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『王様のブランチ』ブックコーナーの功績 出版不況の中でも長尺で伝える“読みたくなるマインド”

『王様のブランチ』で総合司会を務める佐藤栞里(左)と、レギュラー出演の藤森慎吾 (佐藤栞里:写真/古謝知幸(ピースモンキー))(C)ORICON NewS inc.の画像

『王様のブランチ』で総合司会を務める佐藤栞里(左)と、レギュラー出演の藤森慎吾 (佐藤栞里:写真/古謝知幸(ピースモンキー))(C)ORICON NewS inc.

 1996年に放送スタート、すっかり土曜の午前から昼の“顔”として定着した情報番組『王様のブランチ』(TBS系)。グルメ、ショッピング、レジャー、映画、不動産物件など、多岐にわたる情報を発信する中、ひと際異彩を放つのが「BOOKコーナー」だ。出版不況や活字離れが叫ばれるご時世、他局の情報番組では縮小の一途を辿っている書籍コーナーだが、同番組ではきっちり30分間「ランキング」と「特集」から構成され、視聴者の“読みたくなるマインド”を駆り立てている。出版社や作家の間では、「ブランチに出ると重版がかかる」と囁かれているとの噂もでるほど。放送当初からブランチの“良心”として人気を誇る「BOOKコーナー」の功績とは?

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■情報番組としての“あるべき姿”を書籍で表現 他の追随を許さない濃密な30分間

 他局の情報番組でも、ベストセラー作家や人気作家、本屋大賞を受賞した話題の作品などをトピック的に紹介するコーナーはある。しかしその“濃密度”でいえば『ブランチ』は他の追随を許さない。冒頭で「BOOKランキング」として最新の週間ランキングを発表しているが、ジャンルは週によって「総合」「文芸」の2種があり、データは三省堂、TSUTAYA、ブックファーストなどが提供している。ランキングでは、人気作家による本格小説もあれば推理小説やミステリーもあり、その他ビジネス書、タレントのエッセイ、子ども向けの本…といった具合にバラエティ豊かだ。

 それらの情報は、アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)の工藤優作役や映画『007シリーズ』のピアース・ブロスナンなどの吹き替えで知られるベテラン声優・田中秀幸によって、しっとりと情緒豊かにナレーションされる。

 各書籍で使用される写真やイラストも用いながら、あらすじはすべて明かさず、10秒から1分ほどで凝縮して届けられ、日ごろ本を読まない人でも「これは面白そうだな」と思うような、視聴者の“読みたくなるマインド”を刺激していく。

 そして何よりも、そこにはBOOKランキングを通じて旬なネタ、いわゆる「今、これを知っていれば大丈夫」的な話題を視聴者に提供するという、情報番組としての“あるべき姿”があると思われるのだ。

■視聴者目線で臨む女性リポーターが知られざる作家のパーソナルを深堀り

 ランキングの後は、BOOKコーナー最大の特徴といえる、作家のインタビューを中心とした「特集コーナー」。これまで石田衣良や西加奈子、湊かなえ、羽田圭介ら人気作家が登場しており、普段はあまりテレビに出演しない作家の姿も見ることができる。

 SNSによる自己発信全盛の今でも、やはり彼らの“肉声”は貴重。「あんな残酷なミステリーを書いている人が、こんな穏やかな人だったとは…」「わりと気さくで面白い人なのね…」といった新発見もあり、視聴者も作家をより身近に感じることができる。そうした意味では、羽田圭介を筆頭に同コーナーで披露したキャラクター性が功を奏し、他のバラエティ番組の出演へとつながった作家も多数存在する。

 また、インタビュアーが通常のMCや出版関係者などの専門家ではなく、番組の女性リポーターが務めるのもポイントだ。自然に視聴者(読者)目線の質問にもなり、同時にしっかりと事前に読み込んでいる“予習”もうかがえるので好感が持てる。こうした「素人っぽさ=生の意見」も、いい意味で視聴者の“読みたくなるマインド”を喚起しているといえるかもしれない。

■「ブランチで紹介!」が立派な“売り文句”に…経済効果としても信頼度大

 さらに同コーナーは、「ブランチで取り上げられると重版(初版部数を売り切ることが予想される、または売り切ったので追加印刷すること)になる」という“伝説”もあるほど影響力があり、いわば多方面への“経済効果”も期待されている。

 実際、『価格.com』やHMVのサイトでは、「『王様のブランチ』で紹介された本」というまとめページまで存在し、出版社でも「『王様のブランチ』でブックランキング1位になった●●が重版決定!」など、立派な“売り文句”として使用されている。まさに、作家×出版社×番組の“三方一両得”(読者も入れれば四方)というウイン×ウイン×ウインの関係が成立しているのである。

 また、このBOOKコーナーは終わってもさっさと次のコーナーには移らない。話題の余韻冷めやらぬ中、MCがスタジオのメンバーにコメントを振るなどして、視聴者の“読みたくなるマインド”の最後の仕上げにかかったりするのも心憎い。最近は午後のコミック紹介コーナーなども、そうした余韻や共感につながるものでもあり、総じて“BOOKコーナー効果”といってもいいのではないだろうか。

 ここ20年にわたる出版不況、活字離れの中、しぶとく良質なコンテンツとして「本」を取り上げるコーナーを続けてきた『王様のブランチ』。昨年来のコロナ禍において、図らずも本や活字の持つ力が見直されつつあり、2020年の紙の出版物(書籍・雑誌)の売り上げも前年に比べて下げ幅が縮小。同番組の「BOOKコーナー」もその一助となったことは間違いないだろう。紙媒体全体にアゲインストの風が吹くなか、いまだ色あせない“本の価値”をしっかりと見出し、読書の魅力や楽しさを再認識させてくれる同コーナーは、作家や出版社はもちろん、テレビ業界においても“良心”といえるだろう。

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