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“即戦力”ではなく“育成”がカギ? 「東宝シンデレラ」が上白石姉妹、浜辺美波ら人気女優を輩出し続ける理由

「東宝シンデレラ」オーディション受賞者たちの画像

「東宝シンデレラ」オーディション受賞者たち

 「Nizi Project」や男性ダンス&ボーカルグループオーディション「THE FIRST」、日中韓ガールズグループオーディション「Girls Planet 999」など、何時の時代もオーディションコンテンツへの注目度は高い。現在はYouTubeなどの普及により、事務所に入らずとも…の時代にあるが、それでもなくならない(増えている)のは、いまだオーディションに価値と需要がある証左だ。なかでも長澤まさみや上白石姉妹、浜辺美波など数多くの人気女優を輩出した老舗「東宝シンデレラ」の存在感は大きい。同オーディションは、時代におもねることもなく、独自の基準を貫くことで価値を高めてきた稀少な存在といえそうだ。

【貴重写真】東宝シンデレラ受賞直後、初々しい上白石萌歌(10歳)&萌音(12歳)、浜辺美波(10歳)

■選定基準は「クラスによくいるかわいい子」ではなく“原石であり、磨けば光るダイヤモンド”

 「東宝シンデレラ」オーディションは東宝と東宝芸能が不定期で実施している女優オーディション。東宝創立50周年の記念イベントとして開催された1984年以降、だいたい3~6年に一度のペースで開催されている。開催はこれまでわずか8回。競合である「ホリプロタレントスカウトキャラバン」(1976年から44回)、「全日本国民的美少女コンテスト」(1987年から15回)と比べると、開催自体がかなり少ないのがわかる。

 そんな「東宝シンデレラ」だが、これまで沢口靖子、水野真紀、長澤まさみ、上白石姉妹、浜辺美波など、錚々たる女優陣を輩出。最も最近開催された第8回(2016年)のグランプリ・福本莉子は現在、テレビ朝日系の深夜ドラマ『消えた初恋』にてヒロイン役で出演中。圧倒的に整った顔のほか、鈴の鳴るような美声が特徴で、ファースト写真集が刊行されているほか、来年に出演映画『君が落とした青空』(主演)、『20歳のソウル』(ヒロイン)の2本が控えている。

 時代のニーズに応じて、「クラスにいそうなかわいい子」のような親近感を選考基準に置くオーディションも多くあったが、「東宝シンデレラ」は街の噂になるような誰もが認める逸材を選出し続けている印象。時代時代に合わせているが流行には流されず、その価値基準は揺るぎない。そしてもう一つ、他オーディションではなかなか見られない特徴がある。

■やみくもにゴリ押しはせずじっくりとした育成が「東宝シンデレラ」の価値を強固に

 それは、コンテスト賞受賞者の受賞後からブレイクまでの期間だ。第1回「東宝シンデレラ」の沢口靖子を除くと受賞からブレイクまでのスパンがだいたい4~5年ぐらいある。例えば、1999年(第5回)グランプリの長澤まさみは、受賞後4年経った2003年に、映画『ロボコン』で初主演。徐々に人気を上げていき2004年の映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で爆発。ただ“美人なだけ”ではない、女優としての人気を完全に手中に入れ、映画『モテキ』(2011年)の艶やかな芝居でその存在を不動のものにした。

 2011年(第7回)グランプリの上白石萌歌もそうだ。受賞5年後、2016年「午後の紅茶」のCMでCHARAの「やさしい気持ち」を歌い、世間からも注目を。来年、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の出演が決定している。現在放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で主演を務め、『第72回NHK紅白歌合戦』初出場を予定している姉の上白石萌音(第7回)は2014年の映画『舞妓はレディ』で主演。第26回山路ふみ子新人女優賞、第19回日本インターネット映画大賞日本映画部門ニューフェイスブレイク賞・ベストインパクト賞、全国映連賞女優賞などの各賞を受賞した。

