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「価格破壊」をコンセプトに「高い・怪しい」を払拭、 “サプリメント”を日本に浸透させた功績

事業開始当時、ファンケルで発売されていたサプリメント(画像提供:株式会社ファンケル)の画像

事業開始当時、ファンケルで発売されていたサプリメント(画像提供:株式会社ファンケル)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、運動や食生活など、健康に対する意識が高まった人は多いことだろう。それを裏付けるように、総務省統計局によると、2020年度の「総世帯」の家計調査では、消費支出が伸び悩む中で、サプリメント剤型の健康食品は前年度比の4.2%増を記録。今や健康を手助けしてくれるアイテムとして健康食品は身近な存在となっているが、かつてはマルチ商法や安い原価の商品が何十倍もの値段で販売されるなどグレーな時代も長かった。“サプリメント”という言葉を日本でいち早く用い、業界のイメージチェンジに取り組んできたファンケルに、その経緯と、「健康寿命」の延伸が叫ばれる日本における今後の健康食品の役割について聞いた。

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■1ヵ月1万円の相場を2~3000円に価格破壊、“高い・怪しい”を“安い・安心”に

 古来、日本ではすっぽんやマムシの粉末、ローヤルゼリーをはじめ、戦後にはビタミンブームが起こるなど、健康食品が人気を得てきた。そんな人々の心理を利用するように、効果や栄養性、安全性が不透明な商品も多数出現。天然素材は値段が高いことに便乗し、「健康」をキーワードに人々の不安をあおって高額で売りつける事件も横行した。71年には厚生省が「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」を通知し、取締りを強化するも、承認制度がなかったために、玉石混淆。90年代以前は“健康食品=高い・怪しい”というイメージを払拭することができない状況が続いていた。

 そんなグレーな市場の改革に乗り出したのが昨年創業40周年を迎えたファンケルだ。94年、アメリカで使われていた「サプリメント」という言葉を日本でいち早く使用し、「価格破壊」をコンセプトに、ビタミン、ミネラルをはじめとする栄養補助食品28品目の販売を開始。読売巨人軍を退団して間もない原辰徳氏をイメージキャラクターにCM展開も行い、業界のイメージチェンジに挑んだ。

「創業者の池森が、アメリカのように健康食品を誰もが日常的に摂取できるような価格で販売し、皆を健康にしたいという思いから、事業がスタートしました。健康食品業界に抱かれていた“高価でマイナー”といったイメージを払拭するために、“サプリメント”というネーミングを使い、業界の信頼性の向上と正常化にもチャレンジしたい。と取り組んできました」(ファンケル 健康食品事業部本部長 若山和正氏/以下同)

 それらを実現するために大きな力となったのは、それまで培ってきた化粧品の通販のノウハウを活かした“通信販売”だった。同社では、お客様に商品を直接届けることで代理店に支払う中間マージンや過剰包装にかかるコストを抑えることで、1ヵ月1万円以上が当たり前だった健康食品において2000~3000円台で買えるシステムを確立。さらに消費者と直接コミュニケーションがとれる通販の利点を活用し、ていねいな説明を行うことで、消費者の信頼を獲得し、売上をジワジワと伸ばしていったのだ。

 ファンケルに追随するように、95年にはDHCが、99年には小林製薬が、通販で幅広いラインアップの栄養補助食品の販売を開始。93年に「セサミン」第1号を、96年にはパワーアップした「セサミンE」を発売しながらも、売上を伸ばすことができないでいたサントリーも、00年に販売方法を通販に切り替え、売上を拡大するなど、以降、健康食品は通販が主流の時代へと突入した。

 一方、99年、ファンケルはセブンイレブンからの提案を受け、コンビニエンスストアでの販売もスタート。当初、売上は大きくは伸びなかったが、健康食品市場では、「サプリメント」という言葉が広く使われるようになり、日常品として認知されるようになっていった。

■“一過性のブーム”生み出す健康情報番組の功績と弊害

 徐々に拡大していった健康食品市場だが、ファンケルのサプリメント事業が大きく伸長したのは、00年前後。『発掘!あるある大辞典』や『おもいッきりイイ!! テレビ』などの健康情報番組の流行による健康ブームがきっかけだった。

「番組で、健康のために、こういう食品、こういう成分がいいと紹介されると、それらが効果的に摂れるサプリメントの需要が上がりました」

 番組内で取り上げられた特定の食材が、翌日には店頭で品切れ続出になるという現象は、当時、大きな話題となったが、常に一過性だったのも特徴。成分でいえば、代表例が04年にブームになったコエンザイムQ10。ダイエット、アンチエイジング、美肌等の効果がテレビで紹介されると、ネットや店頭はすべて売り切れ状態に。原料供給が日本全体で枯渇するという事態にまで陥った。そのほかにも「DHAをとれば頭がよくなる」「グルコサミンは膝によい」「コラーゲンで肌がプルプル」など、様々な成分が人気になっては長続きせず、次の新しいブームが起こるという繰り返しだった。

