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子猫が食べたのは“猫砂”、“髪の毛”、“ビニール”…多頭飼育崩壊を起こした生活保護の親子「飼いたいと飼えるは違う」

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多頭飼育崩壊の現場から保護された子猫たち(写真:ねこけんブログより)

 飼い主が適正に飼育できる頭数を超え、破綻を招いてしまう多頭飼育崩壊。十分な世話をすることができず、動物たちに病気が蔓延したり、ストレスなどで支障を起こす場合もある。これまで、いくつもの現場に対応してきたNPO法人『ねこけん』代表理事の溝上奈緒子氏に、I県で起こった猫の多頭飼育崩壊について聞いた。

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■「自分たちの食べ物を減らしてでも、猫ちゃんたちにはご飯をあげている」

 今年9月、多頭飼育崩壊の現場へレスキューに訪れた『ねこけん』スタッフたちの模様が、『Live Newsイット!』(フジテレビ系)で放送された。このとき保護した猫は、雄猫1匹、雌猫3匹、子猫が6匹の計9匹。きっかけは、飼い主の女性からのSOSのメールだったという。

 「メールをいただき、最初はいろいろとアドバイスをしました。不妊・去勢手術を安くできる病院はないか。役所に相談はできないか。でも、なかなか行動には移してもらえず、このままだと殺処分の道しか残されていない。そんな状況だったので、急きょ保護しに行くことを決めたんです」。

 飼い主は、メールを送った女性とその娘の2人家族。どちらも、生活保護を受けていた。厳しい経済状況の中ではあったが、女性は「自分たちの食べ物を減らしてでも、猫ちゃんたちにはご飯をあげている」と語っていたそうだ。

 現場はかなりの遠方で、『ねこけん』のある都内から往復で5時間以上。多頭飼育崩壊というと、糞尿が堆積してゴミ屋敷のようになっている場合も多いが、その家はきれいで猫たちの状態も生死にかかわるほどではなかった。すべての猫を保護するつもりで訪れた『ねこけん』スタッフだったが、女性は「1匹だけでも残してほしい」と涙ながらに訴える。「1匹なら飼える、餌もしっかりとあげられる」。猫を愛していることは伝わってきたが、「実は以前もこの家族は、犬と猫を殺処分したことがある」と溝上氏は明かす。今回で2度目。飼っていた猫のうち雄猫は1匹のみで、しっかり去勢手術をしていれば、多頭飼育崩壊を招くことはなかったはずなのだ。

 たった1匹の去勢手術もできない経済状況で、万が一、病気になれば病院に診せることもできず、最後は死んでいくのを看取るしかない。1匹だけ残しても、さらにつらい結末を迎える可能性がある。そう説得し、『ねこけん』はすべての猫を保護することにした。実際、その1週間後には保護した雌猫が出産。もし保護できていなければ、さらなる崩壊を招いていただろう。

 「飼いたいと、飼えるは違う」、そう溝上氏は語る。

 「猫ちゃんは可愛いし、飼いたい気持ちは痛いほどわかります。でも、経済的な基盤がないと、猫ちゃんも飼い主も不幸になってしまう。世の中はお金じゃないと思いますが、飼い主になるには多少なりともお金は必要です」。

 『ねこけん』でも、猫を保護するためには人手も時間も費用も必要となり、それは決して安い金額ではない。保護したすべての猫を病院で診察し、病気が発覚すれば治療費もかかる。「同じことを繰り返すわけにはいかない」という説得を受け入れ、女性はすべての猫を保護してもらうことを承諾した。

 早速、猫たちを病院で診察してもらうと、どの猫もガリガリにやせていた。子猫たちにご飯をあげると、ものすごい勢いで食べる。飼い主は「自分たちの食べ物を減らしても、猫たちにはご飯をあげている」と言っていたはずだが、まもなくその理由が発覚した。なんと、子猫のうんちからは、紙の猫砂、人間の髪の毛、ビニールの破片などが出てきたのだ。空腹のあまり、口に入るものは何でも食べてしまっていたということだろう。飼い主に猫を思いやる気持ちはあったのかもしれないが、現実は食事の量は足りていなかった。

 経済的基盤が整っていない状況で猫を飼っても、飼い主も猫も幸せにはなれない。どれほど猫を愛していても、気軽に飼ってはいけない。今回、多頭飼育崩壊を招いた家族も、もし雄猫の去勢手術ができていれば、不幸な結果になることはなかったのだ。

 保護された猫たちのうち、三毛猫姉妹の「オリ」と「パラ」、雄の「ピクト」には、すでに新しい家族ができた。また、保護時に妊娠していた母猫も、その子猫3匹も、現在では譲渡の募集が可能になったという。もうおなかをすかせることもない。おいしくないものを無理やり食べることもない。保護されたすべての猫たちに、幸せが訪れることを願うばかりである。

(文:今 泉)

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