 その同期の浜辺美波は、第7回で新設されたニュージェネレーション賞の受賞者。受賞4年後の2015年のSPドラマ『あの日見た花の名前を君はまだ知らない』で本間芽衣子(通称めんま)を演じて「この可愛い子は誰だ」と話題に。アニメの実写化は、その再現度で炎上することが多々あるが、あまりにもハマっていたために、原作アニメファンの多くから喝采を浴びた。その後の活躍は皆、ご存知のとおりだろう。

 「かように東宝シンデレラ出身者は、コンテスト入賞してもすぐに事務所が“席”に入れないのが特徴」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「東宝配給の映画で主演・ヒロインを張れる人材を見つけよう、育てようとしている印象が強い。そのために、いきなり過剰なメディア露出やゴリ押しをすることもない。第一優先は女優としての土壌をしっかりと作り上げること。ブレイク後も安定して活躍できるように、ブレイクの先も見越して経験を積ませていっている。…実はゴリ押しにも利点があり、ベテラン俳優との共演や場数を多く踏むことから多くを学べます。ただし、妙な“クセ”がついてしまう恐れもある。そんな意味でも、東宝はお芝居において“箱入り娘”的な育て方をしている印象」(同氏)

 どちらの育て方が正解かはわからない。だが彼女たちの活躍を見るに、すぐに過度な露出をさせない東宝のやり方が、「東宝シンデレラ」の価値をより高める結果につながっているとだけは確かだ。

■一貫性あるスタイルは「東宝」だから? 銀幕時代に総称された“東宝顔”

 もともと東宝は、明朗で健全な娯楽映画を提供してきた。他社が時代のニーズに合わせて刺激路線に走った時期にも、東宝は自社のカラーを守り続け、現在に至るまで一貫している。そもそも、東宝専属のスター女優は、司葉子や京マチ子、酒井和歌子など美人で清楚ないわゆる「正統派女優」が多い。その系譜が「東宝シンデレラ」オーディションの人選について受け継がれている印象だ。

 「正統派美人という言葉に、美人に正統派も個性派もあるのかという疑問が浮かぶ人もいるでしょう。過去、銀幕時代には“東宝顔”という言葉が存在しました。加山雄三さんがその典型例ですが、簡単に言えば、好き化嫌いかが分かれることが少ない、オーソドックスな、強いクセのない顔のことです。この“東宝顔”が今で言う“正統派”であり、これは、東宝が歩んできた映画作りとも一致します。ここがリンクしているため、東宝シンデレラは正統派美人が多い。またクセというものは、それが好まれる時代で大きく左右される。東宝シンデレラの方たちはクセがなく、選出方法が昔から貫かれているため、“昔ながら”、“昭和っぽい”という世間一般の評価にもつながります」(衣輪氏)

 ネットでも「東宝芸能は長く活躍できる女優さんを大切に育てているイメージ。気品があって、発言を見ていてもとてもしっかり教育されている」「最近感じるのは可愛い、綺麗だけで過剰評価されてる人多いなと。その中で東宝の選ばれたメンバーは逸材だと思う」などの声も挙がる。概ね高評価であり、ときにはこれが重圧になることもあるだろう。実際、浜辺美波は2015年のインタビューで「迷惑はかけたくないです。名前に負けないように頑張りたいと思います。(中略)これからも構えないで、求められたことを全力でやっていきたいです」と答えている。

 “東宝色”を失わないようじっくり育てられ、時期を見て、さまざまな役柄に挑む「東宝シンデレラ」オーディションの受賞者たち。少数精鋭でもあり、彼女たちがしっかり活躍することでオーディションの価値も上がる好循環を生んでいる。「自らの手でじっくり育てて自社を牽引するような存在にしていく」。この“古き良き昭和”は、即戦力重視のこのご時世、今一度、見直されても良いのではないかとも思う。

(文/西島亨)

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