
いにしへの道と呼ばれる竹田神社の並木道
「いにしへの道(=写真上)」に立つ「いろは歌」。「つらしとて恨みかへすな我れ人に報ひ報ひてはてしなき世ぞ」など心にしみるものが多い。47首のうちにきっと自分の心にすとん、と落ちるものがあるはず。道の奥には、日新公の墓所も。のんびり散策をするのにぴったり。(里)
竹田神社と日新公の墓所
国登録有形文化財の旧鰺坂家住宅
カフェとギャラリー poturi
ビタースウィート
ここから、ゆる旅スケッチの世界をお楽しみください。
古木導く「いろは歌」の道
島津家中興の祖とされる日新公こと島津忠良を祭る南さつま市の竹田神社。境内から200mにわたりイヌマキの並木が続く。見上げる高さの古木。並木道に一歩入れば、すぐ下を通る国道の騒音は遠ざかり、鳥のさえずりだけが響く。

静寂に包まれるイヌマキの並木道/イラスト:張 佐和子
並木は「いにしへの道」と呼ばれ、日新公が人の生き方を説いた「いろは歌」を刻む47の石碑が並ぶ。「いにしへの道を聞きても唱へてもわが行ひにせずばかひなし」。昔からの立派な教えを聞いても口先で唱えても、自分で実行しなければ何の役にも立たない―全ての碑の傍らに、解説板が立つ。
日新公は島津分家の伊作島津家の出身で、長男貴久が島津家15代の当主となった。いろは歌は、その後の薩摩藩の教育の規範となったという。同神社そばの武家屋敷に住み、地元の歴史に詳しい鮫島健志さんは「小学校のころ暗唱させられたものです」と教えてくれた。
神社周辺の麓地区には、武家屋敷など江戸末期から昭和初期にかけての古い建物が数多く残る。水路沿いに石垣、イヌマキの生垣が続き、所々に立派な武家門が立つ。国登録有形文化財のうち1軒、旧鰺坂家住宅は邸内を公開している。いにしへの道からぶらり、歴史散歩を楽しもう。(徳重里香)
竹田神社「いろは歌」―いにしへの道―
- 南さつま市加世田武田17933[MAP]
- 休/なし
- 問/南さつま市観光協会=0993-53-3751
ここでいっぷく
レトロな洋館。風情にのんびり
麓地区にある「カフェとギャラリーpoturi(ポツリ)」は、昭和初期に建てられた元診療所の洋館だ。

もともと病院だった洋館
もともと鹿児島市でカフェを営んでいた店主の東修さんが、たたずまいを気に入り2008年に移転してきた。しっくいの壁や木の窓枠、受け付け窓など当初のまま。「治療にかかったことがある」とかつてを懐かしむ客も訪れるという。
カフェでは妻、聖子さんが軽食とスイーツを出す。この夏加わったホットケーキは、バターの香り漂う懐かしのおやつ。ギャラリーには県内外の作家による陶器やアクセサリー類が。女性の心をくすぐる小物を吟味しながら、のんびりと過ごしたい。

懐かしの味ホットケーキ
見つけた!
せごどんの帽子
「せごどんの帽子」というタイムリー!?な名を持つケーキを、菓子屋ビタースウィートで見つけた。カボチャを使ったズコット=イタリア語で帽子の意味=ケーキはワンホール1,620円。鮮やかな黄色が目を引く人気商品だ。

一見大きいが、しっとり軟らかいスフレ生地で「ぺろっと食べちゃう」という声が多々という。同店は地元に根付く菓子店「とも屋」の新店舗で、ケーキや焼き菓子が並ぶ。かごしまブランドの完熟金柑「春姫」ジャム入りのハート形焼き菓子「春姫のきもち」(216円)もおすすめ。
菓子屋ビタースウィート
- 南さつま市加世田東本町38-7[MAP]
- TEL:0993-53-4058
- 営/10:00~19:30
- 休/不定

南日本新聞南さつま支局長
勝目 博之(41)のおすすめ
麓地区、散策にもってこい
竹田神社周辺の加世田麓地区は、武家屋敷などがあり、とても落ち着いた雰囲気。市は伝統的建造物群保存地区の選定に向け、関係機関と調整中だ。少し足を伸ばせば、食事や買い物が楽しめる商店街「加世田ゆめぴか本町通り」もあり、散策にはもってこいだ。
- 南さつま市データ
-
- 人口:35,640人(2016年9月時点)※加世田地区は21,000人余り。
- 面積:283.59km2
加世田、笠沙、大浦、坊津、金峰の1市4町が2005年に合併。 - 市の木:イヌマキ(マキ科)
イヌマキは常緑樹で、大きいものは20mにも達する。同市では、垣根、庭園樹として広く植えられ、建築材としても利用されているそう。