
温泉コラム連載最終話は、霧島市天降川の川沿いにある安楽温泉郷。
趣ある湯治場は、古き良きかつ独自の湯治場文化が残るこぢんまりとした温泉街で、平安末期に発見されたとされ、記録に残る温泉地では鹿児島県内最古と言われています。
温泉街の中央には安楽温泉神社があり、その由来はそこにある石碑からうかがい知ることもできます。
私の祖母も生前、この温泉郷に毎年湯治に訪れており、私自身思い出のある大好きな温泉郷です。
国道沿いに湯治の自炊宿が立ち並び、かつては農繁期を過ぎると一ヶ月ほど湯治に訪れる方で賑わっていたのだとか。昨今なかなかまとまった時間を湯治にあてるというのは難しいものですが、自炊ができるお宿は安価で「構われない自由」があります。
持て余す時間に温泉と長閑な景色を眺めるだけもよし、ひと品ふた品食べ物を持ち寄っての湯治女子会などもよし(実は、私たち温泉ソムリエ仲間でよく行います。居酒屋で呑むより安価で楽しい!)。
一泊二日、もしくは日帰り、色々な楽しみ方ができそうな、人それぞれのイマドキ湯治。まずはこの安楽温泉から始めてみてはいかが?
美肌サポート成分「メタケイ酸」豊富な安楽温泉郷
現在、安楽温泉郷には6つの温泉施設があり、どの施設も湯治場の雰囲気たっぷりで個性的かつ魅力的。全ての施設で立寄り入浴が楽しめます。なによりオススメはその良好な泉質と豊富な湯量!しかも全施設自家源泉の掛け流しです。
もったいないくらいに天降川に流れ出すお湯の泉質は、主に「炭酸水素塩泉」。美肌サポート成分であるメタケイ酸がとても豊富な美肌の湯でもあり、マグネシムやカルシウムなど成分も多く含まれ、傷や胃腸に効果が期待できます。また重曹の成分も多く含まれているので湯上がりがさっぱりとしているのも、これからの時期は嬉しい特徴です。
そんな安楽温泉の5つの施設で、5月1日開始を目標に「温泉スタンプラリー」の開催を鋭意準備中!(私も少し協力させて頂いております)。スタンプのデザインがとても魅力的で、カワイイ台紙につい集めたくなる、そんなスタンプラリーです。ゆっくりのんびり参加でき、コンプリートした「有段者」には楽しい仕掛けも。
まずは消防詰所のある、安楽温泉共同駐車場に車を止めて探索スタート!
下流より6つの施設を一気にご紹介。素晴らしい安楽温泉郷、これを期に、ぜひ体感してみてくださいませ!!
鶴乃湯
渓流を眼下にひとり占め
黄色い外観が目を引くこちら。自炊もできるお宿、安楽温泉では唯一川沿いに建つ施設です。男性は露天風呂、女性は岩風呂から見える渓流はなんとも素晴らしく、まるでそれをひとり占めしているような気分に浸れます。
吐湯口には『はりねずみ』のようにびっしりと析出物が付着しており、その歴史とお湯の良さを物語っているかのよう。
オススメは温泉蒸気を利用したスチームサウナと霧島裂過水の水風呂。
サウナは比較的低温で足湯をしながら楽しめ、蒸気からも温泉の効果を取り入れることも可能! 水風呂はびっくりするほどクリアで冷たいのですが、これがクセになるほどの気持ちが良さ。
充実の設備に、つい長湯してしまう施設です。
鶴乃湯
- 霧島市牧園町宿窪田4199-4[MAP]
- TEL:0995-77-2483
- 立寄料金:300円
みょうばん湯
手作り露天風呂が魅力的
別棟の浴室は男女別の内湯と露天風呂に分かれています。一瞬『露天風呂か?』と思うくらい明るい内湯もステキですが、こちらのオススメは貸切でも利用できる手作り露天風呂!
こぢんまりとした和風庭園のような設えに、たくさんの木々が配され、それらは訪れる季節ごとに様々な表情を楽しませてくれます。こちらの施設、どこもとても清掃が行き届いていて清潔で、それもまた入浴の気持ちよさが増す嬉しいポイントのひとつです。
みょうばん湯
- 霧島市牧園町宿窪田4193-7[MAP]
- TEL:0995-77-2625
- 立寄料金:300円
さかいだ温泉
バラエティーに富む温泉
そこを中心に、砂寝湯、足踏み湯、うたせ湯、水風呂、蒸し風呂・・・と、なんともバラエティー豊富! なかでも下に砂が敷き詰められた「砂寝湯」は、ふわりともしゃきりともした砂の感覚がなんとも不思議で面白く、また、玉石が固められた「足踏み湯」では、足裏が刺激でき、その『痛気持ち良さ』がやみつきに…。
壁には安楽温泉が歴史ある不思議な湯であるゆえんが記されており、読みながら入浴すると温泉効果が倍増しそう!
さかいだ温泉
- 霧島市牧園町宿窪田4179[MAP]
- TEL:0995-77-2426
- 立寄料金:300円
朱峰
料理自慢のペンション
別棟の浴室は、熱めの源泉が3つの浴槽に注がれており、そのコンクリートの質感がどこか懐かしい印象を受けるのは私だけではないはず。浅く枕のついた寝湯も、のんびりできてオススメです。
こぢんまりとした露天風呂は、川のせせらぎを聞きながら、まるで森林浴をしているかのような気持ちよさ。木をふんだんに使った気持ちのよい空間のこちらのお宿、温泉はモチロン、料理が自慢とのこと! まずはランチ付日帰り入浴(要予約)で季節感溢れる料理に舌鼓を打ってはいかが?
朱峰
- 霧島市牧園町宿窪田4155[MAP]
- TEL:0995-77-2423
- 立寄料金:500円
本家しお湯
誰にも邪魔されたくないならここ!
立寄り湯では内湯と打たせ湯のみですが、宿泊すると砂湯やサウナなども利用できることも。安楽温泉の名物と言っても過言ではない強烈な「打たせ湯」は、別室タイプになっているので、心置きなく(!)打たれることも可能。
その静かな佇まい故に、誰にも邪魔されずにリーズナブルに湯治を楽しみたいのであれば、こちらがオススメです。
本家しお湯
- 霧島市牧園町宿窪田4152[MAP]
- TEL:0995-77-2223
- 立寄料金:200円~
佐藤温泉
吐湯口が桜島!
まるで民家のような湯治宿。全てにおいて、かつての温泉湯治文化を彷彿させるレトロさにあふれています。
こちらの浴室は、可愛らしくこぢんまりとした男女別の内湯と、宿泊棟につながる大浴場(混浴・貸し切り可)に分かれています。
大浴場は浴室内の80%が浴槽という大胆な作り。その湯船の真ん中にある吐湯口は、まるで噴煙をあげる桜島のようで目を奪われます。
安楽温泉名物(?)の「打たせ湯」も、こちらのものは内湯・大浴場とも、ここまでか!と思わせる超強力タイプ!安楽温泉では間違いなく一番の強さで、私のような(???)女性は潰されてしまうのではないかというほどです。ぜひご体感あれ!
佐藤温泉
- 霧島市牧園町宿窪田4151[MAP]
- TEL:0995-77-2230
- 立寄料金:200円~
好きな温泉ばかり書き綴れる幸せな半年間でした。
読んでいただき、ありがとうございました。