
「諦めが悪い」のも案外悪くない。人生のステージに「目指す場所」がある幸福を…
◆ON “学生育てる体験と交流と自信”
主な研究・指導テーマは「スポーツを楽しめる環境を整備する」スポーツプロモーションですが、座学だけでは教えられないことがたくさんあり、アクションリサーチというスタンスを取っています。
「かつての高校球児が目指す場所をつくりたい」という思いからマスターズ甲子園を立ち上げ、その運営を学生中心にやっているのもその一環です。各分野のプロや甲子園に情熱を燃やす中高年と交流する中で講義では決して教えられないものを学んでいます。
大会を自分たちで仕切ったという達成感と、自分たちがやっている学問がいかに社会に役立つかを体感した経験が学生に自信と厚みを持たせている様子を見ると、教育者として大学でマスターズに関わる意味を感じます。現在は2021年5月にアジアで初開催となる「関西ワールドマスターズゲームズ2021」の支援活動もしています。4年に1回の世界最高峰のマスターズスポーツ大会で、くしくも私がマスターズ甲子園を始めるきっかけとなった大会です。たくさんの種目で中高年が活躍できる舞台にしたいと思っています。
長ケ原 誠(ちょうがはら・まこと)さん
- 神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授・マスターズ甲子園実行委員長
1965年生まれ、鹿児島市出身。鶴丸高校を卒業後、鹿屋体育大学に1期生として入学、同大学院卒業。
カナダのアルバータ大学大学院に留学中、米国ポートランドでワールドマスターズゲームズに参加した体験をきっかけに「マスターズ甲子園」を発案し実現に向け奔走。
1999年神戸大学大学院に着任後、主宰する研究室に大会事務局を置き2004年に初回大会。今年は第12回大会が11月7、8日に阪神甲子園球場で開かれた。
◇OFF “「諦めの悪いおじさん」の夢”
マスターズ甲子園の第11回大会(2014年)に、鶴丸高校OBチームの一員としてマウンドに立ちました。運営側にいるので、当初は出場しないつもりでしたが「違う視点で大会を見てみては」と背中を押され参加。4歳違いの弟とバッテリーを組めたのもマスターズならではです。
憧れのマウンドは打者2人、8球で終わりましたが、試合後にチームメンバーや学生ボランティアとハイタッチをしたときは涙が止まりませんでした。鹿児島代表の定宿「やっこ旅館」に入ったときから開会式、試合とずっと胸に溜まっていた熱いものが一気に噴き出し、大会やそれを支えるボランティアの素晴らしさを参加者として実感しました。
マスターズ甲子園
全国の高校野球OB、OGが出身校別に同窓会チームを結成し、憧れの「甲子園球場」を再び目指す大会。地区予選を運営する全国高校野球OBクラブ連合加盟校は発足当初は4県82校だったが、現在は37都道府県517校と大きく成長している。
マスターズ甲子園
マスターズ甲子園が始まって2年目に後輩3人が鶴丸OBチーム結成に動き出してくれ、同時に地方予選開催に最低限必要な8チームを集めるために奔走してくれました。それから10年間、心折れることなく「今年こそは!」と頑張ってやっと夢をかなえたメンバーの精神力と諦めの悪さには頭が下がります。現役の後輩たちも、ぜひOBに続いてほしいです。
10問10答
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Q大事にしているものは?
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A学生の情熱
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Q愛読書は?
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A「熱球」(重松清著)
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Q最近気になったニュースは?
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A桜島の噴火警報
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Q日常生活で心掛けていることは?
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Aいろんな経験を楽しむこと
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Qこれから挑戦してみたいことは?
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A球速を少しでも上げたいです
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Qリフレッシュ方法は?
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A妻との海釣り(日本海のブリ、明石のタコ)
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Q座右の銘は?
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A逆風満帆
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Q鹿児島で好きな場所は?
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A県立鴨池球場・市営球場、天文館、霧島、たくさんあり過ぎて列挙不可能
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Q尊敬する人物は?
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A大学時代の恩師、自分と妻の両親
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Q好きなスポーツは?
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A「する」「見る」「支える」スポーツ=すべて野球