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“くだらない”世界一に込められた「命の重さ」 66年続く『ギネス世界記録』がプロデュースする価値とは

『ギネス世界記録2022』日本語版 クレイグ・グレンディ編 (C)2021 Guinness World Records Limitedの画像

『ギネス世界記録2022』日本語版 クレイグ・グレンディ編 (C)2021 Guinness World Records Limited

 記録挑戦の模様や記録認定が様々なメディアで取り上げられ、エンターテインメントとして絶大なる地位を確立している「ギネス世界記録」。運営するギネスワールドレコーズに寄せられる申請と問い合わせは、昨年だけでも世界186の国と地域から5万7千件にものぼる。スタートから66年、「ギネス世界記録」はなぜ、こんなにも長く世界中の人々に愛され続けているのか。挑戦者や視聴者に与えている価値や、どんなことでも「世界一」を極める意味をギネスワールドレコーズジャパン代表の石川佳織氏に聞いた。

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■ギネスを利用したコンサルティングも実施 幅広く利用できる“世界一”のコンテンツ

 「ヨーロッパで最も早く飛ぶ狩猟鳥はどれか?」。この問いをきっかけに、1955年に世界中の一番を集めた書籍『ギネスブック』(現『ギネス世界記録』)を発行。現在まで40言語以上に翻訳、100カ国以上で販売され、毎年ベストセラーになるこの人気書籍を軸に、世界記録の収集、認定を行っているギネスワールドレコーズ(以下、GWR)。意外と知られていないことだが、個人や団体からの相談も受け付け、挑戦を具現化するための提案や場づくりのアドバイスなど、様々な角度から世界記録へのサポートを行っているという。

「ネットの普及に伴い、07~08年頃以降、全世界からの申請が活性化し、問い合わせが増えてきたことから、対応する形でコンサルティングサービスを始めました」(ギネスワールドレコーズジャパン代表 石川佳織氏/以下同)

 問い合わせには、具体的に挑戦内容を共有し、実現可能か否かを問うものから、「〇人くらいで何か記録挑戦をしたいのですが……」という漠然とした相談まで様々。それらの話を受け、GWRでは、これまで認定した6万件近いデータベースの中から、相談者にマッチするような記録を探したり、既存の記録を参考に、新たな案を一緒に考える部署があるという。

 例えば、こんなエピソードがある。近年、企業や団体が、コミュニケーション向上や、地域活性化のために「ギネス世界記録」に挑戦するケースが増えているが、ある企業から、社員で挑戦できる記録はないかと相談を受けたときのこと。

「お話を聞いたところ、その会社はお客様の命を預かるお仕事をされていて、大切な命をつないでいくということをモットーにされているということでしたので、スプーンに乗せた鶏の生卵を複数人でつないでいく『リレー方式で卵をパスした最多人数』という記録が合うのではないかとご紹介し、実際に挑戦されました」

 記録自体は“くだらない”と思われてしまいそうなものであっても、そこに意味を持たせることによってブランディングや認知向上につながっているのだ。

■記録達成だけでなく“過程”にこそ存在する意義とは

 記録挑戦の際にはGWRの公式認定員が立ち会うケースがあるが、日本人初の公式認定員として、日本はもちろん、ヨーロッパ各国からアメリカ、インド、台湾、アラブ首長国連邦等、世界中を飛び回り、今まで約500の記録挑戦に携わってきた石川氏は、その豊富な実績から記録挑戦によって得られる効果をこう分析する。

「日常行っている活動も世界記録を目指すことでモチベーションが上がったり、自分が携わっている業界やスポーツの挑戦をすることで、世界レベルでの認知度の向上につながることもあります。また、海外では、チャリティーの目的で記録に挑戦することもメジャーですが、近年、日本でもその傾向は感じられます」

