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『テニプリ』作者、“トンデモ展開”は読者のツッコミ待ち? 「ONE PIECEに負けたくない!」90年代ジャンプデビュー当時を語る

9月3日に公開する3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』メインビジュアルの画像

9月3日に公開する3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』メインビジュアル

 連載開始から23年目を数える人気漫画『テニスの王子様』(公式略称:テニプリ)シリーズ。「週刊少年ジャンプ」にて『テニスの王子様』(1999-2008年)を連載後、2009年から『新テニスの王子様』を「ジャンプSQ.」にて連載中だ。9月には同作10年ぶり4作目となる劇場版が公開されるが、主人公・越前リョーマがアメリカでタイムスリップ、テニスギャングとラップバトルを繰り広げるという内容に「ついに時空を超えたか」「テニスギャングって何?」とツッコミの嵐にも。本誌連載でも、透明人間の出現や馬上テニスなど“常識外れ”のテニスがSNSを幾度なくバズらせてきたが、こうした反響に作者・許斐剛先生は「術中にハマっています」と笑みを浮かべる──。

【画像】「テニスってなんだっけ…?」ツッコミ必至!SNSがざわついたテニプリのラップバトルって?

■「『SLAM DUNK』はあまりにも大きな存在」、メガヒット続く90年代「ジャンプ」デビュー当時

 『テニスの王子様』(以下『テニプリ』)の連載がスタートしたのは1999年。90年代の『週刊少年ジャンプ』と言えば、『DRAGON BALL』『幽☆遊☆白書』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』『SLAM DUNK』『ジョジョの奇妙な冒険』などメガヒット漫画がひしめき合っていた。だが1995年に『DRAGON BALL』が、1996年に『SLAM DUNK』が終了し発行部数は減少。そんな中、1997年に『ONE PIECE』が登場し、『ジャンプ』が再び盛り上がりを見せていたところで始まったのが同作だ。

──メガヒットの後を追ってのデビューとなりましたが、当時どのような心境で描かれていたのでしょうか。特にスポーツものでは『SLAM DUNK』という偉大な作品もありましたが。

【許斐剛】スポーツものとしてあまりに大きな存在ですよね。『ジャンプ』では過去に『キャプテン翼』のような作品もありましたが、『SLAM DUNK』以降、リアル系のスポーツ作品が増えていた印象です。当時、どの作品も『SLAM DUNK』との比較を免れ得なかった。そんな中、私は、リアルなものも好きですが、漫画にしか出来ないものを見せたいという想いがありました。男子テニスの漫画も当時なかったので、「これは絶対にヒットするだろう」という確信も実はありました。

――その確信の根拠は?

【許斐剛】主人公の越前リョーマというキャラクターですね。『ジャンプ』らしい熱い主人公ではなく、クールなライバルタイプを主人公に据えたこと。ですが主人公が無口になると暗い作品になってしまいます。私は王道が好きなので、そのために、主人公をリョーマにするなら、周りを囲むキャラをしっかり描きたいと思いました。つまり、(リョーマが通う)青春学園中等部のチーム全体を主人公として定義し、その中で個性づけを。それに対するライバルも同じようにチームひと塊にして各キャラの個性をだしていく。格好いい男の子たちがパーティーを組むスポーツものはちょっと新しいんじゃないかと。ですから『テニプリ』では個人戦ではなく団体戦ばかり描かれるんです。

――規定のものではない作品作りを目指された。

【許斐剛】他の作家さんには作れないものを作りたい。勝つとか負けるとかの分岐路で、普通ならばAをとり、「Bはないよ」という流れがあるとすれば、私はそのBをとる。そのBルートを面白く描くのがこっちの仕事ですし、それができれば読者の予想を裏切れますから。

――そんな『テニプリ』ですが26巻で“無我の境地”という超人的な技が登場して以来、凄技のオンパレードです。『ジャンプ』と言えば、『侍ジャイアンツ』(1971年)の魔球があり、『キャプテン翼』などもそうですが、技名を叫びながら超強力な必殺技を繰り出す王道の流れがあるかと思います。それを踏襲したのでしょうか?

