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“ネットでは無敵”匿名投稿でキライな奴を炎上に追い込んだら…「気持ちわかる」集まった “共感”

『醜い私があなたになるまで』(C)ぶんか社/前田アランの画像

『醜い私があなたになるまで』(C)ぶんか社/前田アラン

「ブスで根暗」と罵られながらも誠実に生きてきた主人公が、傲慢な美人に正攻法で勝利する逆転劇がスカッとすると話題のレディコミマンガ『醜い私があなたになるまで』。オムニバス形式でさまざまな物語が描かれる本作だが、“匿名アカウント”による誹謗中傷の歪んだ快楽をテーマにしたエピソードでは、なぜかヒロインよりもヒール役に読者の共感が集まるという現象が起きている。女性たちが抱える現代ならではの生きづらさについて、作者の前田アラン先生に話をきいた。

【漫画】人気YouTuberが謝罪、「なぁんにも悪いことはしてない」炎上仕掛けた“勘違い女”に起きた悲劇

■他人のSNS投稿は「自分がみじめに感じる?」、人々が抱える孤独

──SNSで炎上を仕掛ける西野さんという女性の物語が印象的でした。SNS上で多くの“信者”がついて影響力を持つようになります。

【前田アランさん】匿名アカウントでうっぷんを晴らす2つ目のエピソードですね。SNSって似たような考えの人が集まる構造になってますよね。だからはたから見たら「言葉の暴力」であっても、その界隈では「正義の鉄槌」と解釈されてしまう。人間なかなか理性的に「自分もそうなってるかも?」と考えるのって難しいのかなと思いますね。

──とくにSNSは、理性よりも感情をあおるところがありますよね。

【前田さん】そうですね。西野さんがSNSで人気者を追い込むようになったのも、「羨ましい」を超えて「妬ましい」という感情にまであおられてしまったから。それってたぶん、今の時代は「隣の芝生」が見えすぎてしまうからだと思うんです。その芝生だって、冷静に考えれば「見せるためにキレイに整えたもの」だとわかるけれど、SNSのキラキラした投稿が平凡な日々を送っている自分を冴えなく惨めな気持ちにさせてしまうところは、たしかにあるんじゃないかなと思います。

──西野さんが抱える孤独も描かれていて、「私と同じだ」と共感する女性読者も多いのもわかります。

【前田さん】レディコミですので落としどころは勧善懲悪なんですけど、このエピソードに関しては一方的に「西野さんが悪い」というふうに描きたくなかったんです。あと「信者なんてすぐに手のひらを返すよ」ということですね。このエピソードの真のヒールは、西野さんが火をつけた炎上に群がった“匿名の第三者たち”だと言ってもいいかもしれません。

■“愚痴アカ”投稿がエスカレート、匿名で炎上させ他人の人生に「追い込み」

──SNSで日常のうっぷんを晴らし、人気者のアラを探して“炎上”するまで追い込む悪質な西野さん。意外にも読者から人気が高いとか?

【前田さん】レディースコミックって、最終的には「正義は勝つ、悪は成敗される」ものなんですけど、この作品は“ヒール役”に同情するコメントもけっこう多いです。むしろヒロインの阿部さんほうが「イラッとする」と(笑)。美人で裕福で、友だちにも婚約者にも恵まれていて…という女性ですので、イマイチ共感しづらいかもしれません。

──「いい子なのはわかるけど、ちょっとね」みたいな?

【前田さん】両親から愛されて、何不自由なく育ったがゆえに性格もよくて。だけどその天然の素直さが、一定数の人をイラッとさせてしまうんですよね。本作のヒールキャラ・西野さんもそう。自分は節約のために夕飯の残りをお弁当に詰めてきてるだけなのに、彼女がキラキラした目で「見習います!」と。そして翌日持ってきたのが手の込んだ可愛いキャラ弁だったら…。ある意味マウントともとれる行動で、担当の編集者さんから「正直ムカつきますね」と言われました(笑)。

──一方でヒール役の西野さんは、どんな女性として設定したのでしょうか?

【前田さん】容姿はよくも悪くもなく、結婚していて、会社でもそこそこうまくやっている。だけどそんなごく普通の女性が満たされず、むしろ妬みを増長させてしまう構造が現代にはあるんじゃないかと。SNSにたくさん上がっている“愚痴アカウント”を見ていてそんなふうに考えたのが、西野さんという人物になりました。

──ヒロインとヒール役の“直接対決”が見どころですが、いくら匿名で書き込んでも必ずバレてしまうという昨今の流れも描かれます。

【前田さん】誰もが無自覚に加害者になってしまう時代ですよね。ごく普通の女性をヒールにしたのは、そんな現代ならではの落とし穴や怖さを釘刺したかったからでした。誰もが加害者にも被害者にもなりうる…という怖さは、漫画でもリアルでも同じかもしれませんね。

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