体ががんに侵されていることがわかって。音楽活動を続けることが不可能になってしまったんです。

――ある日突然、そのような状況になってしまったと?

【伊織殿】がんは私から声を奪っていって…。歌は歌えなくなり、日常的な会話も最低限のやり取りしかできなくなってしまいました。そうなると当然、仕事も辞めざるを得ず、絶望のどん底にいたのですが、そんな中で「今の自分に残されたものは何だ?」と自問自答したところ、そこにあったのが“女装”だったんです。もう自分にはこれしかないと思った瞬間、それまで周りの目を気にして抑えていたものが一気に弾けて。そこからようやく、女装に対して真剣に女装に向き合うようになりました。

――女装活動に取り組むうえでのポリシーやこだわりは?

【伊織殿】こだわっているのは、「SNS上の伊織殿は女性である」というところですね。私自身が理想とする女性像を自分自身で体現したくて。“圧倒的な美”を目標に、日々メイクや研究に励んでいます。自分でも最高に美しいと思える伊織殿作品を、これからも発信していきたいと考えています。

――活動を始められてから現在に至るまでで、周囲の反応はどのように変わっていったのでしょう?

【伊織殿】女装を始めたばかりの頃は悲惨でした。「気持ち悪い」、「青髭が…」、「オ○マにしか見えない…」、「顔がそもそも男」など、数えきれないくらい悪い評価をいただいていましたね。家族や地元の友人からも「もうやめてほしい」「周りの人には言えない」など、さんざん言われましたが、本気で女装に取り組むようになってからは、少しずつ評価が変わっていきました。

――具体的に言いますと?

【伊織殿】容姿について「キモイ」と言われることが少なくなりました。最近では「どうやったら可愛くなれるの?」など、質問される機会も増えてきました。

――寄せられたコメントや言われたことで、印象的だったものはありますか?

【伊織殿】応援してくれるファンの方たちからいただいた、「あなたの後ろには私たちがいる」というメッセージですね。人生でいちばんつらくて悲しかったときに、この言葉をいただいて、本当に救われた気持ちになりました。今こうして質問に答えているあいだにも、当時の感情がこみ上げてきて。改めて、ファンの皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたいです。

■「メイクが映えない顔」でも攻略法は必ずある、増加するメイク男子にも期待

――ちなみに、お仕事の際やプライベートで出かけられるときなどは、どのような服装なのでしょうか?

【伊織殿】普段は地味な男性の格好をしています。それもあって、女装して外出する予定が入ると、一気にテンションが上がります!

――恋愛対象は男性/女性のどちらになりますか?

【伊織殿】恋愛対象は基本的に女性ですが、そこにこだわりはないです。そのとき好きになった方が男性なら、すんなり受け入れますね。

――現在の美麗な容姿にたどり着くまでに取り組んきたことを教えてください。

【伊織殿】まず「意識」の面では、気持ちだけでも常に女性であることを心がけていました。そうすることで、徐々にですが所作や表情が女性のものに変化していったように思います。そして「外見」に関しては、ひげ脱毛、メイクの技術向上、お肌のケアに徹底して取り組みました。それと、周りから言われたことに対しては、すべて真摯に受け止めて、改善するよう努めたことも、今の容姿に大きく影響していると思います。

――詳細を聞かせていただきたいです。

【伊織殿】じつはメイクに関しては、プロメイクさんのほとんどに「伊織殿はメイクが映えない顔だね」と言われていたんです。でもそこで諦めずに、自分に合うメイクは必ずあるはずだと信じて、試行錯誤して。その結果、今のメイクにたどり着いたので、「探せば攻略法は必ずあるんだ」という確信にも繋がりました。なので、自分の容姿に自身がない方でも、諦めずに研究し続けることで“最高の美”は手に入るんだということを知っていただきたいです。

――ご自身では、現在の容姿についてどのような印象をお持ちですか?

【伊織殿】酷かった自分を知っているからこそ、今の容姿はとても美しいと言いきれます。とはいえ、本来の目標である“圧倒的な美”には到達できていないし、改善すべき点はまだまだたくさんありますので、これからも自分磨きに邁進してまいります。

――最近では男性のメイクも少しずつ増え始めましたが。

【伊織殿】そうした風潮はたいへん喜ばしいですね。個々の美意識が高まれば、それに応じて周りの男性も刺激されるので、メイク男子の人口がこれからさらに増えていくことを願っています。

――一般男性でも取り入れられそうなメイクのアドバイスがあれば、お聞かせいただきたいです。

【伊織殿】まずはお肌のケアからですね。男性は女性と比べると圧倒的にお肌の質がよくないので、土台からしっかり変えていくことをオススメします。メイクのアドバイスとしては、「男性用のメイク=女装」というわけではないので、濃さや色使いを意識してみてください。最初は加減が難しいと思いますが、そこは経験と技術で少しずつ慣らしていくしかないですね。

――現在の活動を通して、将来的の目標はありますか?

【伊織殿】個人的な目標である“圧倒的な美”の追求を別とするなら、今はとにかく、唯一無二の女装芸術作品を完成させたい。その一点につきますね。

――伊織殿さんのように自分のやりたいことを貫けず、なかなか一歩踏み出せない人・迷っている人に向けて、何かアドバイスがあれば教えてください。

【伊織殿】私から言えるのは、「後悔しないように!」のひと言だけですね。私自身も初心を貫けずに、苦労していることは山ほどありますが、時間も死も待ってはくれませんから。私もかつて、がんの宣告をされたときは本気で死を覚悟しました。「できるなら、もう少しだけ生きていたい…」と懇願もしたし、さんざん泣きもしました。幸い、現在は回復していますが、そのときから私にとって“死”は身近な存在になり、「いつ死んでも後悔だけはしない生き方をしよう」と思えるようになったんです。人に何を言われても、自分はやりたいことをやる。これは自分の物語なのだから。そういった心構えでいれば、どんなことにでも挑戦できるんじゃないかなと思います。

――つらい闘病生活を経験し、それを克服した伊織殿さんだからこそ、たどり着いた心境ですね。

【伊織殿】それともうひとつ、一生忘れることのできない悲しい思い出もあって…。それは今から9年前、夢を追いかけて、ようやく何かを掴めそうになったときに、バンドのメンバーだった桜塚やっくんとマネージャーが目の前で交通事故に遭い、亡くなったことです。それでも歯を食いしばり、泣きながらでも立ち上がって、ふたりの分も夢を追いかけ続けないといけない…という気持ちも、苦難を乗り越える原動力だったように思います。何かやりたいことや目標のある人は、後悔のないように人生を送っていただきたいです。

(文:ソムタム田井)

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