【許斐剛】そうですね…。それはファンタジー系の作品に負けたくなかったから、かな。『ジャンプ』は日本一の少年マンガ誌で、その中での一番を目指したい作家さんが集まってきます。トップ・オブ・トップを目指す作家さんがアンケート制というシビアな状況で切磋琢磨しているのが『ジャンプ』の強さで、例にもれず私も一番になりたかった。そうなると、『ONE PIECE』にも当然、負けたくない。ファンタジー要素のあるもの、大見得を切って必殺技を繰り出す作品は、子どもが夢中になります。それが必要だと思いました。しかし、格好いいだけだと受け入れてもらえない傾向も。“ダサ格好いい”方が面白がられますしね。

――“ダサ格好いい”…最近だと、透明になる技「不会無(ふえむ)」が登場し、「ついに透明人間まで!」などとネットで話題になっていましたが、それらもすべて意図して?

【許斐剛】もちろん。私は天才ではなく、凡人なんです。天才だと天然でぶっ飛んだことが出来ますが、私は凡人だから常識的で「これは一歩外れている」というのが分かる。その踏み出すか、踏み出さないかのバランス感覚で22年間、やってきました。最近だと「これはバズるだろう」「こういう風に記事に取り上げられるだろう」と考え、その記事の見出しになるだろう部分まで提供するよう心がけてもいます。その記事を間口に読む方もいらっしゃるでしょうし、私は、漫画はエンタテインメントだと思っているので、とにかく楽しんでもらいたい。

――なるほど。読者のツッコミ待ちなんですね。

【許斐剛】まさしく。だからツッコんでくださる方は私の術中にハマっています(笑)。馬に乗ってテニスをしたり、そうすると皆、ツッコみたいじゃないですか(笑)。ただ、劇薬みたいなものなので、あくまでもテニスのルール内で、というのは大前提です。

――確かに、テニスのルールに「透明人間になっちゃいけない」というのはない。

【許斐剛】はい。なので、今も私は「何をしていないか」探しています。「そういえば、まだゾンビは出てないな」とか(笑)。

――そんな中、3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が公開されます。実写版を含めて、10年ぶり4作目の映画化です。

【許斐剛】私はアーティストとしても活動させていただいているのですが、2016年に、VRライブ(初のワンマンライブ『許斐 剛☆サプライズ LIVE ~一人テニプリフェスタ~』 ※☆は内側が黒星の白星)を見た映画業界の方から「面白いことをやってますね」と食事に招いていただきました。そこで「先生の夢は何ですか?」と問われ、「3DCGで、今まで見たことない、こうこうこういう映画を作りたい」と熱く語ったら、「その夢、協力させてください」と言っていただき。それがこうして形になりました。とても嬉しかったですね。

──3Dにこだわった理由は?

【許斐剛】まったく新しいものを見せたかったからです。3Dはお金がかかるので「2Dではどうですか?」と何度も言われたんですけど「そうじゃないんです」と。これは、これまでの劇場版の延長ではなく、ここから初めて『テニプリ』を観る新たな世代にも届けたかった。だからこそタイトルには『テニスの王子様』と入れたくなかったんです。

──作品名を入れたくなかったんですか!?

【許斐剛】『テニプリ』を知らない子たちにも見てもらえるようにハードルを下げたくて、タイトルにも『テニスの王子様』と入れたくなかったんです。一人の生意気な天才テニス少年がラケット一本で大人をなぎ倒していく痛快ストーリーは、今の子どもにも絶対に通用すると思っています。結局『リョーマ!』に落ち着きましたが、完全な“新生”劇場版です。ロードムービーのように楽しんでもらえたら幸いです。

(取材・文/衣輪晋一)

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