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「オデッサ作戦」で敗退し、壊れても救護にあたるドムの物語 ジオラマ作家「モビルスーツと人がいかに関わってきているかを作りこむ」

荒川氏が11月に発売した「WildRiver's G-WORLD 2nd『円形劇場』演出師 WildRiver荒川直人 ガンダム情景作品集2」より 制作・画像提供/WildRiver荒川直人氏 (C)創通・サンライズの画像

荒川氏が11月に発売した「WildRiver's G-WORLD 2nd『円形劇場』演出師 WildRiver荒川直人 ガンダム情景作品集2」より 制作・画像提供/WildRiver荒川直人氏 (C)創通・サンライズ

 “ジオラマ作家”として、個展を開催したり、模型総合誌『月刊モデルグラフィックス』(大日本絵画)で連載をもつなど活躍中のWildRiver荒川直人氏(以下/荒川氏・@WildRiverArakaw)。幼稚園時代から粘土でジオラマを作り、小学生の頃には船、戦車、飛行機、ロボットなどのプラモデルを買って、作っては砂場でジオラマを作って遊んでいたという生粋のジオラマ好きである同氏が、11月末に、自身が作り上げてきたガンダム情景の作品集を発売した。ここでは、この表紙となった『ドム』のストーリーや制作の裏側、さらにガンプラより楽しむ方法を紹介。

【写真】これがジオラマ作家の実力…細部まで見事に表現された基地で整備中の「ゾック」

■ジオン軍の行く末を暗示させる作品

――11月末に「WildRiver’s G-WORLD 2nd『円形劇場』演出師 WildRiver荒川直人 ガンダム情景作品集2」を発売されました。なぜこのタイミングでガンダム作品をまとめようと思われたのですか?
【荒川氏】2冊目のガンダムの作品集なのですが、途中、『宇宙戦艦ヤマト』や『スター・ウォーズ』などの作品もあって、10年もかかってしまいました(笑)。

――作品は、どれも物語性を感じるものばかりですね。
【荒川氏】私の作品は、劇中のシーン、メインストーリーの再現でなく、オリジナルのサイドストーリーを考えて制作しています。ガンダムは自分の中では原点の1つなので、自分のオリジナルのストーリーの中で、モビルスーツ(MS)と人がいかに関わってきているかを、「円形劇場ジオラマ」(360度の周りからみてもどこかにストーリーが見える構成のジオラマ)のなかから感じ取ってもらえたら嬉しいです。また、今回は、メイキングのページも今までの2倍にして、実際のスケッチ画なども載せているので、また違う楽しみ方ができると思います。

――数ある作品のなかでも、表紙の『ドム』はインパクトがあります。この作品はどのような物語をイメージして制作されたのですか?
【荒川氏】ファーストガンダムの時に、あれほど大きな天下分け目の戦いの一つであった「オデッサ作戦」の話が短かったと思いました。なので自分で、ジオン軍がこの戦いをきっかけに敗退していくというモチーフをベースに、いろいろなサイドストーリーを考えました。

――そのなかで、ドムが救護にあたるストーリーをジオラマ化されました。
【荒川氏】はい。壊れたドムが負傷兵・戦死者の兵員輸送を行うというアイデアは自分的に好きです。そうやって考えると、ドムのヘッドが『赤十字マーク』に見えてきますので。このサブタイトルが「終わりの始まり」というのも、これから逃避行のジオン軍の行く末を暗示したものにしています。

――本作のこだわりをお教えいただけますか?
【荒川氏】ドムと退避するジオン軍の目線をできるだけ同じ高さにするために、ホバリング装置が壊れたドムは川を行軍し、崖にかかる鉄橋とそれを渡るジオン兵という高低差のレイアウト構成がポイントです。また、逃避行のジオン兵には、みんな疲弊感が出るように、首の角度などをいろいろ変えています。

■ジオラマ作家が実践する“脳内モデリング”

――先ほどのお話のなかで、オリジナルのサイドストーリーを制作するというお話がありましたが、思いついたら即制作していくのですか?
【荒川氏】いえ、以前に考えた物語が100ほどあるので、それを順番に作成している感じです。シチュエーションを考えて、実際にその現場で自分がいたらどうだろうということを妄想しながら、登場人物の名前と性格付けもやることが多いです。
 元々マルチジャンルのジオラマ作家なので、いろいろなジャンルの資料を日頃からみたり、調べたりしているので、引き出しの数は多いと思っています。「ガンダムだからこれ」と絞るのでなく、常日頃から情報を貪欲に吸収することは、ガンダム世界のジオラマの設計に役立ってると思います。

――性格までイメージするとはさすがです。イメージした物語を具現化していくのはどのようにやっていくのですか?
【荒川氏】ジオラマの設計は、何もない台座上に、脳内でモデリングをしてジオラマの情景を妄想で作ります。何もない台座を回転させてもジオラマイメージがぐるっと動かすことができるぐらい、めちゃくちゃ時間をかけて脳内モデリングを繰り返し完成させます。なかなか、このイメージを言葉で伝えるのは難しいのですが(笑)。

――脳内で3Dの完成図を思い描くのですね。その後はどのように進めていくのですか?
【荒川氏】新聞紙上に実サイズのジオラマのマップを描き、必要ならイメージスケッチ画を描きます。さらに制作アイテムリストと工程リストをB5のノートに書き出します。ここまできたら、一切迷わず一気に作ります。作っている途中で、終了した部分のリストを斜線で消していき、実際に自分がどの程度進行しているかわかるようにしています。アナログな作業なんですが、これがモチベーションの維持のために結構重要なんです。
 ダブルワークのサラリーマンモデラーなので、平日は脳内モデリングが中心で、土日に集中作業で朝から夜中までワイン飲みながら制作して、完成まで、だいたい1ヵ月から1ヵ月半ぐらいかかります。

――制作の際に心がけていることは?
【荒川氏】MSと人がいかに関わってきているかを作り込んでいるので、フィギュアと車両関係には気を使っています。

――なるほど。ガンプラ愛好家にとってとても参考になる考え方ですね。実際、SNSではさまざまな作品が投稿され、多くの愛好家がそれぞれのガンプラライフを楽しんでいます。こうした方々の作品をご覧になっていかがですか?
【荒川氏】コロナの影響もあり、今はみんなの素晴らしい作品の発表の場がSNSだけですが、実際にその作品を生で見てみたいという気持ちです。やはり、ジオラマもそうですが、写真と生でみたときの情報量の差は歴然なので、いろいろな展示会ができるようになって、実際に生で見て刺激を受けたいですね。

――こうしたモデラーへ向け、ガンプラをより楽しむコツがあれば教えてください。
【荒川氏】自分の妄想を最大限に発揮して欲しいですね。実際には技術的にできないことであっても、妄想の中ならなんでもできます。それと、自分の考えた技術や武器に、オリジナル名前を付けるというのも、とっても楽しくモチベーションが上がります。
 今『ガンダムホビーライフ』誌で、モデラー諸氏の作った単体MSを、『円形劇場ジオラマ』化するという、“ワイルドコラボ”の連載をやっているので、そちらもぜひ見ていただいて、一緒に作品ができたらと思います。

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