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第22回東京フィルメックス、最優秀作品賞2本同時受賞「映画の未来の多様性に対する励まし」

「第22回東京フィルメックス」授賞式(撮影:吉田留美)の画像

「第22回東京フィルメックス」授賞式(撮影:吉田留美)

 アジアを中心に世界から新進気鋭の監督たちの作品を集めて上映する国際映画祭「第22回東京フィルメックス」が10月30日から9日間にわたって開催され、最終日の7日、東京・有楽町朝日ホールで授賞式が行われた。コンペティション部門(10作品)の最優秀作品賞に2作品が選ばれる異例の結果となったが、審査員長を務めた映画監督の諏訪敦彦氏は「映画の未来の多様性に対する励ましのメッセージであると受けとめてもらえたら」と説明した。

【写真】最優秀作品賞を受賞した作品の代表カット

 今年は、新たに神谷直希氏がプログラムディレクターに就任し、「継承と継続」を掲げてこれまで以上に独自性を有した作品の数々を選出、映画ファンに新たな出会いの機会を提供した。授賞式ではまず神谷氏が、「この9日間、この映画祭がいろいろな人の力によって成り立っていることを実感した。この場で全ての人に感謝を述べたい」と、あいさつした。

 最初に発表されたのは、観客賞。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)受賞後、国内初上映として今年のオープニングを飾った濱口竜介監督の『想像と偶然』が選ばれた。授賞式に出席できなかった濱口監督からメッセージが届き、「フィルメックスは2008年に『PASION』という作品で初めて参加した。それから13年が経って、自分がこのような大きな、温かい気持ちににならるような賞をいただけてとてもうれしく思う。会場から大きな笑い声が響くたび、幸せな気持になりました」と喜びを伝えた。

 続いて発表された学生審査員賞は、アレクサンドレ・コベリゼ監督の『見上げた空に何が見える?』(ドイツ、ジョージア)が受賞。街で偶然出会い、一目で恋に落ちた男女の外見が、不思議な力によって翌日には完全に別人のなってしまう、という遊び心にあふれた作品。学生審査員は「カメラに映るすべてのものが、私たちに何かを語りかけてくるように感じ、圧倒され、私たちが何気なく生活している日常の愛おしさに気付かされた」と、受賞理由を述べた。

 コベリゼ監督からは「私自身が17年ほど学生時代を過ごしたことがあったので、この賞が私にとってとても大事な意味を持っていると思う。日本のみなさんにどのように受け止められるか心配していたのだが、このような賞をいただけてうれしい」とメッセ―ジが届いた。

 最後に発表された最優秀作品賞は、2本が同時受賞。1本目は、ジャッカワーン・ニンタムロン監督の『時の解剖学』(タイ、フランス、オランダ、シンガポール)。1960年代後半と現代のタイを舞台に、一人の女性の人生が時を隔てて描かれ、そこに国家の負の歴史が交錯する、さまざまな時間の層が絡みあわされた作品。「わたしたちは現実と非現実が共存するところにいざなわれ、物語のかけらをつなぎ合わせてそれぞれの観点から捉え直すよううながされる。アンビバレントな要素、自然、登場人物たちや状況もまたこの映画の魅力だ」と評価された。

 ニンタムロン監督はビデオメッセージで「この受賞は、出演していた全ての人たちの影の支えがあると思う。私の作品がより広い観客に届くことを祈っている」と伝えた。

 もう1本は、学生審査員賞にも輝いた『見上げた空に何が見える?』。「一方的な暴力装置にもなりうる映画=カメラを使いながら、本作品では被写体とフェアな関係を結ぶことに成功し、イメージは映画と世界との対話へと開かれてゆく」と、同作のユニークな挑戦が称えられた。

 コベリゼ監督は「この映画は私にとって孤独で長い道だった思う。長い孤独な旅が、この素晴らしい賞をいただけたことでハッピーエンドを迎えられたのでは、と思っている」と改めて喜びを伝えた。

 審査員長の諏訪氏は「確か、クリント・イーストウッドの言葉だったと思うが、”たくさん賞を取るくだらない映画もある、一つも賞を取らない素晴らしい映画もある。ただそれだけのことなんだ”と。審査をするということは、ジャッジすることではなくパーソナルな視点を表現するものだと思っている。(コンぺティション作品)それぞれが、社会や個人の中に存在する問題にアプローチして、いかに映画として表現するか勇気あるチャレンジを見せてくれた」と、出品された作品全てに敬意を表し、最優秀作品賞が2本という異例の結果となったことについて次のように語った。

 「2本はそれぞれユニークなプロセスで、映画の未来を開いてくれていると感じたが、同等に評価したという結果ではなく、審査員それぞれが、映画に何を見ようとして求めているか、全く別の視点から、その価値を見出されたもの。違うアングルというものを皆さんに提示しようと、そういう風に判断させてもらった。映画の未来の多様性に対する励ましのメッセージであると受けとめてもらえたら、と思う」。

 会場での開催は終了したが、今月23日(火・祝)まで一部作品をオンライン配信する(詳細は映画祭公式ホームページに掲載)。

■公式サイト
https://talents-tokyo.jp

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