プレゼント・クーポンPRESENT COUPON

フェリアSNSSOCIAL

芸能・エンタメ

國村隼、吉田羊との親子役“息ピッタリ ジェーン・スー原作ドラマで感じたこと

『生きるとか死ぬとか父親とか』に出演している國村隼(C)テレビ東京の画像

『生きるとか死ぬとか父親とか』に出演している國村隼(C)テレビ東京

 テレビ東京「ドラマ24」で放送中の『生きるとか死ぬとか父親とか』(毎週金曜 深0:12~0:52※テレビ大阪のみ翌週月曜 深0:00~0:40)。ジェーン・スーの同名タイトルの小説を原作とした同作は、愛きょうはあるが自由奔放な父と、それに振り回される中年の娘のおもしろおかしくて、ときどき切ない家族の愛憎物語となっている。ジェーン・スー自身をモデルにした主人公・蒲原トキコ(吉田羊)の父役である國村隼に話を聞いた。

【写真】ジェーン・スーが3人? ラジオブースで仲良く撮影

――台本を読んだ感想
今回は、台本を読む前にジェーン・スーさんの原作を読ませていただきました。
ドラマのエピソードも、ほぼ原作通りに脚色されているなと感じました。
台本はとても面白くて安定感もあり、自分の中にも入りやすかったと思います。

――父親役を担当することについて
今回に限らず、実在の方をやらせていただくというのは、いろんな意味でプレッシャーがかかるもので…お父様ご本人がご覧になるということも少しは考えます(笑)。原作を読んで感じた世界観に添って忠実に…と言うのが適当なのでしょうが、描かれている親子についていえば、ジェーン・スーさんの視点はご自身の主観と俯瞰(ふかん)が同居しているようなところがあって、そこがおもしろいと思いました。父親という存在が、彼女にとってみたら、さまざまなトラブルの元でもあったし、心の中のわだかまりの元凶と言ってもいいかもしれない。彼女にとっての父親が過去・現在・未来においてどういう存在で、どういうベクトルなのかというのを思いながら、それを脚本の中に探していく作業でしたね。

――ジェーン・スーさんのお父さまとも対面されたようですね
ポスター撮影、撮影現場にも、ジェーン・スーさんと一緒に来られました。本当に肌ツヤも良く、お元気で、しかもとてもハンサムな方でした(笑)。これは、女性が放っておかないだろうなというのがわかりました。

――吉田羊さんは、國村さんがそんなお父様の雰囲気を完璧に表現されているとおっしゃっていました。
それは有難いですが なにしろ一番のプレッシャーでもありましたので(笑)。
私が実際のご本人に似せようとしてもそれは土台無理な事ですから、シナリオと対峙して、その中に生きている人を探すようにしています。(自身の役どころは)悪気がないという表現も変ですが、ひとを傷つけようというのはもちろんないのですが、ものすごく自分の欲求や価値観に素直で、飄々(ひょうひょう)としているようなのにどこか突っ走るところもある、という印象です。

――撮影合間には、口笛をよく吹かれていたようですね。
それは、自分では自覚がなかったんですよ(笑)。羊さんが「また、同じものを吹いていますよ」って。多分、迷惑だったと思います(笑)。本当に無意識なんですよ。それで監督が「実際のシーンでも吹いてもらえませんか?」とリクエストがきて、実際に劇中でも口笛を吹くシーンが新たに追加されました。日頃からひょうひょうとされている、お父さんのイメージと符号するということで、監督が口笛の演出を取り入れたのかもしれないですね。

――吉田羊さんとは、本当に親子のような雰囲気を醸し出していらっしゃいますが?
実はあの密度でご一緒するのは初めてだったのですが、吉田羊さんという女優さんは、現場での立ち居振る舞いもそうですし、お芝居でもそうですがホントに自然体であって、私とも何となく波長が合うように思いました。ことさらに気を遣いあうでもなく、自然にいることができました。でも、羊さんはわかりませんので聞いてみてください(笑)。撮影していても、すごく自然に、2人の親子のリズムというか、台詞のやりとりをしていましたね。また、羊さん自身はほぼジェーン・スーさんでしたしね。メガネ、ターバンなどの小道具をスーさんに寄せてらしたことも相まって、ふっとスーさんとお父さんの親子関係に、入っていけたと感謝しています。

