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6枚の黒板を使った高校生の斬新アートに校長も絶賛、汗だくで走り回りながら描いた“執念の傑作”

香川県立善通寺第一高等学校のチーム「うみんちゅ」のメンバーの画像

香川県立善通寺第一高等学校のチーム「うみんちゅ」のメンバー

 黒板をキャンパスに、チョークのみで絵を描く“黒板アート”。黒板メーカーの日学(株)は2015年から全国の中高生を対象にしたコンテスト『日学・黒板アート甲子園(R)』を開催している。その驚異的なクオリティから、近年SNSなどを通じて大きな話題となっている。昨年、優秀賞に輝いた香川県立善通寺第一高等学校の『消し忘れ注意!』もそのひとつ。6枚の黒板を使用し、サメが飛び出してくるようなアートを実現。審査員からも「着想の斬新さにおいて、黒板アートの展開に新たな方向性を示した価値ある作品」と高く評価された。

【黒板アート傑作集】ある角度から見ると…飛び出して見えるホオジロザメ、制作過程ほか驚きの作品の数々

■自分たち独自の表現方法追い求め70時間、完成したのは夏休み最終日

 香川県立善通寺第一高等学校デザイン科の生徒5人で構成されたチーム「うみんちゅ」が夏休みの10日間、約70時間を費やして完成させた作品が『消し忘れ注意!』。制作は、インターネットで大会開催の情報を見つけたメンバーが「挑戦したい!」と先生に申し出たことからスタートした。

「ある日、学校の倉庫に眠っているいくつかの移動式黒板を見つけ、『これ、黒板アートに使えるんじゃない?』と思いついたことから今回の取り組みは始まりました」

「高校生らしくエネルギッシュな作品にしよう!」という思いをテーマに、放課後の忘れられた黒板からホオジロザメが教室に飛び出してきてしまうというコンセプトを決定。ホオジロザメを描くためにいろいろ調べるにつれ、その強靭な肉体やあまり知られていない脅威の再生力についても知り、「ますますテーマに合致した題材であると感じた」と目を輝かす。

 指導にあたった中西先生は、チョークの扱い方やデッサンはもちろん、“自分たち独自の表現で作品を作る”ようアドバイス。先生のその助言を実現するべく奮闘した様子は、メンバーのこんな言葉にも表れている。

「移動式黒板を見つけたとき、まず奥行きのある表現に生かせると思いました。でも、6枚の黒板を使用して奥行きを出すためには、それぞれに描いた絵同士が繋がっているように見せなければならず、とても苦労しました。その確認のために、三脚で固定してあるカメラと黒板の間を何度も行き来し、汗だくで走り回りながら、ズレていないか配置や構図を確認しながら描いていくのはとても大変でした。何度かくじけそうになりましたが、生物担当の先生から資料を貸していただいたり、担当の先生からの助言や励ましの言葉をいただけたりしたのが私たちにとって大きな励みとなり、制作を続けることができました」

 完成したのは、夏休みの最終日。多くの先生が作品を鑑賞しに来てくれたことに感謝するメンバーたちだが、中でも「校長先生の『すごい!!涼しくなりました!』という感想がとても嬉しかった」と振り返る。

■高難易度の作品にも一切妥協せず書き直し「黒板アートには思い出にも似たノスタルジックがある」

 普段は授業でデザインについて学び、個人で様々な分野のコンテストに応募するなどしているという5人。今回はチームで描くという初の挑戦も経験した。

「意見の食い違いはもちろんありました。『ここはこの描き方で』『こっちのほうがいいんじゃ?』と、毎日意見交換を盛んに行いました」

 間近で見ていた中西先生も、メンバーたちのその熱気を肌で感じていた。

「図案の変更はたびたびありましたし、納得のいかない部分の書き直しも含め、ダメ出ししながら妥協のない作品づくりを生徒同士で行っていたように思います」

メンバーたちの原動力になったのは、兎にも角にも最優秀賞を獲得したいという気持ちだった。それだけに、「優秀賞になったときは、嬉しいという気持ちより悔しい気持ちが勝っていました」と無念さをにじませる。

 しかし、大会に出場したことで、得たものも大きかった。

「向上心のあるチームになれたことが良かったですし、何より、挑戦することの楽しさや価値を教わる機会になりました。5人で協力して最後まで投げ出さずに一つの作品を作り上げた経験は、大人になってもきっとずっと忘れない価値のあるものになったと思います」

 同校が大会に出場するのは、2019年に続き2度目。生徒たちの奮闘ぶりに寄り添ってきた中西先生は、黒板アートの魅力をこう語る。

「黒板は学校生活をイメージさせる力を持っています。また、描いたものは簡単に消えて無になってしまうという思い出にも似たノスタルジックな要素と、そして、若い学生が扱うことが一番適しているところが黒板アートの魅力であると感じています」

 学生たちが、“今”の思いと情熱を、慣れ親しんだ黒板にぶつけて生み出すアート。コロナ禍で学生生活に苦難を強いられることが多かった日々を経て、今年はどんな作品が誕生するのか、大いに期待したい。

(文・河上いつ子)

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