
掛橋坂の石階段
掛橋坂の静けさに何思う・・
「姶良地区三坂めぐり」が静かな人気となっている「掛橋坂(=写真上)」。県道から小道に入り、田園風景を抜けると案内板が。それを目印に山へ入ると、うぐいす(取材時はちょうど鳴き始めのころ)の声や木々のざわめきが、やけに大きく聞こえる。カサッと小さな生き物の気配に心細さが広がる。
その直後、ゴオ~っと飛行機の音。耳慣れた音に安心感を覚えたが、いにしえのころ、この坂を通り旅した人々が、この音を聞いたらそれはそれは驚いたことだろう。音の記憶というものについて、ふと考えた時間。あなたは何を感じるでしょう…。
茶句庭 ながの
抹茶ロールをはじめ、お手頃価格でスイーツが味わえる、地元に愛され続けるスイーツ店。
四代目となる現オーナーが始めたカフェスペースは、田園風景を望む窓際にカウンター席が設けられ、ほっと気持ちを和ませてくれる空間。
蒲生の街
国の特別天然記念物に指定される「蒲生の大クス」をはじめ蒲生八幡、武家屋敷通りなど見どころも多く、散策に楽しい街だ。老舗の蕎麦屋やゆったりしたときを過ごせるカフェも充実、何度も訪れたくなる。
それでは、“おでかけスケッチ帳”の世界をお楽しみください。
いにしえの街道を歩く

イラスト:張 佐和子
うっそうとした森に、鳥のさえずりと木の葉のすれ合う音が響く。少し下れば木漏れ日に照らされた、静かに流れ落ちる小さな滝が目に入る。姶良市の指定史跡「掛橋坂」は蒲生町北と西浦を結ぶ峠にあり、同市の加治木地区にある「龍門司(たつもんじ)坂」と姶良地区の「白銀(しらかね)坂」と合わせた、「三坂めぐり」として注目を集めている。

滝
蒲生と藺牟田・祁答院を結ぶ地方街道として作られた当初は道幅が狭く、木を渡して作る危険な板敷きの道=桟(かけはし)だったことが名前の由来という説も。18世紀末、石畳が完成するまでは最も厳しい難所だったという。
明治30年代以降は馬車が増えて県道が整備されたため、その存在は忘れられがちになっていったが、戦後も、近隣の住民にとっては生活道路であり、現代まで保存されてきたそうだ。
全長661mの石畳の古道には、岩肌に1796年の年号が刻まれた供養碑や、旅人たちを見守ってきたであろう馬頭観音碑も残る。かさこそと生き物たちの気配もするこの道を、目的の地に向かい往来してきた人々。新緑もすがすがしい季節、往時をしのびながら、歩いてみてはいかがだろう。
寄り道グルメ
茶句庭 ながの

創業明治40年。初代が都城市で、「花月堂」の名で和菓子店として開店、その後蒲生の地に移転してきた。「その代ごとに少しずつ変化してきた」と語るのは4代目の永野浩幸さん。「蒲生の自然の風景が好きで、この景色の中でスイーツを楽しめるスペースを作りたかった」と、場所を探して移転、念願だったカフェスペースを開設した。

ケーキバイキングはドリンク付きで、女性1,404円、男性1,728円
ケーキ類は常時約20数種、焼き菓子約30種をそろえる。福岡の名店で修業を積んだ永野さんが作るケーキは、302円~と手ごろながら、それぞれの素材を巧みに生かした本格派の味わい。
中でも、抹茶ロール(1本1404円)は「人気がひとり歩きした」という看板メニューだ。
毎月第3木曜に開催するケーキバイキング(時間制・要予約)も好評で、店頭に並ぶケーキ、焼き菓子がすべて食べ放題だ。
仲間と一緒に生産しているという「かもう紅茶」も販売、店内でも378円で味わえる。目に優しいのどかな景色を眺めながら、甘いカフェタイムで旅の疲れを癒やしては。
ちょこっと寄り道【gift】
Azakka*

2012年12月にオープン。キッチンやリビング、ガーデンなど生活全般を彩る雑貨を中心にした、“ライフスタイル提案型”の雑貨店だ。長年、婦人服販売を手がけてきたオーナーがセレクトするものはいずれもセンスがよく、「あ、これ欲しい」が店中に溢れている。広い敷地に立つ店は、今後新たな展開も予定しているそう。
Azakka*
アザッカ
- 姶良市蒲生町久末187-7[MAP]
- 【TEL】0995-52-8277
- 【営】10:00~19:00
- 【P】あり
- 【休】火曜(祝日の場合は営業)
- 【HP】インテリア雑貨ショップAzakka*
ちょこっと寄り道【spot】
さんさ乃湯

露天風呂
三叉コミュニティセンターの施設が4月にリニューアルして誕生した温泉。近くの山麓からひいてくる源泉かけ流しの湯はアルカリ性単純温泉で、「美肌の湯」として評判だ。露天風呂と気泡風呂がある浴室と、寝風呂と低周波風呂がある浴室は、週替わりで男女が入れ替わる。入浴料大人250円と手ごろなのもうれしい。
さんさ乃湯
- 姶良市寺師818-3[MAP]
- 【TEL】0995-52-1211(姶良市役所農政課)
- 【営】11:00~20:00
- 【休】火曜(祝日の場合は翌日)
- 【P】あり
入浴料は大人250円、中学生以下110円、幼児無料
- memo
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国の特別天然記念物「蒲生のクス」をシンボルとする姶良市蒲生町は、薩摩古流の兵法に基づく町割が残る美しい街並みも特長だ。武家屋敷通りには御仮屋門を中心に武家門や石垣が残り、大河ドラマのロケ地になったことも。また近年では、古民家を生かしたものなど風情あるカフェが点在し、広い世代が訪れる人気の街となっている。今昔の文化が入り混じる、その魅力をぜひ体感してほしい。(S)