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車いすのブラジル人、日本の“見て見ぬふり”に安心する理由「大事なのは手助けされる側を尊重すること」

“見て見ぬふり”の日本スタイルが合っていると断言するイギニョさん 画像提供:A子さん(@2kob_mom)の画像

“見て見ぬふり”の日本スタイルが合っていると断言するイギニョさん 画像提供:A子さん(@2kob_mom)

 生まれつきの障害から、車いすユーザーであるブラジル人のイギニョさん。そんな彼との日常を描くA子さん(@2kob_mom)の漫画が、SNSで話題に。なかでもイギニョさんが日頃感じる「車いすユーザーに対する、日本とブラジルの反応の違い」を語る内容が「勉強になる」と注目を集めている。日本人は“見て見ぬふり”が多く、いざ困っていても助けてもらえないことがままあるという。一見ネガティブに感じるが、彼自身は「このスタイルが合っている」という。その言葉の真意や、パートナーとして暮らすA子さんが日々実感する「手助け」への距離の置き方について話を聞いた。

【漫画】「困っても助けてくれない」日本は冷たい? 車いすのブラジル人男性の想い

■ 車いすだからと一括りにしない、「手助けされる側」を尊重することが大切

 イギニョさんは「車いすユーザーに対する、日本とブラジルの反応の違い」について、日本人は礼儀ゆえに障害者を見て見ぬを振りをする傾向があると感じている。いざ困っていても助けてもらえないことも多いとのこと。一方、ブラジルでは物珍しくジロジロ見てくる人もいるが、基本的には困っていなくても手伝ってくれようとグイグイくる、対照的な構図だ。すぐに手伝ってもらえるブラジルの方が住みやすそうだが、イギニョさんはこれに対して「個人的にほっといてほしいから、日本のスタイルが合っている」と断言する。

――A子さんから見ても、日本とブラジルでは車いすユーザーへの対応に差を感じることはありますか?

【A子さん】日本人はあえて無関心を装っているというか、特に「反応しないことが礼儀」といった空気を感じます。一方でブラジルでは場所によってですが、かなり物珍しげにジロジロ見てくる方々も中にはいらっしゃいました。でも「手助け」という点に関しては、ブラジルは他人との距離が近いというか、こちらが特にお願いしなくても「困ってるよね? なんか手伝おうか!?」とガンガン来るフランクさがありましたね。

――“無関心な日本人”はネガティブなニュアンスで語られることも多いです。「個人的にはほっといてほしい」というイギニョさんの感想は、どのように感じられましたか?

【A子さん】「ほっといてほしい」という感想は、正直びっくりしました。私は妊婦の時、電車で席を譲られとても嬉しかった経験があります。なので、手助けを必要とする立場の方々はもちろん、言わずともあれこれ手を焼いてもらうことがきっと嬉しいはずだと思っていました。でも考えてみたら、電車でお年寄りに席を譲ろうとしても、喜ぶ方もいらっしゃる一方でムッとして断る方もいらっしゃいます。それと同じなんだと思いました。

――“車いすユーザー”と、一括りにしない視点が大事ですね。

【A子さん】漫画を読んでくださった方からも、「それぞれの国で人の対応の違いはあれども、結局は手助けされる側の要望を尊重するのが大事だよね」と感想をいただき、「結局そこだよねー!」と納得しました。

――イギニョさんの「ほっといてほしい」という言葉の裏には、どのような想いがあったのでしょうか。

【A子さん】やはり四六時中、好奇の目にさらされているのはしんどいので、たとえ「ふり」であっても、自分の身体的な特徴に無関心を装ってくれる環境の方が、気がラクなのかなと思います。また、自分でできることにはプライドがあり(彼の場合は自分の手で歩いて移動できるなど)、必要なときにはお手伝いをお願いするので、そうでなければ普通に接してほしいと思っているようです。

――イギニョさんと一緒に暮らすなかで、手助けのタイミングで悩むことはありましたか?

【A子さん】出会った当初、彼は一人暮らしをしていました。車いすと地下鉄を使い職場に通って立派に働いていたので、関係性は対等というか、特別手助けしなきゃという発想はありませんでした。それが一緒に暮らすようになって、「付き合いたてなので良いとこ見せたくて、虚勢を張ったり無理してやってきてたけど実は難しいこと、できないこと」の数々を知るようになって、初めて手を出すようになった、という感じです。

――一緒に暮らしはじめて「手助け」について考えるようになったんですね。

【A子さん】でも彼はプライドが高くて、「これできないからお願い」とはあまり素直に言わないところがあります(笑)。ただ私も仕事・家事・子育てに追われ忙しいので、結構雑に「これやっといて!」って頼んでみて、できないと断られたら私がやるというやり方が定着しました。

――ちなみに「何にも代えがたい」とまで言われた日本のバリアフリー設備ですが、ブラジルと比べてやはり違うのでしょうか?

【A子さん】日本は、地方でも道が舗装されていることが多いです。私もブラジルのほんの一部の狭い範囲しか訪れていませんが、ブティックがあるような街でも、道がちゃんと舗装されていなくて段差だらけなのにびっくりしました。日本ももちろん地域によっては段差が多かったり、バリアフリーじゃなく入れないお店があったりしますが、「基本的に道路を問題なく車いすで走行できる」っていうことが結構素晴らしいことなんだと気づきました。

――日本人の無関心さを「礼儀」と解釈するイギニョさん。その文化理解の深さにも驚きました。お互いの文化を理解するために心がけていることはありますか?

【A子さん】文化の違いの部分だけにパッと着目すると、“好き嫌い”とか、“優劣”といった話に終始しがちです。ですが、その文化や伝統が生まれた歴史的背景を知ってる範囲で教え合うようにはしています。なので、お互い「なんで?」が多いですね。なんでなんでと聞かれることで、何気なく受け入れていた自国の文化について掘り下げて考えたり、なぜそれが根付いたのかを調べたりするのも面白いです。

――「日本とブラジルの差」について、漫画に込めた想いを教えてください。

【A子さん】いつも大それたメッセージは考えずに、ありのままの日常を描いているのですが…。身近に車いすユーザーがいらっしゃらない方が、「車いすで生活する人ってこんなこと考えているんだ」と気付きを得たり、車いすユーザーの視点から日本とブラジルの違いを知ることで、それぞれの良いところを知るきっかけになれば嬉しいです。

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