
島に嫁いだちえさんの夢は、いつか小さなお店を持つこと。
木枠の窓や昭和の模様ガラス、海辺に流れ着く珊瑚や流木、ウニの殻……。夫のダイビング&トレッキングショップをサポートするかたわら、その日のために、コツコツ集めた品々が並んだ小さなカフェ「kiina」がこの春、オープンしました。
懐かしい建物は、旅人と住民の交流の場に
亜熱帯の林を散策できる「志戸子ガジュマル公園」の隣り。枝から無数の根を下ろすエキゾチックなガジュマルの木は、亜熱帯特有の葉を輝かせ、涼しい木陰を作ってくれます。
古い海辺の一軒家を改装した店内には、柔らかな光が射し込み、畳敷きの小上がりもあって、記憶の中の風景に紛れ込んだような、懐かしい雰囲気。
メニューは、飲み物の他に、数種類のケーキとキッシュ、小さなスープがセットになったフォカッチャサンドなど。
この日は、地元産の新ジャガと生ハムのフォカッチャサンドに、義父母が育てたグリーンピースのポタージュが添えられていました。手作りのキッシュにも新ジャガをたっぷり。島の恵みが、さりげなく織り込まれた品々が、季節の訪れを感じさせてくれます。
ケーキは、3色シフォンとガトーショコラ、バナナチョコパウンドの3種。こちらも日替わりの数量限定。
その他、島特産のタンカンを使ったチーズケーキや、バナナやイチゴのタルト、バニラシフォンのイチゴサンドなど、その時々で手に入った季節のフルーツを生かしたケーキを焼いています。
なかでも3色シフォンは、自家栽培のバジルオイルをベースに、トマトと屋久島産のオーガニック緑茶を使ったヘルシーケーキ。ふわふわの生地にバジルと緑茶がほどよく香り、トマトの旨味がしっかりと感じられる名品。
地元の食材は、ドリンクメニューにも。オーガニック紅茶は、地元、志戸子産。ジュースやソーダに使われているハイビスカスも島の南で作られています。
小上がりには、ちえさんの手によるアクセサリーやセレクトされた雑貨の数々。島の海岸で拾った貝殻を使ったストラップやポーチも並びます。アクセサリー作りやフラワーアレンジメント教室などの会場としてつかわれることもしばしば。
子連れのお母さんグループや地元の老夫婦、夫のガイド仲間、様々な人が集い、自然に会話が生まれていきます。「旅の人も含めた、情報交換の場になっていけば」と語ります。
5月4日(月)には、公園前の広場で、年に一度の「志戸子ガジュマル祭り」が開催予定。地元で水揚げされた魚介類や国内で最も早いといわれる新茶、郷土菓子などの屋台が並びます。
例年、早い時間に売切れるブースも多いので、午前中に出かけるのがオススメです。