――ジェーン・スーさんのラジオはお聞きになったことはありますか?
今回ドラマをさせていただくこともあり、車に乗りながら聞いていました。ドラマの中で、トキコがやっているあの感じをそのままで(ドラマが寄せてるから当たり前ですね)、スーさんがドラマより、もうちょっと明るいトーンで話されていたんですが、トキコの番組は午後8時からで、スーさんの番組はお昼だからそこが違います。ラジオを聴きながら運転しているとおしゃべりのリズム感が素晴らしく、心地よい声でそれから癖(くせ)になりました。

――國村さんご自身のラジオにまつわる思い出はいかがでしょう
ラジオの思い出は、自分にとってはラジオドラマになるんですね。俳優になりたての頃は、ステレオではなく、ぎりぎりでまだモノラル方式で録音していました。その頃は、ラジオドラマの全盛期に演出されていたスペシャリストみたいな方がまだいらっしゃって、若い頃の僕は手取り足取り教えてもらった経験があるんです。本当に難しいんですが、でもスタジオに居るときの緊張感と出来上がっていく面白さは何物にも代えがたいものでしたよ。

だって俳優のマイクの使い方ひとつで、距離感や動きまで表現できてしまうんですから。聴いているお客様に音だけでビジュアルが伝わるように作るのがラジオドラマですから、例えばドラマの世界の住人がどんな家に住んでいるのか、集合住宅か一戸建てか。平屋か二階建てか、なんてこれすべてが俳優のマイクに向かう表現一つでイメージが広がっていく面白さ。これは映像とはまったく異なった世界でした。

――國村さん演じる、トキコの父は自身の中に「これは絶対に譲らない」という芯を持っていると感じるシーンがあります。
原作の中で「あ、これがこの人の肚(はら)に有るんだな」と思ったくだりが有りました。戦時中のエピソードです。戦争を体験した世代の方は、世の無常さも含めて、社会に対して、何かひとつ基軸を持っていないと、ブレてしまう。戦争を是とするのか非とするのか、そういうことを迫られた真っただ中にいた人たちは、それぞれ自分なりの見識を持たざるを得なかったでしょうね。僕たちとしては、戦争はもちろんダメなものというのを理屈の上で考えているのですが、現実に爆弾が落ちてきて、その中を逃げまどった経験がないわけで肌感覚で戦争を知らない。それを知っている人と、知らない人との違いは当然ありますよね。僕の両親は、九州だったのですが、パラオからの引き揚げ者だったので、そういういろんな戦争体験は子どもの頃にあったみたいですね。

――作品を通して、視聴者も家族関係を振り返るきっかけになりそうです。
家族というのは人間が暮らしていく上で最小の単位です。血のつながりがあったり、またなかったりもするでしょうが、何人かで〈家族〉を構成していくと決まっている訳です。一番近く親しいはず、頼りになるはずであろう人間関係というのが、意外に危うい関係であって、どういう形で変遷していくのか。たとえばドラマの中のような父と娘の関係では、娘の立場から父との関係をどう捉えていて、父自身はそれをどう理解しているのか、意識していくのか。親の立場からしても、その思いが大事な要素として描かれるので、作品を通して、フィードバックして、感じていただけたらなと。

――役を通して「したいことはするしかない」「しかしそのしっぺ返しは甘んじて受けるんだぞ」「肚は括っておくもんだ」という人生の教訓を受け取ったと話をされていましたが?
実際に、スーさんのお父さまからそういった言葉は伺っていないのですが(笑)、原作の世界観を考えると、あのお父さんは底の深い所でそうなんじゃなかろうかと。父親の後悔なども出てきますので、ドラマの中でそんな事も感じていただけたらなと思います。回が進む中で、自分自身が父親を演じながら、追体験しているような不思議な感覚がありました。

現代は、かつてあったステレオタイプな決まりごとは急速に通用しない時代になってきています。社会の中で男女の関係や仕事のあり方も変わってきていますし、当然、女性の社会進出も、お父さんの時代とはまったく違いますよね。結婚というひとつの節目であるイベントも、かつてと現代では違うでしょう。それぞれがそういうことを考えていかないといけない時代になってきているのを自覚する事、これも一つの肚括りのうちかもしれません。

ORICON NEWSは、オリコン株式会社から提供を受けています。著作権は同社に帰属しており、記事、写真などの無断転用を禁じます。

こちらの記事もどうぞ