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ジョディ・フォスターの真骨頂 『羊たちの沈黙』を想起させる“面会”シーン

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映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』(公開中)(C)2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 ハリウッドの人気俳優ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバーバッチ、タハール・ラヒムらが共演した映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』が29日よりTOHOシネマズ日比谷(東京)ほか全国で公開中だ。

【動画】記事で紹介した本編シーン

 21世紀の情報化社会において、アメリカ政府による検閲で多くが黒く塗りつぶされた、ある男の〈手記〉が出版されたのは、2015年のことだった。しかも筆者の男はその時、キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されていた。異例尽くしのこの本は、またたく間にアメリカで大ベストセラーを記録し、その後、世界20ヶ国で刊行された。

 どうしても、この手記を映画化したいと切望したのが、マーベル・スタジオ映画『ドクター・ストレンジ』やBBC製作のドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』などで知られるベネディクト・カンバーバッチ。自身の製作会社でプロデューサーに専念するはずが、できあがった脚本に感銘を受けて出演者に名を連ねることに。

 手記の著者、アフリカのモーリタニア出身のモハメドゥ・スラヒを演じるのはタハール・ラヒム(第78回ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネート)。彼の弁護を引き受けた弁護士のナンシー・ホランダー役でジョディ・フォスターが出演しし、第78回ゴールデングローブ賞助演女優賞に輝いた。

 主人公モハメドゥ・スラヒは、9.11の首謀者の1人として拘束されたが、裁判は一度も開かれていなかった。2005年、モハメドゥの弁護を引き受けた弁護士のナンシーは、グアンタナモ収容所で地獄のような投獄生活が何年も続いているのは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。

 時を同じくして、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた──。

■『羊たちの沈黙』を想起させる“面会”シーン

 本作には、ジョディ・フォスターに2度目のアカデミー主演女優賞をもたらした、『羊たちの沈黙』(1991年)でのクラリスVSレクター博士の対峙シーンに勝るとも劣らない緊迫感あふれる面会心理バトルシーンがある。

 米軍施設グアナンタナモ収容所の面会室で、ナンシーがたった一人でモハメドゥと面会する場面。まさかモハメドゥが拷問され自白を強要されたとは知らないナンシーは、テロリストを見るような疑念の眼差しでモハメドゥと対峙する。当のモハメドゥはどのような取り調べが行われたのかを明らかにしないばかりか、なぜか話をそらしていら立ちを口にするばかり。そしてナンシーを“口撃”する。その心理の背景にあるのは恥辱と恐怖。モハメドゥは拷問された事実を知られることを恥じており、非道な取り調べが行われた事実を監視の目が光る場所で話すことを恐れていたのだ。

 ナンシーとモハメドゥは「冗談じゃない、自分の首を絞める行為だ」「真実を知らないと弁護できない」「何を言ったって無意味だ。俺はここで死ぬんだ!」「これこそが私の人生。あなたのような人を助けている」などと自らの人生とプライドをかけて言い争う。

 鬼気迫る空気感を生み出すためにフォスターとラヒムは事前打ち合わせもなく、演技プランなしで当該シーンに臨んだという。ラヒムはこのシーンの撮影について、「とても奇妙で不思議な時間だったよ。脚本どおりに演じるのとは違い、感情のままに動いてそれに相手が反応する。ただその瞬間に身を置き何かを作り出す。相手役がジョディで本当に幸運だったよ」と振り返っている。

■アメコミファンも必見!? あのヒーローたちが夢の競演

 本作には、モハメドゥの起訴に燃える米軍中佐スチュアート(カンバーバッチ)の訓練生時代の同期でモハメドゥを取り調べたことのあるニール・バックランド役で、ザッカリー・リーヴァイも出演している。

 ザッカリー・リーヴァイといえば、DCコミックス原作の映画『シャザム!』でスーパーヒーローのシャザム役で知られる。マーベル・コミック原作のキャラクター、ドクター・ストレンジとしておなじみのカンバーバッチとの2大アメコミ・ヒーロー俳優の競演も見どころだ。

 スチュアートとニールがビリヤードに興じる場面では、『シャザム!』内で重要なアイテムとなる“マジック8ボール”を彷彿とさせる8の数字が書かれたビリヤードボールがチラリと映る、アメコミファンをクスッとさせる粋な演出も盛り込まれている。

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