
古里の味、復活に結集
12年前、昔ながらの麦みそを復活しようと、姶良市の有志が裸麦の生産を再開させた。「裸麦のみそは甘みが違う。食べてみて」と、あい裸麦生産組合の米迫愼二組合長は誇らしげだ。

裸麦の生産を復活させるきっかけとなった、麦みそ。姶良市内外で裸麦の使用が広がる。写真は、姶良市の蒲生町物産館くすくす館のみそコーナー。
裸麦は大麦の一種。皮がはがれやすいのが特性で、米の裏作として栽培される。姶良市は県内最大の産地。今年5月中旬には麦秋を迎えた。
米迫組合長は、昭和40年代から姶良市下名で農業を始めた。外国産に押され、麦づくりは一時途絶えていたが、諦めきれなかった。麦の生産で一番の課題は排水。10年ほど前、富山県を農業委員として訪ねた際、排水対策をした麦畑が広がっていた。「積雪地帯でできるのだから、鹿児島でもできるはず」と確信した。今年は10軒の農家・営農団体が生産。20代の生産者もいる。
「生産者がよりいいものがつくれるように、全力でサポートしていきたい」と語るのは、市農政課の海老原裕樹さん。技術面での支援やPRに余念がない。本年産からは、竹之内穀類産業(鹿児島市)が全量仕入れ、加工する。同社の寺園道子取締役は「たくさんの人の思いがこもっている。ファンを増やすことは責務」と、取引先にも魅力を伝え、消費者に届くよう、知恵を絞る。

左から竹之内穀類産業・寺園取締役、米迫組合長、姶良市農政課の木場陽介さんと海老原さん
近頃は姶良市のさまざまなスポットで、裸麦を使った商品が見られるようになった。食物繊維が豊富なところも愛用される理由だ。米迫組合長をはじめ、官民の裸麦にかける思いは、しっかりと実を結んでいる。
あい裸(ら)麦生産組合
- 姶良市蒲生町上久徳2399(事務局・姶良市農政課)
- 0995(52)1211

裸麦の製品も続々と増えている。写真は、竹之内穀類産業の「毎朝大麦」。
よかもんのススメ…
白金酒造 石蔵ミュージアム・売店

すっぽん麦は鹿児島限定販売。石蔵での手づくり製法にこだわった
白金酒造は2020年、コロナ禍に地域を盛り上げようと、姶良市産の裸麦を使った麦焼酎「すっぽん麦」を発売した。麦独特の厚みのある香りに、コクのある味わいが特長だ。麦焼酎なのでロックや水割りでもおいしいが、お湯割りにすると、より力強い麦の香りが楽しめる。石蔵ミュージアムは、国指定登録有形文化財の石蔵を改装した施設。仕込みのシーズンには、杜氏の作業を見学することが可能だ。入館無料。売店では焼酎の試飲も。約100種類からお気に入りを見つけてみては。焼酎にぴったりのおつまみ、鹿児島の土産品なども購入できる。
白金酒造 石蔵ミュージアム・売店
- 姶良市脇元1933[MAP]
- TEL:0995(67)1496
- 営/10:00~17:00
- 休/水曜、盆期間、年末年始