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エンタメ領域の事業拡大 女優&モデル育成に乗り出したワーナーミュージック・ジャパン

ワーナーミュージック・ジャパン初の女優&モデル発掘オーディション『New Princess Audition』の画像

ワーナーミュージック・ジャパン初の女優&モデル発掘オーディション『New Princess Audition』

 昨年、創立50周年を迎えたワーナーミュージック・ジャパンが、周年記念として、初の女優&モデル発掘オーディション『New Princess Audition』を開催。このほど、合格者6名を擁する新部門「Warner Music Artists」を始動させ、本格的に女優&モデルの育成・マネージメントに乗り出した。コロナ禍、一大オーディション開催に踏み切った経緯や新たなジャンルに枠を広げた理由、欲しかった人材、今後の展開について、同社プロモーショングループ総括顧問の関光志氏に聞いた。

【写真】満場一致で決まった『New Princess Audition』最優秀賞の鈴本涼

■女優やモデルを開発してエンターテインメント業界へ幅広いコンテンツを提供

 山下達郎、コブクロ、あいみょんらを擁し、これまで音楽コンテンツの開拓を積極的に行ってきたワーナーミュージック・ジャパン(以下WMJ)が、創立50周年を機に、女優&モデルの発掘に乗り出すきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大であった。

「昨年11月に創立50周年を迎えるにあたり、記念事業として大規模な音楽イベントを行う予定で動いていたのですが、コロナ禍で断念せざるを得なくなりました。そういった中で、これからの50年を見据えて何か新事業を立ち上げることはできないか、と考えたのが始まりでした。当社には音楽活動を行う女優は在籍していますが、ゼロから女優やモデルを開発して、エンターテインメント業界へ幅広いコンテンツ提供し、新たなポジションを確立できるのではないかと考えたわけです」(ワーナーミュージック・ジャパン プロモーショングループ総括顧問・関光志氏/以下同)

 その意気込みは募集要項にも表れている。オーディションの中には、合格後にドラマや映画への出演特典を設けたケースも存在するが、「即戦力としてすぐに露出していくのではなく、ゼロからじっくり育てたい」という考えから、合格後は育成期間を設けることを念頭に置いて、「芸能経験のないフレッシュで、これからの伸びしろを感じる人材」を募集することにした。

 しかし、これまで音楽アーティストに関しては数多の新人発掘を行ってきたものの、女優&モデルを手がけるのは初めて。そこで、審査にあたっては、各部署から20~30代の女性を選抜してプロジェクトチームを立ち上げた。

「肌感覚で今のトレンドを理解している女性が女性を選ぶという視点が必要と考え、TikTok戦略を担っているデジタルチームをはじめ、プロモーションチームや営業チームから8名を選抜し、オーディションを運営してもらいました。大手のプロダクションのマネージャーが新人を発掘するようなスキルは持ち合わせていないものの、各々、今までのキャリアを活かして、精力的に取り組んでくれました」

■会ってみなければわからない、課題が残ったオンライン面接

 20年10月30日から1ヶ月間、15~25歳の女性を対象に募集したところ、全国から1000人強の応募が寄せられた。ネット応募が大半を占め、その多くが女優志望であった。ここまでは想定内だったという関氏が驚かされたのは応募書類の写真だった。

「皆さんの写真に対する強いエネルギーを感じましたね。ただ、中には加工しすぎてバランスが悪くなっているものもあって(笑)。今の若い子たちは写真の加工が当たり前になっているのでしょうが…、こちらとしては素を見たいのに判断がつかない写真が多かったですね」

 さらに2次のオンライン面接で、関氏は大きな衝撃を受ける。

「写真の加工技術は優れているのに対して、リモートにはまったく慣れていない人が多くて、そのギャップに驚きました」

 コロナ禍で、すっかり定着した感のあるオンライン面接だが、インターネット環境の整備は応募者によってまちまちであるため、様々なトラブルが発生している。今回のオーディションもその例外ではなく、予定されていた面接時間に回線がつながらなかったり、屋外からスマホで面接を受け、周囲の雑音に声がかき消されたり、ネット環境の良い場所を探そうと面接時間中、家の中を歩き回る応募者もいたという。ほかにも、「顔が半分映っていない」「スマホの画面が横になったまま戻せない」など、トラブルは続出した。

「1人にそんなに長く面接時間がとれない中で、審査できる環境を整えるためのやりとりにずいぶん時間がかかってしまい、もったいなかったですね。次回、リモート面接を行う際は、前日にリハーサルをやったほうがいいかなと思いました」

 課題を残した2次審査を経て最終審査は対面で行ったが、そこでもやはりオンライン面接の難しさを痛感したという。

「写真や画面で見る身長や立ち姿の印象は、実際に目で見るものとは全然違うと実感しました。これまで音楽アーティストのオーディションはたくさん行ってきましたが、こちらは音楽やボーカルの審査が主で、ヴィジュアルはどちらかと言うと二の次となります。そういう意味でも、やはり、リモートによる女優やモデルの審査は難しいものだと思い知りました」

 初開催ということもあり、こういった紆余曲折はあったものの、最終的には最優秀賞1人、WMJ賞1人、特別賞2人に加え、入賞2人の6人の合格者が出る結果となり、中でも最優秀賞の鈴本涼は審査員満場一致での受賞となった。

「審査員の共通認識として、“NHKの朝ドラのヒロインになれる人材”の発掘を目標としたのですが、それに叶うようないい人材に出会うことができたと思います。なかでも最優秀賞の鈴木はダンスも上手いので、ブラッシュアップしていけばそこも大きな魅力の1つになるのではないかと期待しています」

 現在、合格者たちは“ドラマの主役を張れる女優”を目指して、トレーニングの過程にあるという。

■主役級女優を擁することでビジネスの幅を拡げ、音楽にもフィードバック

 今回、敢えて女優&モデルの開発という新ジャンルに挑戦したWMJ。そこには同社がこれまで介入できなかった分野において、ビジネスの領域を広げていきたいという狙いがある。

「これまで当社のアーティストはドラマや映画、CMなどのタイアップを多数担当してきましたが、音楽だけの参加となると、ある程度企画が進んだ段階から加わることになりますし、コンテンツへの関わりも限定されてしまいます。しかし、主役を務めることができる女優を擁することができれば、企画の段階からそのプロジェクトにより深い形で関与できます。コンテンツホルダーになることによって、音楽部門にもフィードバックできるでしょうし、いろいろなチャンスが広がるのではないかと考えました」

 活躍の場は、テレビや映画、舞台だけではない。同社は昨年8月よりYouTubeチャンネル「blackboard」をスタート。所属アーティストらのパフォーマンス映像を配信して注目を集めているが、今後は、所属女優によるショートドラマを作るなどの展開も視野に入れて動いているという。また、コロナ禍で国内の動画視人口は大幅に増加したという背景もあり、ネット課金により定期収入が入りやすくなったというメリットも存分に活かしていきたい考えだ。現在、合格者たちには、社内のデジタルチームがインスタグラムの上げ方等の指導も行っている。

「フォロワーが1~2万人いるとビジネスとして成立する現状がありますので、そういった展開も積極的に行い、ゆくゆくはメディアへの露出と両軸で展開できればと考えます」

 音楽コンテンツ開拓に定評のあるWMJが、新たに女優・モデルを擁し、これからどんなコンテンツを生み出し、令和のエンターテインメント業界にどんな新風を吹き込んでいくのだろうか。「タレント数を増やすことより、本物を作ることにこだわりたい」と意気込む同部門の育成・マネージメント手腕に期待したい。

文・河上いつ子

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