
帰省や旅行、島に家族連れがぐっと多くなる夏休み。
登山に海水浴に川遊び、家族で楽しめるアクティビティたくさんの島で、「工場見学」と聞くと意外に思われるかもしれません。しかし、この「工場」、森や海の恵を生かした島ならではのナチュラルな水産加工品を作っていて、夏休みの自由研究にうってつけなのです。
島の恵みを生かした工場で、森と海とともにある暮らしを学ぶ
屋久島、旅のツボ vol.9で取りあげた「鉄板お好み焼き こもれび」のソースにも使われている「鯖節」。島の伝統産業であるこの鯖節の製造工程が、見学できるのです。
高い山と豊かな森から流れ出るおいしい水で茹でて、島の広葉樹で燻(いぶ)す。これらは、無添加の「鯖スモーク」や「鯖節」として真空パックになって、土産物として流通しています。ほぐして塩らっきょうや冷や奴にかけて食べるのが、島の定番。焼うどんや野菜炒めの具にしても、おいしくいただけます。
燻したものの中から、油分の少ないものを選別し、天日に干しては、カビ付けを繰り返し、断面がガラス状になるほど、固く引き締まったものは「本枯(ほんがれ)節」と呼ばれ、関東の蕎麦店などに出荷されています。
水と薪の炎、室に付いた自然の菌が一体となって、香り高く、強い旨味を持つ本枯節を作りあげていくのです。
日によって見学できる工程や、工場によって扱う商品も異なるので、工場見学のはしごをするのも楽しいかもしれません。

一湊海水浴場から歩いて10分。一湊の川沿いに建つ馬場水産は、最近発売した、だし醤油が評判。香川の名店にだし醤油の原料を提供してきたことから話が持ち上がり、本枯節だけでなく、鯖の煮汁を煮詰めた「さば煎汁(せんじ)」もたっぷり加えた、濃厚な「だし屋さんのだし醤油」が完成しました。ほの甘く、卵かけ御飯にたらしても絶品。
さらに県道沿いを西へ15分ほど歩くと、見えてくるのが、丸勝水産。こちらでは、伝統的な鯖節に加え、島で水揚げされた飛魚を使った節作りもはじめました。長崎を中心に作られている、茹でたり焼いたりしたのちに干す、いりこタイプのあごだしと違い、鯖節と同じく、茹でて燻すオリジナル製法。3日間かけてじっくり煙をあてることで、水分が抜け、香気をまとい、飴色に光る飛魚節ができあがります。こちらは、鍋や麺類のだしにしたり、パックから出して炒め物に直接ふりかけたりと、ざまざまに楽しめます。
馬場水産
- 屋久島町一湊2288-9[MAP]
- TEL:0997-44-2333(工場見学は要予約)
- 営/8:00~12:00、13:00~17:00
- 休/日祝、8/12~16はお盆休み
- URL/http://sababushi.com
丸勝水産
- 屋久島町一湊166-3[MAP]
- TEL:0997-44-2311(工場見学は要予約)
- 営/8:00~17:00
- 休/不定休