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「不治の病?」FIP、猫エイズにかかった猫の運命は? 幸せつかんだ猫たちの闘い

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FIPのおかっぱP太郎と、猫エイズのナナ(写真:ねこけんブログより)

 病気やケガを抱えた猫も数多く保護しているNPO法人『ねこけん』。だが、適切な治療とボランティアメンバーたちのケアによって、奇跡の復活を遂げる猫もたくさんいる。今年、とくに反響の大きかった、致死率ほぼ100%と言われる病FIPにかかった猫、他の個体への影響が不安視される猫エイズにかかった猫たちのエピソードをあらためて紹介。諦めることなく病に立ち向かった、猫とメンバーたちの闘いを代表理事の溝上奈緒子氏に聞いた。

【写真】「まるで別猫!」弱々しかったP太郎、病気克服して元気すぎるイケメン若猫に

■100頭に1頭の確率で発症するFIP、P太郎の投薬治療84日の戦い

 “おかっぱP太郎”は、その名のとおりおかっぱ頭のような模様のイケメン猫。新たな家族に迎えられたものの体調を崩し、『ねこけん』に出戻った猫だ。病院に連れて行くと、FIPを発症していると診断された。

 FIPとは、多くの日本の猫が持っている猫腸コロナウイルスが突然変異を起こし、強毒化したもの。「FIPは、100頭に1頭という確率で発症すると言われています。このウイルスは腸内にいる限り、悪さはしないんです。もっと言ってしまえば、食道から肛門にいるときは悪さはしません。だけど、そこから体内に入り込むことで変異を起こし、FIPという恐ろしい病気になってしまうんです」。

 FIPは致死率がほぼ100%の病であり、それを治療するためには、海外で販売されている未承認薬を取り寄せ、84日間、飲ませ続けなければならない。もちろんお金はかかるが、「この未承認薬によって、FIPは死に至る病ではなくなる可能性が高くなる」と、溝上氏は治療の道を選んだ。

 長期間の投薬は猫にとってもケアをする人にとっても大変なことだったが、早く治療が始められたことが幸いしたようで、P太郎はみるみる元気を取り戻していった。毎日同じ時間に1日も欠かさず投薬を重ね、細かく体調を見守られたP太郎は、既定の期間投薬を終えると、病状はほぼ寛解。こうなると、根っから能天気で明るい性格のP太郎は、もはや悲壮感ゼロ。すっかり元気な若猫となり、かかった経費も時間も心労も、すべてを吹き飛ばしてくれたようだった。

 「基本的に、猫腸コロナウイルスが腸から体内に入り込んでも、ウイルスを叩ける免疫力があればFIPになることはありません。ただ、自己免疫がしっかりしていないと、猫腸コロナウイルスが強い病原性をもつ強毒株に体内で突然変異、結果としてFIPになってしまいます。そのため、自己免疫がまだ形成されていない子猫や、衰えている老猫が発症することが多いんですね。まれに大人の猫がかかることもありますが、それはストレスによる自己免疫の低下が影響しているようです。例えば、多頭飼育崩壊でストレスが溜まってしまったとき、不妊去勢手術やワクチン接種で自己免疫が落ちてしまったとき。そういったことがきっかけで、FIPを発症することがあります」。

 “死の病”に苦しみ、投薬治療を乗り越え、FIPに打ち勝ったおかっぱP太郎。その後、すべての事情を知り、受け入れてくれる新しい家族との出会いもあった。今、P太郎は新たな場所で、のんびりと幸せな時間を過ごしている。

■新たな家族が見つからない、猫エイズ陽性と診断された猫 白黒のぶち猫ナナは、目がまん丸でとってもチャーミング。だが、なかなか譲渡会で新しい家族が見つからなかった。それは、ナナが猫エイズ陽性だったからだ。

 猫を飼ったことのある人なら聞いたことがあるかもしれないが、正しい知識を持っている人は意外と少ない。正式名は、猫免疫不全ウイルス感染症、または猫後天性免疫不全症候群。感染した猫は、猫エイズの菌を持つ「キャリア」という状態になり、感染直後は「急性期」として、約2ヵ月ほど猫風邪のような症状が続く。この「急性期」が過ぎると、猫エイズとはわからない元気な猫として普通の生活を送ることができる。

 しかし、猫エイズは感染症だ。すでに飼っている自分の猫に、他の猫から感染してしまったら…。そう考え、キャリアの猫を新たに受け入れようという家族は少ない。だが溝上氏は、「猫エイズは基本的には、ほぼ移りません。猫エイズにかかっても、ほとんどの子は命をまっとうできるので、猫エイズのワクチンは需要がなくなってしまったぐらいです」と断言する。唯一怖いのは猫エイズが「発症」した場合。発症すると免疫機能が低下し、通常ではかからないような病原体に感染する。ただし、必ず発症するわけでもなく、感染力が弱いために空気感染や接触感染もしない。

 「猫同士が血を見るようなケンカをしたり、噛まれてしまうと感染してしまうこともあります。そのため、外猫だと交尾やケンカで感染してしまうことが多いんです。でも、室内で飼い、小さいうちに去勢・避妊手術をすれば、そのようなことはほとんど起こらない。感染する可能性は極めて低いと言えます」。

 つまり、猫エイズは決して過度に恐れるべき病気ではないということ。「たとえ多頭飼育でも、猫エイズの猫と一緒に飼養することは可能です。免疫の病気なので歯肉炎になったりしますが、それはキャリアでなくてもそうなる子はたくさんいるので、ねこけんでは特に心配することもありません」。

 ナナは、やはり猫エイズ陽性ということが引っ掛かり、譲渡会でもなかなか新しい家族が見つからなかった。それから数年。時折、譲渡の問い合わせがくるものの、猫エイズ陽性と聞いて尻ごみしてしまう人もおり、縁は結ばれないままだった。

 しかし最近、ナナを「家族に迎えたい」と申し出る人が現れた。猫エイズ陽性と伝えても、その人は「何か問題ありますか?」と聞き返す。ナナに、やっと“赤い糸”がつながった瞬間だった。100%、感染・発症しないわけではないが、正しい知識があれば、猫エイズは決して恐れる病気ではないことがわかる。発症させないためにはストレスをかけないこと。つまり家族の愛情により発症を遅らせることもできるのだ。猫エイズと知っても、新しい家族は丸ごとナナを受け入れてくれた。ようやく幸せが訪れたナナに祝福を送りたい。

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