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「いかに“仲介品質”を上げるか」住友林業ホームサービスの人材育成のセオリー/櫻井清史社長インタビュー

住友林業ホームサービス 代表取締役社長の櫻井清史さん (C)oricon ME inc.の画像

住友林業ホームサービス 代表取締役社長の櫻井清史さん (C)oricon ME inc.

 不動産仲介業において、高い満足度を獲得する住友林業ホームサービス。売買実績では業界10位以下と、仲介会社の規模としては決して大きくはないものの、オリコン顧客満足度調査による2021年の不動産売買仲介のランキングでは、マンションの売却と購入、戸建ての売却と、3つのランキングで総合1位を獲得した。この3ランキングにおいて、共通で高かった評価は「担当者の提案力」と「担当者の接客力」。不動産仲介業において最も重要な要素は、担当者個々の人間力を磨き“仲介品質”を上げていくことと語る代表取締役社長・櫻井清史さんに、同社の人材育成のセオリーについて伺った。

【写真】毎月発行されている社内報「営企通信」

◆不動産売買に人生ドラマあり、サービス品質向上の要は「人間力」に

──ドラマ『家売るオンナ』(2016年、2019年/日本テレビ系)でも描かれているように、不動産売買の背景には、お客さま1人ひとりで異なる人生ドラマがあります。そうした多様なニーズに対応したサービスを提供するうえで、御社が大切にされていることを伺えますか。
【櫻井さん】 3年半前に社長に就任して以来、従業員には常に「仲介品質を上げていこう」とメッセージしてきました。“仲介品質”というのは造語ですが、ご承知の通り、不動産仲介には自社の商品がありません。経営資源となるのは、“人財(人材)”がすべてです。

 お客さまのご要望はもちろん、十人十色で異なるご事情や状況を把握し、想像力をフルに働かせて潜在的なニーズまで掴む。結果的に、お客さまの不利益になると思えば、目先の利益は追わずに「NO」を提案する。そのように、お客さまの人生ドラマに徹底的に寄り添う、「人間力」の向上が非常に大切だと思っています。

──人材育成についてはどのようなポリシーをお持ちでしょうか。
【櫻井さん】 社員の成長なくして会社の成長はありませんから、人材開発は経営戦略の要です。とはいえ、研修などはどうしても会社側が押し付けるものになりがち。そうした「やらされ感」ではなく、社員自らが「経験値を積みたい」「スキルアップしたい」とモチベーションを持って臨めるような仕掛けや仕組みづくりが、成長を促すためには重要だと考えています。

◆昨年、人財開発チームを発足 経営層も参画しながらの育成への取り組み

──人材開発の具体的な事例を教えていただけますか。
【櫻井さん】 年次やスキルに応じてステップアップしていける、さまざまな研修を実施しています。また、営業担当者向けや全社員向けなど複数の冊子(社内報)を制作し、スキルアップや情報共有に役立てています。研修・冊子ともに心がけているのは、「実践的なテーマを盛り込む」こと。

 たとえば、効果的なネット広告の掲載テクニックなどですね。営業向けの研修はどうしても、心理学などアカデミックなテーマになりがちですが、それでは経験値の浅い若手社員にとってはあまり響かないどころか、「何がわからないかが、わからない」といった堂々巡りに陥ってしまいます。それよりも大切なのは、その先の行動に結び付けられる“気づき”を与えることです。

──研修などのテーマ設定は、昨年発足された人財開発チームが行っているのでしょうか。
【櫻井さん】 彼らが中心ではありますが、テーマについては私も含めて経営陣が総ぐるみでアイデアを出しています。取締役ミーティングで現場の課題や改善点を掘り下げ、研修テーマの提案につなげています。弊社では、物件引き渡し後にお客さまアンケートを実施していますが、それらすべてを全社員で共有しています。もちろん、私もすべてに目を通していますが、その中にテーマが見つかることも決して少なくないですね。

