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Q
台風で隣家の瓦が飛んできたようで、車に傷がつきました。補償してもらえるのでしょうか。
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A
隣家の占有者又は所有者に対する補償請求ができる場合があります。
お尋ねのようなケースでは、工作物責任を根拠に補償を求めることが考えられます。工作物責任とは、「土地の工作物の設置または保存の瑕疵(かし)」がある場合に、その工作物の占有者または所有者が負う責任です。台風などの自然災害による被害であっても、工作物である建物の瑕疵が原因である場合には、補償を求めることが可能なのです。
問題は、何をもって瑕疵があるといえるかですが、きちんと施工・保守されている瓦屋根であっても、台風の強さによっては瓦が飛んでしまうことは避けられません。地域の家屋の瓦が皆飛んでしまっている場合は、不可抗力と言わざるを得ず、補償を求めることは困難です。
これに対し、瑕疵があるとされるのは、建物の老朽化が進んでいるにもかかわらず、これを放置していた場合などでしょう。ただし、保守・管理に大きな問題がなくとも、簡単な対策で被害を防止できた場合に責任を認めたケースもあります。
瑕疵の有無はいろいろな事情(強風の予測可能性、対策の容易さ等)を考慮することになりますが、台風は不可抗力だからといって、一概に請求をあきらめる必要はありません。ただし、請求の前提として傷の原因である飛来物を特定する必要はあります。「この傷は、お隣さんの瓦のせいに違いない」と推測だけではダメですから、注意が必要です。
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