プレゼント・クーポンPRESENT COUPON

フェリアSNSSOCIAL

芸能・エンタメ

クリスマスの定番、31年目『明石家サンタ』 “おひとりさま文化”定着も揺るぎない鉄板コンテンツの理由

(写真左)明石家さんま、(写真右)八木亜希子 (C)ORICON NewS inc.の画像

(写真左)明石家さんま、(写真右)八木亜希子 (C)ORICON NewS inc.

 毎年恒例、クリスマスの人気番組『明石家サンタ史上最大のクリスマスプレゼントショー』(以下/明石家サンタ・フジテレビ系)が、今年も12月24日深夜に生放送される。事前に電話やはがきで視聴者から募集した“不幸話”を、当日生電話をつないで本人に語ってもらい、面白ければ商品獲得のチャンスを得られるというシンプルな構成の同番組で、これまでさまざまな”伝説”が生まれてきた。基本フォーマットを全く変えずに30年余の時代を超え、現代も変わらず愛され続けているのは、いったいなぜなのか?

【写真】大胆な肩出しドレス姿を披露した八木亜希子

■クリスマスを笑いに変換する鉄板フォーマットを“発明”

 番組の放送開始は、1990年12月24日。以前、明石家さんま自身が語っていたところによると、「(独身時代)クリスマスイブを誰と過ごしていいかわからない。だからいっつも一人なんです」と、ディレクターの三宅恵介氏に話したところから生放送の番組が誕生した。
 当時は、1980年代後半からの”バブル景気”の影響もあり、当時、クリスマスは恋人とリッチに過ごすもの、ひとりで過ごす=寂しい人という構図が展開されていた。
 1980年に松任谷由実が『恋人がサンタクロース』を発表し、1982年に松田聖子が同曲をカバー。翌1983年の『anan』で「クリスマス特集」が組まれると「クリスマス=カップルで過ごす日」というイメージが一気に浸透。恋人たちの特別な夜として、「一流ホテルを1年前から予約するのが当たり前」などと言われるクリスマスデート文化が生まれ、さらに山下達郎の「クリスマス・イブ」を起用したJR東海「クリスマス・エクスプレス」のCM(1988年~1992年)により、「恋人たちの夜」というイメージが一気に高まった。
 バブル崩壊以降、ゴージャズだった「クリスマス=恋人たちの夜」のイメージは、本来の「クリスマス=家族で楽しむもの」に変化していった。しかし、いずれにしろイブの夜という一番幸せを感じられるひと時に、リアルに”寂しい””不幸な”人に向けて、不幸な話で笑い合おうというフォーマットは、「クリスマス=幸せ」という価値観が変わらない限り、バラエティ史上最も強固な鉄板コンテンツの大発明といえるだろう。

■“筋書きのない不幸ネタ”でファンを獲得し、“お約束”で根付かせる

 ではなぜ『明石家サンタ』が、30年以上も人気を博してきたのか。参加者の世相を反映した濃いエピソードの数々に加え、素人が登場するからこそ生まれる予定調和じゃない“筋書きのない笑い”が挙げられるだろう。
 例えば、近年の神回と言われる2017年の放送では、トップバッターとして「80歳の祖母が“彼氏”とひわいな内容の電話をしている」というエピソードを披露した女子中学生に、いきなり目玉賞品の車が当たってしまう。さらに、「不祥事を起こした大手家電メーカーの社員だ」と明かした参加者は、競合メーカーの家電を当ててしまうという「奇跡」が続いた。
 また、クリスマスではないものの、1996年1月1日未明に放送された『明石家福禄寿の史上最大のプレゼントショー “正月なのに…”編』では、さんまが間違い電話を一般家庭にかけてしまうという“事故”が発生。電話口の女性に間違いを指摘されるも、そこで電話を終わらせず、事情が分かっていない女性に対し、八木アナがすかさず「何されてたんですか?」と質問。すると「今ね、ジグソーパズルしてたの」という突拍子もない返答で合格。目玉の車を当ててしまうという珍事も、いまだに語り継がれている“伝説”になっている。

 その一方で、こうした筋書きのない笑いと共存する”お約束”の笑いの存在も、ファンを根付かせる要因の一端になっている。
 定番化しているのは、その年不幸があった芸能人が電話すると、名前を言っただけで合格になるくだり。インパルスの板倉やNON STYLEの石田など、相方がトラブルを起こして独りぼっちになっていたパターンや、離婚したての布川敏和などがこのパターンで合格しており、これが定番化して以降「今年は誰が来るか」といった予想などもネットで呟かれる状況になっている。
 また、「八木さんのファンです」とゴマをすって、合格の鐘を鳴らしてもらおうと思った参加者が、「八木のファンなんだって?」とさんまに振られて「いやっ別に」と言う1994年に誕生したお約束も、番組ファンには知られたくだり。2018年の放送では、このお約束がなかっただけで「毎年楽しみにしていたのに」「八木さんファンのいない明石家サンタなんて寂しすぎる」と嘆くファンの声が続出する事態もあった。
 生放送で素人との電話という何が起きるかわからない、1980年代のフジテレビ的なバラエティの流れを汲むハラハラ感が、視聴者にリアルタイムで観たいという好奇心を生ませる一方で、「今年もあのお約束あるかな」と気にさせる。そこに、先の間違い電話が象徴的であるように、予測不可能な素人の言動をいじり、瞬時に笑いのベクトルへ持っていく“天才”明石家さんまの絶妙なまわしがあってこそ成立する笑いの数々。しっかり者としてサポートしつつ、ときに天然発言もする、30年を経ても愛嬌を失わない、名パートナー・八木亜希子が加わることで、フォーマットの古さを感じさせない、時代を超えて愛されるコンテンツが成立しているといえるだろう。

■“おひとりさま文化”定着も、根幹は変わらないお笑い強度

 とはいえ『明石家サンタ』は、クリスマスデート文化が最も盛り上がった時代に生まれた、ある意味自虐的な笑いのコンテンツ。近年、“おひとりさま文化”の浸透により、「一人でクリスマス」の価値観が着実に変化している。
 この“おひとり様文化”が根付き始めたことにより、「一人クリスマス」が寂しいことや不幸なことではないという価値観が生まれてきた。一人でのカラオケや鍋、旅行になども“ソロ活”などと呼ばれ、それは不幸ではなく、むしろ自分のペースで気兼ねなく好きなことを満喫できることに、幸福感を感じる人も年々増加傾向にある。
 前述の通り、バブル期に番組がスタートし、一年で一番気合が入る華やかな日として「クリスマスイブ」をとらえ、「一人でクリスマスを過ごす」ということが寂しい、不幸であるという前提がある『明石家サンタ』。その前提が通用しない部分も出てきたことで、鉄壁のフォーマットを持つこのコンテンツが地盤沈下を起こしかねない状況になってさえいる。

 にもかかわらず、“おひとり様文化”が浸透した現在でも、やはりイベントごとに「一人」の寂しさを感じる人も多数いる状況は変わらず、今もクリスマスイブに寂しさや不幸を笑いに変えるというコンテンツを求める人は多い。だからこそ、時代や文化が変わっても、今なお愛され続けている『明石家サンタ』は、31年目を迎える今年も本日深夜に生放送される。さて、今年はどんな不幸話が登場し、どんな予測不能の事態が起こるのか? 今年もたくさんの爆笑の鐘が鳴ることを願ってやまない。

文/田幸和歌子

ORICON NEWSは、オリコン株式会社から提供を受けています。著作権は同社に帰属しており、記事、写真などの無断転用を禁じます。

こちらの記事もどうぞ