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無印良品、家庭の“余った食品”もリサイクル 民間企業がハードルの高い「フードドライブ」に取り組む意義

行政協業で民間企業で初めて「フードドライブ」常設回収場所を設置した無印良品 東京有明の画像

行政協業で民間企業で初めて「フードドライブ」常設回収場所を設置した無印良品 東京有明

 国内外に約1000店を出店する無印良品で、店舗ごとに特色のある店づくりや活動が活発化している。昨年12月にオープンした無印良品 東京有明では、同社初となる「フードドライブ」活動を展開。一般家庭で余っている食品を店頭で回収し、フードバンク団体などを通じて福祉施設や団体に届ける取り組みを行なっている。「モノを売るだけ」の小売店の発想を超えて「地域のプラットフォーム」を目指す同社の考えを聞いた。

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◆民間初の「フードドライブ」活動、江東区と連携し取り組むフードロス

 無印良品の関東最大規模の大型店・東京有明店では、昨年12月のオープン以来、店頭に「フードドライブ」の常設回収場所を設置している。その「フードドライブ」とは、「まだ食べられるけど量が多すぎて消費できない」「いただきものだけどアレルギーがあって食べられない」など、さまざまな理由から家庭で余っている食品を回収し、フードバンク団体などを通じて食べ物を必要としている施設や団体に届ける活動のこと。

 これまでフードロス削減に貢献する取り組みとして主に自治体などによって行われてきた。今年4月にファミリーマートも「フードドライブ」への取り組みを発表しており、昨今は徐々に民間企業が参入している。その先陣を切ったのが無印良品 東京有明で、行政と協業して民間企業の店舗内に常設回収場所を設置した試みとしては初である。

 関東最大級の大型店舗である同店舗は、「暮らしの全部が揃う」をコンセプトに、地域に根付いた店舗として開業された。「フードドライブ」発起人である無印良品 東京有明の副店長・秋吉武士さんは、開業の準備を通して東京都江東区や住民に「地域のお困りごと」についてのヒアリングを実施。そこで多く上がってきたお困りごとのひとつが、古着回収や、フードロスを含むリサイクルの課題だったと言う。

「それまでも江東区では年4~5回、余剰食品の回収を行っていたそうですが、周知には苦労されていたようです。ただ住民の皆さんからは『いい取り組みだから知っていれば参加したかった』『いつでも持ち寄れる回収場所があったらありがたい』と前向きな声が多かったのも事実です。そこで江東区と無印良品 東京有明で協力協定を結び、回収から提供までの仕組みづくりを話し合った上で、オープン日に店舗に常設回収所を設置することができました」(秋吉さん)

◆食品回収のハードルは高い…だが、集められた他社食品を「見える化」することで、認知度も徐々に拡大

 現在は「フードドライブ」の認知度も低く、「家庭では余った食品を人にあげるのは忍びない」「賞味期限内だから後で食べるかも…」というイメージを持つ人もいるだろう。衣料品や電化製品に比べると食品はハードルが高くなる。今年1月には江東区役所にも常設回収場所が設置。区内2ヵ所で年間に回収される食品は約1トンと推計される。

「国内で破棄される食品は年間約600万トン。江東区内だけで回収できる量は微々たるものかもしれません。それでも来店をきっかけに『フードドライブ』という活動を知ってもらえるだけでも十分に意義があると思っています」(秋吉さん)

 食品を扱うだけに、安心安全には十分に配慮し、回収できる食品は「消費期限が2ヵ月以上」「未開封で外装が破損していない」などのルールを設定しているほか、受け渡しはスタッフが対面で行なっている。「これまでトラブルは1件もありません」と秋吉さんは言う。

 回収された食品の一部は店頭のブースに陳列。「見える化」することで「フードドライブ」に参加しやすい店頭づくりをしている。

「ブースに他社の食品が並ぶことで、それを目に止めた方が、次回以降の来店時に持ち寄る。そうして徐々に食品の提供が増えていきました。一般の食品のほか、お子さんが大きくなったからとベビーフードや粉ミルクなどをお持ち寄りくださる方もいますね。一人親のご家庭にはとても喜ばれているようです」(秋吉さん)

 「フードドライブ」の取り組みは、無印良品 港南台バーズを中心とする横浜市の18店舗、そして9月10日にリニューアルオープンしたMUJI新宿でも始まっている。特に繁華街に位置するMUJI 新宿は、地域住民が集いやすい店舗である無印良品 東京有明や横浜市とはまた別のインパクトがありそうだ。その一方で、都市中心部の店舗ということもあり、自宅から食品を持参するのは、有明店に比べハードルを高く感じる。

「MUJI 新宿では食品のみならず、無印良品の衣料品、紙袋、スチールユニットシェルフ、欠けた陶器なども店頭で回収し、再利用や再販売、リサイクルにつなげています。新宿の街から地球環境や社会問題を考える店舗を目指しています。まずはより多くの方に周知し、参加していただくことが、重要だと思っています」(MUJI 新宿 永戸順也さん)

 なお、MUJI 新宿のフードドライブは新宿区と連携協定を結んだ取り組みだ。このように同社では、展開する店舗が、出店する地域が抱えるそれぞれの課題に対して、地域の方々と連携しながら課題解決に取り組んでいる。

◆“個店経営”で官民一体となった地域に根差したプラットフォームを目指す

 無印良品を展開する良品計画は、「ESG経営のトップランナー」を標榜し、1980年の創業以来、社会や環境に配慮したものづくりとサービスに取り組んできた。現在では国内外に約1000店舗を出店する。

「しかし、国内だけでも地域が抱える課題はさまざまで異なります。そこで各店舗の社員・スタッフが自ら出店する地域に入り込み、課題を共有し、地域の課題に無印良品が巻き込まれる形で地域を活性化させていく。そうした『個店経営』という考え方を推し進めています」(広報・ESG推進部 担当者)

 2020年には山形県酒田市(くらしラボ酒田)と新潟県上越市(無印良品 直江津)で、移動販売「MUJI to GO」の取り組みを開始。店舗まで足を運びづらい中山間地域の住民に向けて、暮らしの安全と楽しさを届けている。

 また団地内の商店街にオープンしたMUJI com 光が丘ゆりの木商店街では、団地コミュニティの再生と活性化のため、自治会主催のイベントに参加し、団地や近隣住民とさまざまな交流の場を創出。他企業とも連携した意見交換会も複数回実施し、商店街のハード環境をリニューアルした。

 各地域の拠点となる店舗が「地域に根差したプラットフォーム」となり、商いを通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献する。それが良品生活の目指す企業としてのあり方だと言う。「フードドライブ」はもちろん、今後もさらに地域をより良くしてくれるユニークな取り組みが広がっていくことに期待したい。

(文/児玉澄子)

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