──昨年来のコロナ禍において、研修を行ううえでの難しさはありましたか。
【櫻井さん】 一堂に会しての合同研修がまったくできなくなりましたので、現在は動画配信の形で実施しています。ライブ配信のほか、現場に出ている社員のためにアーカイブも残しているため、自由参加にも関わらずライブ参加数はなかなか高いんです。それこそ、ベテラン勢が若手社員向けの研修を視聴し、改めて気づきを得るケースもあるようです。テーマ設定はもちろん、人材開発チームが頑張って興味を引くような動画を作ってくれたおかげです。

◆昨今はパワハラとの見方も、住友林業ホームサービスが行う「社内表彰」とは

──業績優秀者を称える社内表彰冊子「GLORY」についても教えてください。表彰の本来の目的はモチベーションと成長を促すことだと思われますが、若者の意識が変化しつつある昨今は、「表彰はパワハラ」と捉える若者もいると聞きます。
【櫻井さん】 弊社には若い人でも「頑張って業績を上げたい」というタイプの者が比較的多く、表彰式も盛り上がりやすい社風があるのですが、おっしゃるように、なかには「業績がすべてではない」という価値観の従業員もチラホラ見受けられるようになりました。もちろん、そうした社員が会社に貢献していないわけではありません。そういった背景から、誰もが参加できるように冊子による表彰を行っています。

 そして、近年は業績に偏ることなく、多様な評価軸の賞を用意するようになりました。賞の内容は毎年変えており、営業だけでなく事務職を表彰する賞も設けています。たとえば、一昨年は優秀な人材をたくさん採用してくれたことから、人事部のメンバーを表彰しました。長所は人それぞれで異なりますが、「この会社は誰にでもチャンスがある」ということを従業員にはわかってもらいたいですし、今後も当面は「GLORY」を継続→発刊する意向です。

──顧客満足度の向上に欠かせないのが、従業員満足度です。御社では、どのように調査されているのでしょうか。
【櫻井さん】 2年前から、住友林業グループが実施しているESサーベイを活用しています。グループ会社の中では、従業員満足度が2位でした。1位は従業員6名ほどのグループ会社でしたので、この規模の会社としては悪くない結果だったのではないかと自負しています。

 もちろん、これで満足しているわけではなく、改善点も浮かび上がってきました。1つには、直属の上司への信頼度は全体的に高かったのですが、支店の店長クラスが「現場の課題が経営層に届きにくい」と感じていることがわかりました。そこで今年からは、全国約50店舗の店長と私が1対1でWEB面談を行い、そこから上がってきた声を取締役ミーティングで共有する試みを始めています。

──不動産業界には男性社会のイメージが強いですが、「女性社員の活躍」についてはいかがですか。
【櫻井さん】 弊社に関していえば、女性だから、男性だから、という感覚はまったくありません。現場の店長にも女性はいますし、そのほかの部署にも、重要なポストに就いている女性社員がおります。「不動産業界=男社会」と言われるのは、おそらく夜間の打ち合わせなど、時間的調整がしづらい住宅販売の営業でしょう。仲介については、昨今は平日の引き渡しも増えていますし、育児中の女性などでもますます働きやすい環境になっています。

──御社の理念である「お客さま第一主義」に照らし合わせると、とくに育児中の女性が営業を続けるのは難しいということはないですか。
【櫻井さん】 実は3年半前、私が社長に着任したその数日後に、ある女性の営業が出産を機に仕事を続けるのが難しくなった、との報告がありました。しかし、本心では「住まいに携わることが好き」。これまで培った不動産スキルを活かして、仕事を続けたいと思っていることがわかったのです。

 そこで、1年半かけて制度の見直しと設計を行い、現在では出産や育児休暇から復帰後も、問題なく働くことができる体制を整えました。また、このタイミングにおそらく業界的に初ではないかと思うのですが、フレックスタイム制度を導入しました。なお、フレックスタイム制度については、男性社員も活用できます。その点でも、多様な働き方が徐々に実現できているのではないかと思っています。
(インタビュー・文/児玉澄子)

櫻井清史(住友林業ホームサービス株式会社 代表取締役社長)
さくらい・きよし●愛知県出身。1987年、神奈川大学を卒業後、住友林業に入社。営業人財開発など、さまざまな職務にあたる。住宅事業本部埼玉支店長を経て、2018年4月1日に住友林業ホームサービス 代表取締役社長に就任

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