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祖父の遺影が“自撮り”と知り後悔… 祖母の思い出を残し続ける孫の想い「遺影が何枚あったっていい」

おばあちゃんと幸せそうな芝犬の福ちゃんの画像

おばあちゃんと幸せそうな芝犬の福ちゃん

 自分のおばあちゃんの写真を4年間撮り続けているYASUTOさん。そのきっかけは、おじいちゃんが遺影を自分で撮っていたことをお葬式で知り、後悔したからだという。愛犬とおばあちゃん、四季の花々とおばあちゃん、62年間使い続けているミシンとおばあちゃん……、おばあちゃんとの日常を形に残した写真の数々にツイッターで大きな反響が寄せられている。YASUTOさんにおじいちゃん、おばあちゃんへの思いを聞いた。

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■「おばあちゃんの遺影は俺が残してあげる」満開の花との写真を狙い、毎年10回撮影に

――6年前のおじいちゃんの死をきっかけに、おばあちゃんの写真を撮り始めるようになったそうですね。

おじいちゃんはポートレート撮影が大好きで、よく賞も獲っていた人でした。僕も、16歳だった2000年から趣味で写真を撮っていたのに、おじいちゃんと写真の話を一度もしたことがなかったし、おじいちゃんの写真を1枚も撮ったことがありませんでした。おじいちゃんが死んでいなくなって、そのことをすごく後悔して。人間って後悔しないとわからない生きものじゃないですか。そこが僕のターニングポイントでした。

――最初に撮ったおばあちゃんの写真は、いつですか。

 2017年に撮った藤の花とおばあちゃんの写真が始まりでした。「おじいちゃんの遺影は、俺が撮れなくて後悔したけど、おばあちゃんの遺影は俺が残してあげるから撮影に行こうや」って誘って、藤が満開の地におばあちゃんと出かけて撮りました。その写真は今、ツイッターのヘッダーにしています。

――おばあちゃんの反応はいかがでしたか。

そのとき撮影した中の1枚を、おばあちゃんは「これを遺影にする」って言って選んだんですけど、僕は「いやいや、おばあちゃん、まだ決めるのは早いよ」って。そこから4年間、毎年10回くらいは一緒に撮影に出かけています。

――おばあちゃんの写真にツイッター上には多くの反響が寄せられていますが、印象に残った言葉はありますか。

比較的、数字が伸びている写真には「自分のおばあちゃんのことを思い出した」というコメントが多いんですが、そういう声は自分自身も嬉しいですね。

■いい写真はデータでなく形に残す「人生最初で最後の個展はおばあちゃんのお葬式で」

――1回につき、どのくらい撮影しているのですか。

1000枚くらいは撮っていますね。

――1000枚も! では、4年間撮りためた写真はかなりの枚数になっていそうですね。

めちゃくちゃ多いと思います。でも、僕は写真をデータのままにしておくよりも、できるだけ形にして残しておきたいんです。「これだ!」という1枚は、A4サイズでプリントして、額に入れておばあちゃんにプレゼントしています。まだ10作品くらいなんですけどね。あと、同じものをA3のサイズでプリントして、実家の倉庫にコツコツためています。遺影が何枚あってもいいと思っていて、おばあちゃんのお葬式には、A3の額縁の写真をいっぱい飾ろうと考えているんです。まだおばあちゃんには見せてないんですけどね。僕の人生最初で最後の個展を、おばあちゃんのお葬式でしようかなって思っています。

――気に入った写真は、プリントしてアルバムにも残しているそうですね。

 今年、おばあちゃんの米寿のお祝いがあったのですが、そのときに、おばあちゃんがおじいちゃんのアルバムを出してきて、「このときこんな顔をしているのは、こういうことがあったからだよ」とか、思い出をたくさん語ってくれたんです。たった1枚の写真でそれだけのことを伝えられるし、写真はその日のことを思い出させてくれる。それを肌身で感じたので、デジタルでためておくのではなく、大切な写真はプリントして宝物として保管することが大事だなって考えるようになりました。

――写真を撮るうえでこだわっていることはありますか?

 今は写真を加工できる時代ですが、僕は、人が写り込んでいようと、消すのが嫌なんです。写真ってそもそも消せないものだし、消してしまうのなら、結局、プリクラでいいじゃんって思いますしね。

――YASUTOさんにとって写真はあくまで趣味で、仕事として有料では請け負っていないとお聞きしました。

僕の写真の原点は、16歳のとき、「写ルンです」で撮った写真を友達に現像してあげて喜んでもらったことです。その原点を忘れたくないので、有料での撮影依頼はすべてお断りしています。プリセットを売ることもしません。みんながプリセットを使ったら、同じような写真ばかりになってしまうじゃないですか。僕は自分が最後まで仕上げて、他の人とは違う、その人ならではの味や個性、色味が出ることを大切にしているので。プリセットを売ることは、秘伝のたれを売り飛ばしちゃうみたいな感じがするので、今後も販売はしないと思います。

■おじいちゃんが教えてくれた“写真の力” 家族との関係性もより密接に

――おじいちゃんが生きていたら、YASUTOさんの写真を見て、なんて言うでしょう。

 おじいちゃんとは写真についての話を一回もしたことがないので、おじいちゃんがどういう評価をするかはわかりません。ただ、今、家族の写真を撮っていて、37歳の孫や息子と出かける機会って普通なら滅多にないと思うし、今を残す写真の力とか、おじいちゃんが亡くなってから気づいたことや体感したことがたくさんあるので、おじいちゃんが身をもって知らせてくれたような感覚になっています。

――ツイッター上には、「温かい気持ちになった」というコメントも多いですが、人の心を動かせるのも“写真の力”ですね。

その日、その時、その瞬間は2度と訪れません。まさに一期一会の瞬間で、その瞬間を残せるのが写真です。SNSは文字の情報量が多いと言うけれど、僕の場合は写真で伝えられると思っているので、キャプションは一文くらいしか書きません。今後も、このスタイルでいいんじゃないかなって思っていますね。

(文/河上いつ子)

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