
川辺が育むおいしい食感
キクラゲはキノコの一種。「木耳」という漢字は、形が耳に似ていることから付けられたそうだ。キクラゲはハウスで5月から11月にかけて栽培される。5月上旬におもいやり商会(南九州市)のハウスを訪ねると、天井から水滴が垂れる暗い中で、約500個の筒状の菌床がずらりと並び、キクラゲが顔を出していた。
キクラゲはおがくずや米ぬかなどを混ぜた菌床で栽培し、早ければ2~3週間で収穫ができる。ハウスの中は、南九州市川辺の名水「たかたの命水」を霧状にしてまき、湿度を80~90%に保つ。菌床により成長具合が異なるため、1日2回、一つ一つチェックする。間引きをし、より良い個体を育てる。

白キクラゲと茶色のキクラゲを栽培する。白キクラゲは収穫量が少ない希少な品種だ。真っ白な見た目が美しく、含まれるビタミンDは茶色のキクラゲの8倍とされる
内匠正修さん(47)は6年前、「川辺の豊かな自然や水資源を生かした作物を育てたい」と住宅設備メーカーの営業を辞め、キクラゲ栽培に乗り出した。初めた当時は菌床にカビが生えたり、夏場に温度が上がりすぎたりして全滅したことも。以来菌床の業者とやりとりしながら、対策を模索してきた。

真っ暗なハウスの中で、ライトで照らしながら一つ一つ成長を確認していく
生キクラゲの知名度をもっと高めることが一番の課題。キクラゲは賞味期限が短いため流通が難しく、乾燥キクラゲが主流だ。過去には、キクラゲの入ったぎょうざや混ぜご飯のもとを開発するなど、手に取りやすい加工品の開発にも取り組んできた。「無農薬にこだわって大切に育てている。エリンギに並ぶくらい、みんなに食べてもらえるのが目標」と語った。
おもいやり商会
- 南九州市川辺町野崎2260
- TEL:0993(76)1170

ずらりと並ぶ菌床
よかもんのススメ…
天文館まちの駅 ゆめりあ

県内の農産物を扱うセレクトショップ。おもいやり商会の「きくらげ入り食べるラー油」(100g・680円)と乾燥キクラゲ「たくみどんのきくらげ」(20g・600円)を販売。代表の武田清孝さんは「食べるラー油はリピーターが多い」と話す。ぴりっとした辛みとキクラゲのこりこりした食感がアクセントで、ご飯やラーメンにのせて食べるのがおすすめ。
2014年より営業していた天文館ぴらもーるから昨年8月に移転、総菜も提供する店にリニューアルした。新鮮な農産物のほか、「豚味噌コロッケ」(2個・200円)なども購入できる。
天文館まちの駅 ゆめりあ
- 鹿児島市東千石町7-22[MAP]
- TEL:099(226)8603
- 営/9:00~19:00
- 休/1月1日~3日
- P/なし