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名刺配りから“食える役者”へ ムロツヨシ、25年でたどり着いた現在地

『宇宙なんちゃら こてつくん』のナレーション&ダクサくんをダブルで担当するムロツヨシの画像

『宇宙なんちゃら こてつくん』のナレーション&ダクサくんをダブルで担当するムロツヨシ

 NHK Eテレにて毎週水曜日午後6時45分~放送中のテレビアニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』。本作のナレーション、そして宇宙のいろんな知識を教えてくれる重要キャラクター・DAXA(ダクサ)くんをダブルで担当するのは俳優・ムロツヨシ(45)。いまや誰もがその名を知る役者となったが、たくさんのことに悩み、経験し“食える役者”へとたどり着いた。舞台、映画、ドラマ、声優、監督…と多岐に渡る顔を持つムロのこれまでを聞いた。

【画像】こてつくんと仲良く手を繋ぐムロツヨシ

 本作は、『ごきげんぱんだ』や『こねずみ』など、かわいらしくユーモラスな人間味あふれるキャラクターを描く、人気クリエイターにしむらゆうじ氏の同名WEBまんがが原作。宇宙飛行士を目指す主人公・こてつくんと、同じく宇宙を目指す仲間たちとの出会いから、アカデミーでの何気ない日常、夢に向かって頑張ることの大切さを描いている。

 ムロのほかキャストは、舞台となる宇宙アカデミーのパイロット科で宇宙飛行士を目指す主人公・こてつ役を藤原夏海、同じくパイロット科で勉強が大好きなクラスのトップエリート・ニコ役を榎木淳弥、スペースクラフト開発科でロケットの研究をしているルー役を玉木雅士、宇宙アテンド科で宇宙に行くお客さんの“おもてなし”を勉強中のひかる役を竹達彩奈、宇宙飲食科で宇宙食の勉強をしているおたま役を山口茜、こてつのじいちゃん役を山口勝平が務める。

 『ボス・ベイビー』の日本語吹替、アニメ映画『二ノ国』など、声の仕事経験もあるムロへのリクエストは“うまくやらないで”ということだった。「まじめにやろうと思っていたので、準備してきたものが通用しなかったです(笑)。“なんちゃって”ナレーションでお願いされたのですが、これが難しい。肩の力を抜きすぎると内容が伝わらなくなってしまう。迷路に入っていますけど、その迷いも含めて楽しんでもらいたいです(笑)」と手探り状態で挑んでいる。

 今回のオファーについては「子ども向けでゆるくていいな」と喜びつつ「子ども向けになにか届けたい年代にもなっていたし、どうにか子ども目線は持っていたいと思っていたのでうれしいです」と視聴者層に寄り添うことを意識する。

 作品の魅力を聞くと「キャラクターのゆるさ。こてつくんが宇宙飛行士という夢をもって歩んでいきますが、押しつけがましくない。夢を持っているゆるいキャラクターがゆるく前に進んでいくのが良いですよね」とどこか自分ともマッチした雰囲気にも味わっている。

■もがき苦しんだ5年間を経て見えた“スタートライン”

 本作を含め、映画・ドラマ・舞台・アニメなど、ジャンルを問わず幅広く活躍する俳優・ムロツヨシ。大学在学中に役者を志し、作・演出・役者を行ったひとり舞台で活動をスタートさせたが、最初は「うまくいかない。うまくいかない…。自分はうまくいく側の人間じゃないとネガティブになりました。目の前にアルバイトしかなかったし、きつかったし、『これが現実だな』と思い知らされました。お芝居をする場所も、せりふもない。誰もムロを見たいと思っていない。役者をやりたいと言って、5年経ってこの状況でした」と、もがき苦しんだ過去を明かす。

 それでも、その5年間を受け入れたことで「スタートラインが見えた」と言う。「25歳くらいのときですかね。当時は『売れたい!』という言葉が演劇界ではかっこ悪い言葉だったんです。だけど、それを使おう。わざと使って人と違うことをアピールしました」と“食える”役者になるために強い覚悟を持って行動を始めた。

 その後は「嫌われてもいい」と自分の名刺を関係者に配り「『使ってください!』と恥ずかしがらずに直談判していきました。それをやってようやくスタートラインに立ったかな」とできること積み重ねていったことで、ようやく道が見えた。

 そして、『踊る大捜査線』シリーズで知られる本広克行監督に見出され、05年公開の『サマータイムマシン・ブルース』で映画初出演。しかし「1本映画出たら、2本目、3本目とすぐに決まると思っていたんですけど、違いましたね」と現実の厳しさをより痛感した。

 「(1本目で)メインの役をやってしまったからこその苦しみがあって。その後は通行人Aとか、チームメイトCとか…。それがつらかった。でも、まだ努力が足りないんだ。もっといろいろ経験しないといけなんだと思い、またいろんな人に『使ってください!』と言いました。バカにされていたかもしれない、それが30代前半くらいですね」とひたむきに自分をアピールした。

 そして、『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『銀魂』シリーズ、昨年放送された日本テレビ系ドラマ『親バカ青春白書』など、福田雄一監督の作品の常連になり、TBS系ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(18年)では、初出演だったという本格ラブストーリーに出演したことで人気を不動のものにした。

 「良い役者というよりも、ご飯を食べられる役者になりたいと思っていました。いまこの瞬間は、食べられる役者になっている」とデビュー時に思い描いていた夢をひとつ実現させた。「ここからは好きなやり方を試して、食べられなくなるかどうかも含めてやってみたいです。今年からは自分のおもしろいことに重きを置いてやっていく予定ですので、まだまだ夢の途中ですね。自分なりの“良い役者”を考えていきたいです」と自分の好きを突き詰めていく。

 「役者は誰にでもなれるんです」というムロ。「かっこつけではなく、劇場を借りて舞台に立ったら役者なんですよ。『よくせりふを覚えられますね』と言われますけど、本番・役柄が決まったら絶対覚えますから。人間、やると決まったらやるんです。子役があるのは役者だけ。医者に子どもはいない。会社員に子どももいない。言い方は悪いかもしれないけど、子どもでもできることを僕たちはやっている。これは絶対に忘れてはいけない」と初心を常に心に置き、これからも自分の役者道を進んでいく。

 役者人生25年で初の“主演”となる映画『マイ・ダディ』も今秋に控える。長い年月を経て、たどり着いた現在地。役者として、どのような道しるべを残してくれるか、これからの活躍にも注目したい。

◆ムロツヨシ 1976年1月23日生まれ 神奈川県出身
下積み時代を続けながら、08年に脚本・演出・出演する舞台「muro式」をスタート。18年に『エランドール賞』新人賞を42歳にして受賞。プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』で初映画監督、muro式の最新作『がくげいかい』が4月6日より開幕する。

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