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コロナ禍で食品サンプルも注文4割減、「苦境の飲食店のために」老舗企業が面白ツイートする理由

Twitterで話題になった「オムライスの破壊力」の写真(株式会社いわさきTwitterより)の画像

Twitterで話題になった「オムライスの破壊力」の写真(株式会社いわさきTwitterより)

 食品サンプルを日本で初めて事業化し、1932年に創業した『いわさき』。同社の公式Twitterによる「オムライスの破壊力」というツイートが、大きな反響を呼んだ。こちらは、パソコンのキーボードの上にオムライスが鎮座するという“大惨事”を撮影したものだが、オムライスはもちろん食品サンプル。このように、自社製品を面白くSNS発信しているが、その裏にはコロナ禍で苦境に立たされた外食産業への思いがあるという。昨年は、食品サンプルの注文が4割近く減ったという同社。現在の考えを聞いた。

【写真】え、本物じゃないの⁉「熱々ステーキにぶっ刺さったペン!」「スマホが味噌汁に浸かって…」ビックリ&爆笑、食品サンプルグッズ

■“オムライスの破壊力”ツイートに大反響、「間接的にでも飲食店や食品業界のお役に立てれば」

――公式Twitterでの「オムライスの破壊力」というツイートが大きな反響を呼びました。

 「SNS担当者に、食品サンプルの写真などを定期的に発信してもらっていますが、突然『バズりました』と報告を受けて驚きました。投稿した本人も『これほどの反響があるとは…。社内のみんなは見慣れ過ぎていて1ミリも驚かないのに』とびっくりしていました」

――目を疑った、というようなコメントも多かったですね。

 「やはり、驚きのリアクションは多かったです。でもその後に、『株式会社いわさき_食品サンプル』というアカウント名を見て安心した方もいらっしゃったようで。本物のオムライスと勘違いされた方が多かったと思いますが、そう誤認させたのは出来栄えが良かったからかも。騙されてしまった方、大変申し訳ございませんでした。でも概ね楽しんでいただけたようで安心しました」

――このようにSNSを活用することには、どのようなお考えがありますか?

 「ツイートは、社内コンペ作品やオリジナルカレンダー用に当社製作員が製作した食品サンプルが多いです。飲食店に飾られているものとは違った製法で作られた食品サンプルの、特別なシズル感やリアルさを多くの方にご覧いただきたいとの思いから行っています。本来は飲食店や食品業界の方に多くご活用いただいておりますが、一般の方の注目が集まれば、日頃ご利用いただいているお客様へ間接的にでもお役に立てるかと考えています。

 『食品サンプルの使命は飲食店の魅力を伝える役割』というのが当社の本道ですが、こうして一般の人にも楽しさや面白さを伝えられるようになったのは、SNSのお陰だと思います。日本生まれの食品サンプルを、皆さんが世界に誇る日本カルチャーとして自慢に思ってもらえたらうれしいです」

――コロナ禍で飲食店に行きにくい地域もあると思いますが、食品サンプル業界にもコロナの影響は出ていますか?

 「一時休業を余儀なくされるお店も多く、営業時間を短縮されたり、席数を減らされたお店も多いです。そのため、昨年は食品サンプルのご注文も例年より40%近く落ち込みました。今年になって、昨年よりは飲食店の動きも活発にはなってきましたが、まだまだ例年のような動きには戻っていない状況です」

――外食産業が苦境に陥っている中、繋がりの深いいわさきさんから伝えたいことは?

 「今でも多くの方は、飲食店に行きたい、美味しい料理を食べたいと感じていると思います。外食とはただ食べるだけではなく、家族、友人との憩いのひと時でもありますし、一人でほっと一息をつける時間の一つです。もちろん感染防止には十分に気を付けた上で、こんな時だからこそ、もっとお店の魅力、良さをPRしていくことが必要だと思います。当社の食品サンプルがお店の繁盛、お客様の楽しいひと時に役立てればと思っています」

――この状況下で、食品サンプルが果たす役割とは?

 「お客様にとっては、入店前にメニューを選ぶことができるため、店内のメニューブックを触らずとも選ぶことができます。飲食店にとっては、入店される前にお料理を決めてもらうことで滞在時間の短縮が図れ、回転数を伸ばすことにつながります。

 食品サンプルは、老若男女、国籍を問わず、言葉を超えて直感的に料理の魅力、内容を伝えることができる販促物。外食に対するワクワク感が高まりますし、“美味しそうだけど食べられない”という存在自体がおかしみを誘い、見る人を明るくさせてくれるものだとも考えています。閉塞感が漂いがちな状況だからこそ、もっと街中に食品サンプルをあふれさせ、人々の気持ちを明るくさせたいです」

■“本物そっくり”より“瞬間の演出”、時代に合わせて変化

――昨今、食品サンプルはアートや面白グッズとして求められることも多くなりました。受け取られ方の変化を感じることはありますか?

 「最初は料理の見本としてスタートした食品サンプルですが、『何を食べるか?』を決める楽しみ、お店を出る時に『次はどれを食べようか?』とリピートに繋げるなど、飲食店の販売促進のための商材へと変わっていきました。これに伴い、食品サンプルの製作についても、『本物そっくり』よりも『おいしそうな瞬間の演出』を意識するようになりました。このように食品サンプルの役割は、いつも時代に合わせて変化してきました。

 お店で『触らないでください』と書かれていても、好奇心をくすぐられて思わず触ってしまう…食品サンプルにはそのような人をひきつけるパワーがあると思います。アートや面白グッズという求められ方は、本物にありそうでない、食品サンプルならでは表現を面白がっていただく機会が増えた流れの中で生まれたのだろうと感じています」

――オンラインショップでは、飲食店以外からの注文が増えていますか?

 「今回のツイートをきっかけに、たくさんの方にオンラインショップへご来店いただいております。当社は一般のお客様向けの商品はほとんど扱っていませんでしたが、今年1月にオンラインショップをリニューアルしました。一般の方へ『食品サンプルの楽しさを伝えたい』という思いで、社内プロジェクトのスタッフたちで考えた様々な食品サンプルグッズを毎月25日に発売しています。海外の方からお問い合わせをいただくこともあります」

――とくに人気の商品は?

 「以前から取り扱っている『こぼれたコーヒー』、『味噌汁スマホスタンド』などの面白商品の他に、懐かしい純喫茶をイメージした『食べかけプリン小物トレー』、極厚ステーキにソースがジュワっと沸騰中の『厚切りステーキペーパーウエイト』など、デスク周りグッズですね」

――食品サンプルに楽しさを見出している、一般の人へ伝えたいことは?

 「当社の食品サンプルは、飲食店はもちろん、病院や学校の教材でもご活用いただいておりますが、一般の方への商品開発は始まったばかり。今デジタル全盛の時代ですが、実物ではありえない表現、一目でその料理の魅力を伝える力…ハンドメイドならではの技術を使った楽しい商品をどんどん開発していきたいと思います。私たちの食品サンプルで楽しく、笑顔になっていただければうれしいです」

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