
古民家を利用したカフェやレストランも増えてきて人気ですが、歴史あるその空間だけ、まるで時が止まっているかのように感じる・・・そんな感情を、温泉施設でも感じることがあります。古いものだけがもつ怖いくらいの威厳と威圧感、それでいてほっこり懐かしさすら感じてしまう感覚はなかなか言葉にするのも難しいもの。でも、これって結構ハマるんですよね!
今回はそんなレトロ感あふれる中でも、ちょっとレアでかつ個性的でディープ、そしてお湯も魅力的な温泉をご紹介!のんびり懐古趣味に浸るのはいかが?
米丸温泉
入る前からぽかぽか気分!!
田園風景が広がる姶良市蒲生町米丸地区は、米丸マールと呼ばれる直径1km程の円形にくぼんだ約6000年前の火口跡です。米丸温泉はその米丸マールの中にあります。火口跡にある温泉!それだけでも自ずと期待は高まりませんか?
田園風景の中に一見見落としてしまいそうな小道を入り込むと現れる独特の佇まいの公衆浴場は、古くから地域の方々に親しまれてきたという温泉。「あれ?人の家?」と一瞬たじろいでしまいそうな建物は、昭和のおばあちゃんの家に訪れたような不思議な懐かしさ。
玄関を入ると広がる畳敷きの広間に、不思議な古いオブジェ、そして数カ所に掲げられた温泉の説明書き・・・温泉に入る前から興奮(?)して体がぽかぽかしてきそうな懐かしくも独特な雰囲気に溢れています。
まずは、浴室前に掲げられた「適応秘伝」にご注目!こちらの温泉、「トゲ抜き」に効果があると言われるちょっと珍しい温泉です。長い大きなトゲや異物でも、こちらの温泉に入ればゆっくりと体内から出てくるのだとか!利用者の体内から出てきたトゲが番台に飾られているのもまた一興。常連さんや優しい笑顔の素敵な女将さんに聞けば、きっと丁寧に説明してくださるはずです。
温度の低い源泉を適温に温めて湯船に注がれたお湯は「含鉄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」。鹿児島県内では珍しい泉質です。なかなかパンチのあり確かに「これは効く!」と感じるお湯。皮膚病に良いとのことですが、鉄分が含まれているので月経障害や冷え性など女性にみられがちな症状も効果が期待できます。
こちらの温泉、訪れるたびにお湯の色が緑色だったり茶褐色だったりと日々色が変化するから不思議です。火口跡のまさに「生きている温泉」のパワーをぜひともご笑味あれ。
米丸温泉
- 鹿児島県姶良市蒲生町米丸3275[MAP]
- 0995-52-0248
- 立寄料金:390円
きみよし温泉
マチナカのほっこりレトロ温泉…
きみよし温泉は、阿久根市のマチナカにひっそりと佇む公衆浴場です。かつては旅館だったという建物は一見見落としてしまいそうな外観ですが、大通りから一本入った通りに何ともしっくり馴染んで見えます。中に入ると気持ちの良い笑顔で「にっこり」とお出迎え。
お話を聞くと、歴史のあるこの温泉を守っていた先代が他界され一時は廃業も考えたそうですが、今は家族みんなで協力しあって守っておられるんだとか。そんなご家族の優しさがにじみ出ていて心の底からほっこり温まれる、そんな温泉です。
内部は、懐古趣味のツボを鷲掴みされるような設え満載!思わず石鹸を買ってしまう(!)昔ながらの番台、絶妙な色合いが可愛らしく絵になる脱衣室、浴室内の入口上部にズラリと掲げられた商店街店舗の広告、洗い場の緑青色に腐食したカランや様々な色や形のタイル・・・どれをとっても温泉施設特有のほんのりとした色気とセンスを感じ、どこか懐かしさを覚えずにはいられません。
無色透明で時間とともにほんのり色づいてくるお湯は「含弱放射線-ナトリウム-塩化物強塩温泉」。総成分量36,680mgは鹿児島屈指、全国で見てもかなりの濃度を誇るこれぞ阿久根温泉といえるガツンとくる温泉です。塩による殺菌効果も高く、肌の蘇生効果もあるイオンも多く含まれているので若返りも期待できるかも!また塩のパックで温まり湯冷めもしにくので寒い冬にはもってこい。
いつも常連さんで賑わうマチの大事な大事なレトロ温泉。心の底から温まりたいときにぜひ。
きみよし温泉
- 鹿児島県阿久根市大丸町60[MAP]
- 0996-72-1174
- 立寄料金:350円
双葉旅館(旧五助屋)
しばしのタイムスリップ気分―
名湯百選に選ばれ素朴でひなびた温泉街である川内高城温泉は、開湯約800年とも言われる歴史のある温泉街(湯治場)です。昔ながらの湯治宿が並ぶ通りを歩くだけでも、懐古趣味がくすぐられてしまいます。川内高城温泉街は比較的どの施設も安価で立寄入浴でき、そのレトロ感を楽しむことができます。そんな中でも西郷さんが宿泊していたという逸話のある双葉旅館(旧五助屋)は川内高城温泉で一番の老舗湯治宿。
経営は向かいにある双葉屋と同じで、料金はそちらで支払います。ひっそりとした建物の中では、静かに温泉の注がれる音しか聞こえません。まるで時の泊まったような空間の中で、温泉だけが生き続けている、そう感じるくらいの不思議な空気に包まれています。
浴室は、2つに仕切られた変わった形状の浴槽が並び、壁には「不老泉」の文字。その言葉からも川内高城温泉の泉質の良さをうかがい知ることができます。さまざまな形のタイルが貼られた浴槽もレトロ!源泉がゆっくりと浴槽に注がれ、小さい方の浴槽は熱め、冷まされたお湯でその次の大きめの浴槽は適温となる仕組み。
美しいともいえる無色透明のアルカリ性単純硫黄泉はつるりとなめらかな肌触りで美肌効果あり!浸かっていると湯気とともに立ち込める硫黄の香りにも癒されます。圧倒的な風情とレトロ感、永く残していきたい温泉風景の一つです。脳内タイムスリップしながらの入浴タイムはなかなかオツなものかもしれません。
双葉旅館(旧五助屋)
- 鹿児島県薩摩川内市湯田町6461[MAP]
- 0996-28-0873
- 立寄料金:250円