プレゼント・クーポンPRESENT COUPON

フェリアSNSSOCIAL

映画・アニメ

加賀まりこ、54年ぶりの主演映画『梅切らぬバカ』公開決定 初共演の塚地武雅と親子役

加賀まりこ・塚地武雅が親子役で初共演 、映画『梅切らぬバカ』(C)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクトの画像

加賀まりこ・塚地武雅が親子役で初共演 、映画『梅切らぬバカ』(C)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

 女優の加賀まりこ主演、塚地武雅と親子役で初共演した映画『梅切らぬバカ』が年内に公開予定だ。老いた母親と自閉症の息子が自立への道を模索するストーリー。今月11日に開幕する『第24回上海国際映画祭』アジア新人部門・作品賞にノミネートされたことも併せて発表された。

【画像】ウエディングドレス姿を披露した加賀まりこ

 タイトルは、ことわざ「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」に由来する。対象に適切な処置をしないこと。樹木にはそれぞれの特徴や性格があり、その特徴や性格に合わせて世話をしないとうまく育たないという戒めでもある。転じて、人間の教育においても、桜のように自由に枝を伸ばした方がいい場合と、梅のように手をかけて育てることが必要な場合があることも意味する。

 古民家で占い業を営む山田珠子(加賀)は、近隣住民との付き合いを避け、自閉症の息子・忠男(塚地)とふたりで暮らしていた。庭に生える一本の梅の木は、忠男にとって亡き父親の象徴だったが、その枝は塀を越え、細い私道にまで乗り出していた。

 隣家に越してきた里村茂(渡辺いっけい)は、通勤の妨げになる梅の木と、予測のつかない行動をする忠男を疎ましく思っていたが、妻の英子(森口瑤子)と息子の草太(斎藤汰鷹)は、珠子の大らかな魅力にひかれ密かに交流を育んでいた。

 ある日、忠男の通う作業所に呼び出された珠子は、知的障害者が共同生活を送るグループホームへの入居案内を受ける。自分がいなくなった後の忠男の人生を考え続けてきた珠子は悩んだ末に入居を決めるが、住み慣れた家を出た忠男は環境の変化に戸惑うばかりだった。ある晩、ほかの利用者とのいさかいをきっかけにホームを抜け出した忠男は、近隣住民を巻き込む厄介な「事件」に巻き込まれてしまう…。

 高齢の親が中年の子どもを養い続けることで表面化する社会的孤立と親子共倒れの危機。さらには障害者施設に対する地域コミュニティの偏見や軋轢(あつれき)。他人事では済まされない日本社会のリアルな問題を取り入れながら、決して揺らぐことのない母と子の絆と共生への希望を力強く描いた作品。

 主人公・珠子を演じる加賀は、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた小栗康平監督『泥の河』(1981年)や、『月曜日のユカ』(64年)、『ダイヤモンドは傷つかない』(82年)など数々の名作に出演し、近年ではドラマ『花より男子』(2005年、TBS)で松本潤演じる道明寺の母親役のイメージも持つ人も多いだろう。主演映画は、1967年『濡れた逢びき』以来、なんと54年ぶりとなる。

 加賀は「障害を持つ子供の親の方は、人に優しく、責任感が強い。その部分を大事にして演じました。息子役の塚地さんは前からファンでしたが、共演してみてますます好きになりました」とコメント。

 珠子の息子・忠男役を演じた塚地は、ドランクドラゴンとして知られるお笑い芸人でありつつ、近年は俳優としてドラマ・映画でも独特な存在感を示している。本作で演じた忠男が自閉症であるという側面については、「忠さんを演じるにあたりグループホームを訪問し自閉症の人達の生活を見させていただき、ご家族や世話人の方からもたくさんお話を聞かせていただきました。自分の中に見えてきた忠さん像を、プレッシャーもありましたが真摯に真っ直ぐに演じました」と述懐。やがて訪れる”親亡き世界”に向け、強い意志で行動を起こす姿を、ユーモアを交えながらも体当たりで演じている。

 本作は、『浅田家!』の中野量太監督、『水曜日が消えた』の吉野耕平監督などを輩出し、これまで日本映画の若手映画作家を育ててきた「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」の長編映画として選出・製作された。脚本・監督は、過去に短編『第三の肌』でも「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」に選出された映画作家・和島香太郎。ドキュメンタリー映画にも関わり、障害者の住まいの問題に接してきた。本作では、障害者への偏見や無意識の差別などの問題を真正面から描きつつも、母と子の揺るぎない絆と、共生への希望、日常の尊さといった温もりも感じさせる。

 和島監督は「以前、あるドキュメンタリー映画の編集を担当しました。自閉症と軽度の知的障害を抱える男性のひとり暮らしを描いた作品です。膨大な映像素材には、男性を支える親戚や福祉関係者の姿が記録されていましたが、近隣住民の姿が写っていませんでした。自立を支える人間が身近にいない問題に言及するため、近隣住民への取材を試みましたが、カメラを向けることは許されませんでした。溝を深めているのは、自閉症を原因とする予測のつかない行動への恐れと、『安定した暮らしを保ちたい』という普通の願望のために語られる、障害者排除の論理でした。虚構という形であれば、この意図せざる差別の構造を描けるのではないかと思い、本作を構想しました」と説明する。

 脚本も和島監督が担当した。主演の加賀は「手にした台本は今時のチャラさがなく、内容が新人らしからぬ地に足が着いているものでした。出来上がった映画は、たんたんと重い場面がすすむのでかえってホッとしました。音楽も、静かでよかったです。いやでも『明日』はやってくる。この親子の日常は続く。どうか見守ってください」。

 塚地は「台本を読ませていただいた時は、忠さんを取り巻く家族、隣人、グループホームの仲間、世話人の方、仕事場の方々、地域の皆さん、多くの人の生活が丁寧にリアルに描かれており、大切なテーマだなと思いました。和島監督はこのテーマに対し一緒に悩み、一緒に喜び愛情を持って作品を作り上げ、その愛が映像にも出ていると思います。この作品を通して、自閉症の方の性格や行動を学び少しでも理解すると接し方が変わるのではということに気づかせてもらいました。自閉症を知るきっかけにこの作品がなれればいいなと思っています」と、話している。

 また、本作の正式出品・上映が決まった上海国際映画祭(※)のプログラミング・ディレクター、徐昊辰氏は、「“障害者への偏見や差別”、“他人や社会へ配慮しすぎる人々”。この社会はどこかズレている。そして、コロナはその“ズレ”を更に加速させた。和島香太郎監督は、この世の中を冷静に見つめ、力強いメッセージを出した。皆さん、どうか“バカ”にならないでください!」とコメント。和島監督は「障害のある人の住まいをめぐる問題と、共生の描写がどのように受け止められるのかが楽しみです」と、海外の映画祭で上映される喜びを見せていた。

(※)上海国際映画祭において、当初正式出品・上映される予定だった「アジア新人部門」がなくなり、本作は「GALA部門」に正式出品・上映されることになりました(6月14日加筆)

ORICON NEWSは、オリコン株式会社から提供を受けています。著作権は同社に帰属しており、記事、写真などの無断転用を禁じます。

こちらの記事もどうぞ