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大人気文具“マステ”の根幹は、ハエトリ紙にあった…業務用が”可愛い“に進化を遂げた15年

マスキングテープ『mt』の画像

マスキングテープ『mt』

 もともとは業務用の目張り用テープとして使われていたが、いま“マスキングテープ”といえば、デコレーションや、文具としての認知が高くなっている。火付け役となったのはカモ井加工紙が販売するマスキングテープのブランド『mt』で、“可愛い”に着手するに至ったのはユーザーからの要望だったとのこと。自社で行うイベントは“意見交換会”とし、一方的ではない商品開発が続いている。このようなマインドはいつから生まれていったのか、カモ井加工紙の岡本さんに話を聞いた。

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■15年で年商は約2倍に 『mt』のヒットが会社の活気を生んだ

――00年代後半くらいから徐々に、マスキングテープと言えば“女性を中心に人気の文具”というイメージが大きくなったと思います。もともとは3人ほどのユーザーの声から生まれたんですよね。どうしてそのような少数の意見を取り入れて商品化することに踏み切ることができたのでしょうか。

岡本さん 創業時から製造してる“ハエ取り紙”の需要低迷により、和紙マスキングテープへ軸足を移していたタイミングでした。さらに新たな商材を探している時期だったため、和紙テープのファンだというお客さまの意見を大切にし、『mt』の商品化が実現できたと思います。

――カモ井加工紙の原点でもある、ハエ取り紙『カモ井のハイトリ紙』ですね。長年会社を支えたハエ取り紙の技術が現在の『mt』にも生きているのでしょうか?

岡本さん もちろんです。商材は変わりましたが、粘着技術という根幹部分があったからこそ、『mt』でさまざまな応用が出来ています。

――それまでの商品はとは印象がだいぶ違うものの商品化だったと思うのですが、不安はなかったですか?

岡本さん そうですね。新しいものに着手する不安はなかったのですが、工業用の和紙マスキングテープは大量生産でいかに安く製造するかを常に考えていた商品だったため、『mt』の少量多品種生産で効率が非常に悪くなることに不安はありました。

――少量多品種生産だと、確かに不安が大きくなりそうですね。ちなみに現在mtはどれくらいの種類があるのでしょうか?

岡本さん 現在は4000種類ぐらいまで増えています。

――市場はだいぶ大きくなっているんですね。

岡本さん 弊社の売上に関しては、『mt』を発売した2008年当時は60億ぐらいでしたが、現在は120億ぐらいになりました。ただ、『mt』の売上は全体の2割ぐらいであり、工業用のマスキングテープが大きく伸びています。

――そうなんですね。工業用が伸びている理由に『mt』の存在も関係しているのでしょうか?

岡本さん 工業用マスキングテープでは『職人図鑑』というホームページを作成し、職人芸ともいえるマスキングテープの貼り方などを紹介しているのが好評を得てます。これらは『mt』によってマスキングテープの可能性を知ることが出来たから実現しましたし、会社全体のモチベーション向上にもつながりました。また『mt』事業の拡大により、若い社員が増えたことも会社全体の活気に影響していますね。

■ユーザーに学ぶことをやめない姿勢…コロナ禍では対面イベント減少で過去一番のピンチを経験

――新商品の企画には、現在でもユーザーの意見を大切にしているそうですね。商品企画も、社内の方だけの会議はあまり行わないと伺ったのですが…。

岡本さん そうですね。社内だけでの会議はかなり少ないです。営業マンがイベントや店舗まわりで得た情報を商品企画にフィードバックしています。『mt』のイベントは日本だけでなく世界各地で開催しており、そこで様々な意見を直接聞けるんです。また、今年10回目を迎えたファクトリーツアー(工場の見学会)をはじめ、お客さまとの接点が非常に多いため、最先端の情報を教えてもらっています。そこで頂いた意見をとても大事にしていますね。

――多数の声を集めて商品化するのは大変そうですが、実際にユーザーの声から生まれる商品はどんなものでしょうか?

岡本さん テープの柄に反映されることが多いです。最近ではマンホールカードを収集される方から教えていただき、マンホール蓋のデザインを商品化しました。発売時からずっと同じアートディレクターに『mt』の監修を行っていただき、ブレが無いようにしています。

――コロナ禍では、お客さまの声が届かないということもありましたか。

岡本さん そうですね。コロナ禍でワークショップなどのイベントが出来なくなったことは15年間の中でも一番のピンチを感じた時間だったかもしれません。イベントを実施できても、滞在時間が短く、盛り上がりに欠けてしまったことは否めないですね。

――“マステ”がもともとは工業用の製品だったことを知らないユーザーもいらっしゃいますよね。

岡本さん そうですね。『mt』のお陰で、和紙マスキングテープの魅力に気付いていただいた方が多くいらっしゃることは嬉しいことです。最近では塗装職人の方にマスキングテープを使ってアート作品を作ってもらうということもあり、いい意味で融合しています。

――メーカー側の意図していた使い方・遊び方をユーザーがさらに超えてくることも嬉しいことですよね。

岡本さん イベントでも感じますが、SNSなどからもとてもよく感じます。さまざまな用途や現場で使用されており、デコレーションだけでなく教育や介護など、新たな需要も増えてきているんですよね。マスキングテープの活用法は、当初からお客さまから教えてもらうことが多く、それは現在も変わりません。

――各社多種多様のマスキングテープを販売していますが、火付け役として感じることを教えてください。

岡本さん さまざまな素材や使い方が他社から提案されており、非常に勉強になります。弊社も粘着技術や和紙の素材など工業用途で培った技術を生かして試行錯誤を続け、お客さまに「さすがmt」と言っていただけるものを開発していきたいと思います。

――今後、『mt』はどんな変化を遂げていくと思いますか?

岡本さん これまでは『かわいい』という抽象的なイメージでしたが、さまざまな分野で独自の使い方をされてきていることを感じています。今後はそういった部分の深掘りをして、分野ごとに特徴を持たせた商品が出てくるのではないかと思います。

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