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小野賢章、『ガンダム』の重圧を感じた主人公役 アムロ役・古谷徹から学んだ「座長のあるべき姿」とは?

インタビューを受ける小野賢章 (C)oricon ME inc.の画像

インタビューを受ける小野賢章 (C)oricon ME inc.

 映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が5月7日に公開となる。本作の主人公、ハサウェイ・ノアの声を務めたのは、人気声優・小野賢章。40年に及ぶ「ガンダム」の歴史のなかでも選ばれた人しか演じられない狭き門でありながら、そのコンテンツの大きさゆえ、各所から注目を集めてしまうという大きな重圧がかかる大役に、これまで数々の作品で主役を務め、存在感を示してきた小野も苦悩しながら演じたという。体験した人にしかわからない重圧のなか、どのように主人公役に臨んでいったのか。また、そんな小野を支えた先輩ガンダム声優の言葉とは?

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■“悩む”ハサウェイ役を演じることで、小野自身も頭がぐちゃぐちゃに

――主人公、ハサウェイ・ノアの声を演じた映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が間もなく公開となります。完成した作品はご覧になられてどう思いましたか?

【小野賢章】すごく、ホッとしたというのが、素直な感想です。すごく時間をかけて、いろいろ試行錯誤しながら、お芝居をさせてもらったので、終わった後も、どのテイクが使われているか、完成したものを見なければわからないなという状況だったんです。なので、観たときは「こういう感じになったのか」と、すごくホッとしました。
 作品は、やはり大人の作品でしたね。素晴らしい画の力と迫力の音も相まって、観終えたときの高揚感がすごかったです。

――確かにハサウェイを中心に繰り広げられる人間ドラマが印象的な作品ですね。連邦軍のブライト・ノア大佐の息子でありながら、「マフティー」のリーダーとして反地球連邦政府運動を行うハサウェイという役は、どのように作り上げていったのですか?

【小野賢章】最初、アフレコが始まる前に、本作の世界観を全体で共有した後に、個々の役の設定や想いを、話してからスタートしました。「このお芝居の仕方は間違っている」「方向性が違っている」と指摘されるというよりは、「この方向性とは別の、こっちの方向性でもやってみよう」というような形で、いろんなパターンを試し、監督や録音演出の方と話しながらやっていきました。

――ハサウェイの心の機微は、言葉だけでなく、しぐさや視線でも表現されていました。ご自身はハサウェイという役をどのように理解し、アフレコに臨まれたのでしょうか?

【小野賢章】難しくて、いまだにどういう風に話せばいいのか迷いますね。ハサウェイはアムロとシャアの意志を受け継いだ人物だと思います。2人とも、根本に「地球を守る」という考えがあって、どちらも地球のことを考えての行動だったと思うんですけど、それぞれやり方が違った。ハサウェイも2人の考え方を受け継いで、1000年先も地球が存在するために要人暗殺に走るんですけど、ハサウェイ自身も、これが正しいのか悩んでいる。自問自答しながら、苦しみながら、でも「マフティー」のリーダーでもあり、引けないところにまで来ている。
 僕自身、相当悩みましたね。ハサウェイが思っていることを、自分も思ってやらないと、観たときにしっくりこない。でもハサウェイが本当に思っているようにやってしまうと主観的になりすぎて…、ぐちゃぐちゃすぎて自分もよくわからなくなりました(笑)。どう表現していくか、村瀬修功監督たちと、話しながら進めていきました。

■ガンダムに受け継がれる魅力…それは登場人物それぞれに“信念”や“正義”があること

――アムロやシャアの想いを、次世代のハサウェイに受け継がれるように、「ガンダム」という作品においても40年の歴史のなかで、受け継がれているものがあるかと思います。長きにわたり愛されている「ガンダム」という作品の魅力はどんなところにあると感じていますか?       

