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りんたろう監督、映画の作り方を変えた『幻魔大戦』「特別な作品です」

日本のアニメーション黎明期から活躍するりんたろう監督の画像

日本のアニメーション黎明期から活躍するりんたろう監督

 ―すべてが伝説、すべてが常識外―角川映画45年記念企画として、「角川映画祭」が19日より、東京・テアトル新宿、EJアニメシアター新宿ほかにて開催される。日本映画の歴史を変えた傑作31作品が劇場で鑑賞できるまたとない機会。その31作品に含まれる『幻魔大戦』『カムイの剣』『迷宮物語』より「ラビリンス・ラビリントス」の3作品を手がけた、りんたろう監督に話を聞いた。

【画像】角川映画祭で上映される『幻魔大戦』『カムイの剣』『迷宮物語』「ラビリンス・ラビリントス」の場面カット

――『幻魔大戦』は、角川映画アニメ作品第1弾という記念碑的な作品ですね。日本SF界の第一人者・平井和正と石ノ森章太郎による傑作漫画をアニメ化。暗黒の破壊者・幻魔から地球を守るべく、超能力者(エスパー)たちが集結し立ち向かう一大スペース・ロマン。1983年の公開から38年も経っているんですね。今、観ても面白い、感動する、手に汗にぎる素晴らしい作品だと思いました。

【りん監督】素晴らしいかどうかはわかんないけど(笑)、逆に僕は、今の若い人たち、『鬼滅の刃』や『君の名は。』『天気の子』『バケモノの子』などを観ている人が、『幻魔大戦』を観てどう思うのか、その本音を聞けるものなら聞きたいですね。戸惑うのか、面白くないと思うのか、僕には想像がつかないですよ。

――今では当たり前のようなことを、この時すでにやっていたんだ!って思いました。映像の古さも感じませんし、最近のアニメよりも血の通った迫力を感じたのは「すべて手描き」だからなんでしょうね。すごい作品だと思います。

【りん監督】作った当時は、かなり先鋭的なことを言ってるし、やっているんだけど、あれから40年くらい経った今観ると、おっしゃる通り当たり前になっているというか、なんの抵抗も感じなくなっている。ジャンルとしても、『幻魔大戦』はSFなので、非日常を描いているからより古さを感じさせないのかもしれない。ガラスが飛び散ったりするシーンなんかも全部手描きだったんですから、狂気の沙汰です(笑)。

――キャラクターデザイン・原画を大友克洋さん、声優に古谷徹さん小山茉美さんに並んで、俳優の原田知世さん、美輪明宏さん、白石加代子さん、江守徹さんが参加されていて、驚きでした。音楽監督は英国のプログレッシブロックバンド「エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)」のキース・エマーソン、主題歌がローズマリー・バトラーって…。角川映画アニメ作品1作目からやっていたんだ!というのが驚きで…。

【りん監督】日本アニメーションは、もともと子ども向け、ファミリー向けだったんですよね。僕は、手塚治虫の虫プロダクションでテレビアニメ『鉄腕アトム』(1963年)、『ジャングル大帝』(65年)、『ムーミン』(70年)などをやってきたけど、フリーになって監督した『銀河鉄道999』(79年)で初めて中高生をターゲットにしたんです。『宇宙戦艦ヤマト』(劇場版は77年公開)のヒットもあって、『銀河鉄道999』も大ヒットしたけれど、僕にとってはかなり挑戦的だった。

 それを観て、角川春樹さんが僕に声をかけてくれた。当時、アニメは映画会社が作って、直営の映画館で上映していたんだけど、それを角川書店という出版社がアニメを作って配給するなんて、前代未聞。映画界の異端児として飛ぶ鳥を落とす勢いの角川春樹がやるんだったら、それなりのものを作るべきだし、全く新しいことをしていこうという中で、中高生、さらにその上の世代をターゲットに企画を練り上げていったのが『幻魔大戦』なんです。

 キャラクターデザインは、当時はまだ「知る人ぞ知る存在」の漫画家だったけど、僕は好きだった大友さんに頼んで正解でしたね。内容的にも、当時のアニメーションというのは架空の世界を描くものとされていたから、逆に『幻魔大戦』ではリアリティを感じてもらおうと思って、あえて吉祥寺や新宿といった具体的なロケーションを描くことにしました。ストーリーは非日常なんだけど、日常に危機感を持ってもらうことができたら大成功だと思っていました。

 当時は、オカルトブームもありましたし、ノストラダムスの大予言が流行し、世紀末への関心も高くて、『幻魔大戦』の世界観とシンクロしたというのもあった。ほかの映画会社がやらないようなことをあえて狙ってやったことも多いけど、目に見えないさまざまなパワーをもらって大きな渦を巻き起こすことができたんです。

――『幻魔大戦』は映画の作り方を変えた作品の一つだったんですね。今回、初めて『幻魔大戦』を観る若い世代に願うことは?

【りん監督】僕は8歳の時に初めて映画を観てから映画のとりこになりました。父親も映画が好きで、中学生の頃はよく一緒に観に行っていました。でも、映画を見たり、漫画を読んだりしていると、「不良少年」と呼ばれた時代です。町内で有名な不良少年でした(笑)。その後、『鉄腕アトム』をやっていた時も、PTAから「アニメなんてけしからん」と言われていたんです。それがひっくり返って、国を挙げてアニメを盛り上げるようになった。

 それというのも、半世紀以上前から、面白いものを作ろうと努力してきた人たちがいて、そこから創意工夫が生まれて、時代とともに進歩して、今の『君の名は。』とか、『鬼滅の刃』とかにもつながっている。『幻魔大戦』はその中の1本に過ぎないんだけど、僕にとっては特別な作品です。今回の「角川映画祭」で『幻魔大戦』をご覧になる方が、どう感じるのか? とにかく楽しんでもらいたいです。

■『角川映画祭』
テアトル新宿、EJ アニメシアター新宿ほかにて11月19日(金)から全国順次開催
★EJアニメシアター新宿にて舞台あいさつ実施
11月21日(日)前11:00 『幻魔大戦』上映後 ゲスト:りんたろう(映画監督)
11月28日(日)前11:00 『迷宮物語』上映後 ゲスト:大友克洋(漫画家/映画監督)

■公式サイト
https://cinemakadokawa.jp/kadokawa-45/

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