
「シンプルだからずっと聴ける」
店に出かけて買ったお気に入りのCD。フィルムを開けプレーヤーにセットして、流れ出した音に心躍らせる。カメラマンの小原賢文さんも、そんな経験を懐かしむ一人だ。
歌詞カードを読みながら同じCDを何度も聴いていた中学時代を思うと、インターネットからデジタルデータで音楽を買うことも多くなった今の状況は、少し寂しいという。
「今でも特に好きなアーティストはCDで買います」という小原さんがあえてCDで聴くのは、リオデジャネイロオリンピックの開会式にも登場し話題となったブラジルの巨匠、カエターノ・ヴェローゾの『カエターノ・ヴェローゾ』。ギターを抱きかかえたジャケットの、1985年録音の弾き語り盤だ。
マイケル・ジャクソンの曲をメドレーに取り入れるなどポップスファンの心をくすぐる選曲も素晴らしい。何より「美しい声と美しいギター、シンプルだからずっと聴ける」。納得の名盤だ。