【小野賢章】「ガンダム」の魅力は、登場人物それぞれに“信念”や“正義”があることでしょうか。描かれてる側と反対側が悪として見えるだけというか。
 本作も、過激な運動者という立場を考えると、ハサウェイは悪役なはずだけど、主人公として描かれている。ハサウェイのなかにも、“信念”や“正義”があって。それを悩みながら進んでいく。ただロボット同士が戦って、勝ちました、我々の勝利です、みたいな作品ではない。
 問題提起というか、メッセージを残して、深いところまで、自分だったらどうするかなって考えさせる。それもガンダムの魅力だと思いますね。

――ハサウェイを演じたことで、何か見えたものはありましたか? 

【小野賢章】演じてみても、答えは出ないですね。どれが正解かなんて、出せないし、出す必要もないのかなと。それは受け取る側が考え、自分が正しいと思ったものを選択していくための作品かなと思ったりします。

――声優業界においても、これまでガンダムを作り上げてきた世代から、小野さんたちの世代へそのバトンが受け継がれているように感じます。そのあたりはどのようにお考えですか?               

【小野賢章】うーん、どうなんですかね? 僕は世代交代という言葉はあまり使いたくないなと思っています。もちろん、先人たちが残したものを全く無視して、「俺たちの方が面白いものを作れるぜ」ということではありません。(先輩たちの残したものを)変に意識していくのではなく、一生懸命、僕たちがやれることをやっていくだけかなって思っています。           

■アムロ役で“ガンダム御殿”を買った古谷徹からの教え

――以前、アムロ役の声優・古谷徹さんとお話をして、古谷さんが「ガンダムやったら人生変わるぞ」と言われていました。実際、本作はご自身のキャリアにとってどのような作品になりましたか?

【小野賢章】日本のアニメ史を代表する作品に関われたというのは、僕のキャリアの中ではすごく大きなターニングポイントになるのかなと思っています。ただ、まだ公開前なので、実感はしにくいですけどね。
 すごく長い時間をかけて役と向き合って作ったという印象があって。特に最近は1つの作品にここまで時間をかけるということがなかったので、役者としても探求したら、向き合ったら向き合うだけ、そこに上限がないというか。もちろん、それがいい場合と悪い場合があると思うんです。考えすぎて迷子になっちゃうみたいな(笑)。
 でも本当に役者としてすごくいい経験させてもらったなと思いました。演じていく中でどうしても主観的な見え方が多くなっていくと思うんです。でもそれって自分で演じているだけじゃ気付けないアプローチの仕方を気づかせていただく機会が多くて。これ絶対自分じゃ気づけないよなという方法が多々あったりしたので、いい経験になりました。

――「公開後に人生が変わる」のでしょうか?

【小野賢章】どうなんですかねー(笑)。古谷さんはアムロ役で“ガンダム御殿”を買ったらしいです(笑)。でも、古谷さんからは、先輩としていろいろ教えていただきました。

――どのようなことを?

【小野賢章】対談させていただいた時に、「座長としての在り方」のお話をしていただきました。すごく、心に刺さりましたね。ありがたいことに、これまでたくさん主人公役を演じさせていただいたんですけど、僕も年齢を重ねてきて、座長としての在り方を今後もっとちゃんと意識してみんなを引っ張っていけるような存在になっていけたらいいなと思っていたんです。スタッフさん、キャストのみなさんが、どういう人なのか、どういうことを考えているのか、どういうことをこの作品のなかでやりたいのか、話してみないとなかなかわからない部分だったりするので、食事に誘ったり、コミュニケーションを取ったりする現場の雰囲気づくりについて教えていただきました。僕も以前から大切だとは思っていたんですが、改めて思い直しましたね。このご時世、食事はなかなか難しいんですけど。

――芝居以外にも、そういった立ち居振る舞いの部分も受け継がれていくんですね。公開直前ですが、今は楽しみの方が大きいですか?

【小野賢章】今たくさんの取材を受けたり、会う人会う人に「楽しみにしてます」と言われるので、ただただ、ガンダムという作品の大きさ、皆さんからどれだけ注目されているのかということは、ひしひしと感じています。知れば知るほどプレッシャーを…(笑)。
(公開が)楽しみというよりは、「この作品が皆さんにどのように受け取られるのだろう」という、不安というか、正直緊張が勝ちますよね。ドキドキです(笑)。

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