「サプリメントは薬ではなく、病気になる前の段階の、健康の維持増進、病気の予防対策として摂っていただくものです。薬の代わりのようなものと思われている方にとっては、薬のように即効性がなく、効いているのか効いていないのかわからない。それが継続しない理由の一つでもあったのかもしれません」

 その背景には、薬事法の問題もあった。錠剤やカプセルなど剤型のサプリメントは、薬と誤認されやすいため、薬のように体の構造や機能への効果効能を謳うことはNG。そのため、配合されている成分に期待できる効果をストレートに表示できず、「美しさをサポート」や「活動的な毎日のために」といった曖昧な表現を用いるしかできず、消費者にとっても曖昧な存在になっていたのだ。それが改善されたのが15年。消費者庁による「機能性表示食品制度」が導入され、企業が科学的根拠に乗っ取って証明できれば、効果効能を記載してもいいというルールが新設。これをきっかけに、サプリメントに対する認識や信頼など、消費者の意識にも徐々に変化が表れた。

「弊社が開発当初からずっと取り組んできていた体に対する効果をきちんと商品のパッケージ等に表示できるようになったことで、健康に関してお悩みを持たれている方にわかりやすく説明できるようになり、ドラッグストアやコンビニなど一般流通での売り上げが大きく伸びました。全体の売上を振り返ると2014年度は232億だったのに対し、2015年度は286億、2016年度は320億と伸長。昨年度は411億まで到達している。2015年の『機能性表示食品制度』の開始は、業績にも大きな影響をもたらしたと言えます」

 さらに今、コロナ禍が追い風になっているという。
「コロナ禍により、人々の健康意識が一段上がったと感じています。この先どうなるかわからない状態だった去年の4~6月は消費が落ち込み、いったん売上が落ちましたが、6月以降は自分たちで健康に対する取り組みを進めていかないとと思われた方が増えたのでしょう。ビタミン、ミネラルという基本栄養素に加え、ダイエット、生活習慣病対策のためのサプリメントの売上が伸びました。また、秋以降は、マスクや在宅勤務によりお化粧する機会が少なくなる中、メイク等の外的なことより内的なケア意識が高まったのか、美容に関連する商品も伸びました」

■“要経過観察”になりがちな40代こそ…自分の健康は自分で守る時代へ

 ファンケルが参入してから27年。今や“サプリメント”という言葉を知らない人がいないまでに成長した健康食品市場だが、ファンケルの調査によると、成人以上の男女で日常的にサプリメントを摂取しているのは3割程度なのだとか。

「年代では50歳以上、性別では男性より女性のほうが摂取率が高いという結果が出ています。日ごろの食生活では摂りきれない栄養素を補えるサプリメントは、健康寿命、医療費削減の意味でも非常に重要になってきますので、いかにユーザーを増やすかは、今後の業界全体における大きなテーマだと思います」

 他企業とコラボした飲料系の商品の発売、オーダーメイドのパーソナルサプリメント「パーソナルワン」など新たな取り組みにも挑戦。特に注力しているのは、40代世代へサプリメントを訴求することだという。

「40代は健康診断で“要経過観察”の項目が増えてくる世代です。要経過観察というのは、『まだ大丈夫ですよ』という意味ではなく、『このままでいくと病気になりますよ』ということですので、自分で対処し、病気の発症リスクを限りなく減らすことが重要です。そういった方々の気づきと取り組みにつながるよう、疾病予防につながる商品・サービスの開発に取り組んでいます」

 4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、70歳まで働く社会へと踏み出した日本。社会人として70歳まで働くためには、健康は重要な要素だ。

「健康になることはゴールではありません。人生の中でやりたいこと、目標を達成するために健康であることが大切なので、サプリメントを上手に活用して、病気の予防、健康の維持増進に役立てていただきたいと思います」

 サプリメント誕生の地のアメリカは、公的な健康保険制度がなく、治療よりも予防的観点から健康を考える「セルフメディケーション=自分の健康は自分で守る」が主流だったために、「薬」と「食品」の中間として、足りない栄養素が補える「サプリメント」が広く浸透してきた。少子高齢化や医療費の高騰等様々な問題を抱える日本も、その考えが重要となる時代に突入したといえるだろう。

(取材・文:河上いつ子)

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