 「ギネス世界記録」というと、とかく記録達成に目が向きがちだが、「挑戦するまでの過程に効果を感じられた」という声も多いと石川氏は語る。

「例えば地域で記録挑戦を行った場合、若者とお年寄りのグループが交わるきっかけになり、その経験によってコミュニティができたり、一丸となって同じ目標に向かうことで一体感が生まれ、つながりが強化できたりというお話はよく耳にします。結果に関わらず、達成感や感動が得られたという声は多く、携わる者として大変ありがたく思っています」

 このように、多くの効果をもたらす背景には、記録認定に対するGWRの厳しいこだわりがある。それこそが、ブランド価値を高め、継続できている理由でもある。

「ここまで長く世界中から愛されている大きな理由のひとつに、『ギネス世界記録』の認定は本物だという“信頼”があると思います。実際に、審査は『ガイドライン』と呼ばれる公平な基準に従い、一つ一つの記録にルールを設け、それに乗っ取って、客観的に、厳格に、行っています。だからこそ、挑戦することに楽しさや面白さが生まれる。『ギネス世界記録』は真剣さ、厳格さから生まれるエンターテインメントだと思っています」

■YouTube、TikTokなどのSNSにもマッチ “世界一”は誰にでもある普遍的な探求心から生まれる

 60年以上培ってきた信頼と伝統を大切にする一方で、近年は、時代の変化やニーズに応じた取り組みを積極的に行っているのも、コロナ禍の今、特筆すべき点だろう。

「現在のギネス世界記録の活動目的として『世界をより面白く、楽しく、ポジティブにする』をコンセプトに、書籍を通して世界一の情報を発信してきましたが、現在は、デジタルプラットホームを活用して情報を世界に流すことも大切な業務になっています。伝統を大切にするだけでなく、時代に合う形にしていく姿勢を大切にすることも、ブランド維持のためには必要だと考えています」

 その思いから、YouTube、TikTok等をスタートさせてきたのだが、驚かされるのはその人気ぶりだ。YouTubeチャンネルは、世界中で登録者数860万人超、TikTokのフォロワーはなんと約1640万人と、世界トップブランドの人気を誇っている。さらに、Instagramには約450万、Facebookは約2800万人のフォロワーがおり(11月17日現在)、SNSとの親和性が高いことが分かる。

 さらに、コロナ禍で、オンラインでの挑戦企画も盛んに。昨年は、相次ぐイベントの中止や延期を受けて、ソーシャルディスタンスでもみんなが繋がり、笑い合い、楽しめる「雪合戦の最大のオンラインビデオチェーン」が挑戦されたり、おうち時間の楽しみ方を求める人たちの声を受けて、家の中でギネス世界記録に挑戦し、SNS経由で申請ができる#GWRchallenge(お家でギネス世界記録)が、全世界でステイホームが奨励されていた期間に実施されたりした。

「#GWRchallengeは、家でできることで挑戦したいという声を多数いただき、外に出られない環境の中で、ギネス世界記録として何か提供できないかと考えました。1週間に1回、挑戦する種目を決めて、ルールを公開し、SNSでハッシュタグをつけて投稿してもらうというものです。世界記録なので、いろいろな国の方が参加しています。ライバルは世界です。そこも、『ギネス世界記録』ならではの面白いところだと思います」

 17日には、毎年発売される年鑑本『ギネス世界記録2022』日本語版も発行される。「自然環境をテーマにした特集も組んでおり、捨てられたストローを使った彫刻の紹介や、2つのギネス世界記録を樹立した宇宙飛行士の野口聡一さんのインタビューなどを掲載しています。また、子どもたちが達成した記録も特集しています。同じ年代の世界の子どもたちがどんなことをやっているかを知ることができるので、お子さんたちには楽しんでもらえるのではないでしょうか。ポップカルチャーでは、数々の記録を樹立されたBTSも特集しています」

 「“世界一”への好奇心や、“これってどのくらいできるんだろう”という探求心は、人々の中に普遍的に存在していると思う」と石川氏。同様に、人々の不思議だと思う心を刺激し、話題になることを収集しようという、GWRのスタート時から変わらぬ探求心とたゆまない努力が、世界トップブランドのエンターテインメントを支えているのだろう。

(取材・文/河上いつ子)

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