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『給湯室がマウントの取り合いに…』OLの愚痴から生まれた“悪口を救う”アニメが1億超再生「最高におもろい」

SNSアニメ『モモウメ』(C)CUEBiC Inc.の画像

SNSアニメ『モモウメ』(C)CUEBiC Inc.

 SNSで人気を集めているアニメ『モモウメ』。今やYouTubeの登録者数は49万人を突破し、先日、Blu-ray&CDや書籍を発売するなど、大きな話題となっている。同アニメを制作しているのは、デジタルマーケティング会社のキュービック。アニメとは全く縁のなかった会社が『モモウメ』の制作に至った理由とは。同アニメの誕生秘話やネタ収拾の裏側など、制作プロデューサーの内田真之介氏に聞いた。

【動画】「面白いのに深い…」給湯室のマウントの取り合いをぶった切る”神回”

■「“働き方改革”が進まない!」働く人々の問題解決を目的に制作された『モモウメ』

 『モモウメ』はYouTubeで毎週1話配信され、総再生数1億4000万回以上のドタバタゆるゆる系アニメ。新人OLのモモちゃんとベテランOLのウメさんが、職場あるあるについて雑談する様子が描かれている。

――キュービックは、デジタルメディアを中心とした様々な事業を展開している会社ですが、アニメ制作に至った過程を教えて頂けますか。

僕はもともと広告代理店で動画や映像を制作していました。キュービック入社後は動画コンテンツのクリエイティブディレクターを務めることになり、4年前に薬剤師のウェブサイトでキャラクターを作ったのがきっかけで『モモウメ』が生まれました。当初は、薬剤師さんの働き方やモチベーション、人間関係の悩みなど、色んなことをアニメーションで解決できればという目的でスタートさせました。ですので、もともとモモウメは薬剤師だったこともあって、誕生したときからマスクをつけたキャラクターになっています。

――なるほど。薬剤師からOLに設定が変わったのは何故なのでしょうか?

世の中にある様々な職業の中で、最も共通項が多いのがOLさんだったからです。「働き方改革!」と呼びかけてもなかなか進まないのが現状です。それならば僕らが少しでも多くの人々の課題や問題を解決できるようにしようじゃないかと。というのは大げさですが(笑)、皆さんの職場の人間関係を円滑にして、モチベーションを上げながら楽しく仕事ができるようなお手伝いができればいいなという思いで、“笑いと愛”に溢れたOLの“職場あるある”を盛り込んだアニメーションを作るようになりました。

■「足で稼いだ“あるあるネタ”が共感を生む」愚痴を悪口にしないノリツッコミが救いに

――YouTubeで350万回以上再生されている「給湯室がマウントの取り合いで凄いことになっていた件w」など、OLの“職場あるある”がテーマになることが多いですが、どのようにネタを決めているのでしょうか。

とってもアナログなんですが、まず様々な人達にお話を聞いて“あるある”ネタを収拾しています。例えば、薬剤師メディアの運営の時は薬剤師さん10名ほどにファミレスまでお越し頂いて長時間お話を聞いたり、「おしりの相談編」というアニメに関しては、肛門科の横にある薬局の薬剤師さんに話を聞いた際に「痔の薬を渡す時は気を遣う」と言っていたのが面白かったので、そこから生まれたものだったりします。OLの職場あるあるに関しては、いまはコロナの影響もあってオンラインでのリサーチが多いのですが、以前はユーザーのOLさんに集まって頂いて座談会などを開いていました。

――SNSのフォロワーも多くなり、情報収集もしやすくなったのでは。

最近はTwitterのフォロワーさんとSNS上で会話をすることもありますね。そこから“あるある”を拾うこともありますし、YouTubeのコメントをチェックしたり。あとはYouTubeのコミュニティで「どんなことにイライラしましたか?」「理不尽な上司はいますか?」といったアンケートを取ったりもしています。『モモウメ』はSNSアニメなので、ユーザーにも参加してもらいながら作るという立ち上げ当初のコンセプトを大事にしながら作るようにしていて。そういった泥臭いヒアリングを行っているからこそ、多くの人に共感して頂けるのではないかなと思います。マーケティング会社がアニメを作っていることの強みですよね。

――『モモウメ』がここまで多くの人の支持を得ることができた理由は何だと思われますか。

とにかく何でも隠さずに正直に描くことを大事にしています。例えば僕が上司として部下と接する時に、仕事の指示をコロコロと変更していたようで、そのことを部下に指摘されたんです(笑)。そのネタを使ったのが『モモウメ』の「仕事の指示をすぐ変更する人にギャルが物申す」です。社内外の様々な人の実体験も含め、正直に描くというのは制作する上で一番気をつけています。ただ、発信する際にひとつ気をつけなければいけないのが“ただの悪口にしないこと”。僕は部下の気持ちも上司の気持ちも理解できるので、様々な愚痴から生まれた悪口に対して、救いを与えてあげないといけないと思っているんです。ウメさんがモモちゃんの愚痴にちゃんとノリツッコミして愛で答えているのは、フォローをしているからなんですよね。

■「上司に観せたら仲良くなれた」職場の改善につながったという声も

――『モモウメ』を見ていると、“どの立場の人も楽しめるように”という配慮が感じられます。SNSのアニメだからこそ気をつけていることは何かありますか。

“心の処方箋”になるようなアニメにしたいと思っているので、誰も傷つけないことをテーマに作るようにしています。SNSはテレビと違って誰でも気軽に触れられますし、簡単に人に影響を与えてしまうものなので、観て嫌な気持ちになるようなものを作らないことが大事というか。SNSは拡散力に優れているぶん、炎上などネガティブなイメージもありますよね。ですが、そういったことを払拭しながら、うまく活用できるのがアニメの力だと思うので、観たら幸せになれるようなものを意識して“あるある”を詰め込むようにしています。

――“心の処方箋”は現代人には必須なのかもしれませんね。

「『モモウメ』を観ると気が楽になる」、「マウントを取ってくる人も笑えるようになった」、「上司に『モモウメ』を観せたら仲良くなれた」といった声をよく頂きます。それは凄く嬉しいですし、観てくださった方の職場の環境が少しでも改善されたり、職場の人達とうまくコミュニケーションを取れるようになったという感想を聞くと、アニメーションを作って良かったという実感が沸きますね。

――『モモウメ』はどういうジャンルのアニメになるのでしょうか。

ジャンルとしては、デジタルマーケティング会社が作る新ジャンルのSNSアニメになりますね。「SNSアニメ」という言葉は造語で、最初に使い始めたのはキュービックなんです。『モモウメ』の特徴としては、Twitterでつぶやきと色々なお知らせ、YouTubeでは正規のアニメ、TikTokでは女子高校生のモモちゃんを主人公に、インスタではモモちゃんとウメさんの日常がイラストで書かれたものをアップするなど、それぞれのSNSの特性に合わせたものを掲載するようにしています。これは他のアニメではやっていないことなのではないかなと思います。

――今後、『モモウメ』に関してどんな展開を考えてらっしゃいますか。

僕は「アニメはこうあるべき」とか「一般的にはこれだ」という考えや発想が苦手でして(笑)、そういったルールに縛られずにもっともっと『モモウメ』の世界を広げていきたいと思っています。私自身のnoteに「グッズを作って売りたい」と書いたら実現しましたし、やりたいことはどんどん言っていくことが大事なのかなと。いまの時代、アニメの形や表現方法がだいぶ変わってきているので、これからも多くの人に楽しんで頂けるような面白いコンテンツを遊び心を持って作っていきたいです。

(取材・文/奥村百恵)

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