
湯前まんが美術館
建物もユニーク!! 湯前まんが美術館
球磨地方の伝統玩具「きじ馬」を模したユニークな建物(=写真上)の中には、「サンデー」や「マガジン」でおなじみの漫画家のサインや直筆イラストなども展示。企画展は年間を通して開催されています。
Kitchen café 奥球磨だんだん
「だんだん」は球磨地方の言葉で「ありがとう」という意味があるのだそう。その名の通り、細やかなおもてなしを感じるお食事処です。滋味あふれる料理の数々に癒やされます。
潮(うしお)神社
おっぱいマシュマロ
それでは、“おでかけスケッチ帳”の世界をお楽しみください。
全国でも珍しい「まんが美術館」

イラスト:張 佐和子
くま川鉄道の湯前駅を左に曲がってすぐ。球磨地方の伝統玩具「きじ馬」を模した建物が「湯前まんが美術館」だ。地元の杉とヒノキを多用した木造建築で、館内には木のぬくもりがあふれている。
湯前が生んだ反骨の政治漫画家で1989年に亡くなった那須良輔氏の偉業を展示、保存し、町活性化の核施設にしようと1992年にオープンした。

同氏は戦後、新聞紙上を中心に政治風刺一筋に生きてきた。すぐれたデッサンで、時の政治家の似顔絵を特徴的に描きながら、リクルート事件やロッキード事件など世間を騒がせた政治悪などを痛烈に批判してきた。常設展示室には、そんな氏の精神が伝わる原画がずらりと展示してある。
漫画をテーマにしたイベントも年間を通して行われている。現在は特別展示室で1月31日まで「那須良輔風刺漫画大賞作品展」を開催中だ。ドローンや安保法案といった時事ネタを中心に硬軟さまざまな作品およそ500点を展示する。同館の藤崎正人さんは「県境の小さな美術館ですが、漫画の世界を存分に楽しんでください」とPRする。館内には、現役の人気漫画家のサインやイラストがさりげなく飾られており、好きな作家のサインを見つけると思いがけずうれしくなる。

「人情味を感じさせるのが那須先生の風刺画の特徴です」と藤崎さん
寄り道グルメ
kitchen cafe 奥球磨だんだん

テーブル席もある
築80年以上の旧家の邸宅を利用して2007年にオープン。建物は、ほぼ当時の面影を残しており、広々とした高い天井の座敷からは、のどかな田園風景が見渡せる。4卓ある座席はそれぞれ個室なので、周囲を気にせずゆったりとした時間を過ごすことができる。鹿児島から訪れる人も多いそうで、中には加治木から毎月来店する人もいるのだとか。
地元の野菜をふんだんに使った料理は、球磨地方に伝わる家庭の味がベース。一手間二手間加えられた料理の数々に舌も心も浮き立つ。使いこまれた黒塗りの盆や椀(わん)は、屋敷とともに歴史を重ねてきた品々で、メニューによって器を変えるこだわりようだ。14時までのランチタイムで味わえるのは、月替わりで10食限定の「奥球磨の恵み」(1,500円)と「おまかせランチ」(750円)。予約がおすすめ。
料理を担当するスタッフは「『だんだん』は球磨地方の方言で『ありがとう』の意味。感謝の気持ちを込めたおもてなしを心がけています」と笑顔だ。

1日10食限定の「奥球磨の恵み」は1,500円。彩り豊かな料理が並ぶ。15種類以上の野菜を使用
kitchen cafe 奥球磨だんだん
- 熊本県球磨郡水上村岩野2609[MAP]
- 【TEL】0966-44-0008
- 【営】11:30~17:00(L.O.16:00)
- 【休】火・水曜
- 【P】あり
来店前に予約を入れるのがベター
ちょこっと寄り道【spot】
潮神社

公園やキャンプ場、温泉施設などがある「ゆのまえグリーンパレス」の一画に鎮座する潮神社。別名“おっぱい神社”と呼ばれ、子宝と子育てにご利益があり、乳房をかたどったものを奉納すると、母乳の出がよくなるといわれている。近くには男性の神様を祭る「塞(さい)神社」がある。両方に参拝して、縁結び・夫婦円満祈願をしてみては。
潮(うしお)神社
- 熊本県球磨郡湯前町野中田[MAP]
- 【問】湯前町産業振興課
- 【TEL】0966-43-4111
- 【営】参拝自由
- 【P】あり
ちょこっと寄り道【gourmet】
庄籠製菓舗 おっぱいマシュマロ

潮神社にちなんだ商品が町おこしのきっかけになればと、地元の庄籠製菓舗が開発。味は湯前町の特産品にちなみメロン、イチゴ、ユズの3種類。やわらかな弾力と口どけの良さが特徴だ。主原料はゼラチンなので、女性のおやつにも最適。6個入り1箱540円。同町の米粉を配合した「おっぱいまんじゅう」は10個入り1箱972円。
- memo
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2015年4月、人吉球磨地域が「相良700年が生んだ保守と進取の文化」で日本遺産に認定された。日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語る「ストーリー」を認定するもので、文化庁が同年度から創設。単なる文化財認定ではなく、連綿と受け継がれてきた文化や風習、民俗まで評価されたのは意義深い。司馬遼太郎さんは同地域を「日本でもっとも豊かな隠れ里」と記したのだそう。(田)