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鹿児島市立天文館図書館 館長|人や物との出合いの場を目指して

松田 優子さん
(図書館流通センター/鹿児島市)

商業施設・センテラス天文館にある鹿児島市立天文館図書館が、4月で開館1周年を迎えた。若者やファミリー、ビジネス層を中心に幅広い世代が訪れ、鹿児島の新たな交流拠点として親しまれている。

開放感があり明るい館内には、生活者の視点に立って選定された本が並び、比較的読みやすいものも多い。「会話OK」「ふた付き飲み物の持ち込みOK」と、ルールは自由で柔軟。ソファ席などゆっくりくつろげるスペースもあり、これまでの図書館像とはずいぶん違った印象だ。

垣根を越えた取り組みも

初代館長として業務にあたる。出身地の長崎や異動先の大阪で、長く図書館業務に携わった。館長就任の打診を受けた際は、「いやいやいや、なぜ私が」と驚いた。しかし普段から「やったことのないことはやってみたい」と考えている。なかなかできない貴重な経験。プレッシャーはありつつも、周りに力を借りながら自分らしく励む。

開館以降、コロナ下でも面白そうな試みはできる限り実現させてきた。今年に入ってからは、同じ天文館にあるマルヤガーデンズ内のジュンク堂書店とコラボし、互いのスタッフが選ぶ「偏愛本」を紹介。図書館スタッフが選んだ本が書店で売れたり、本に添えられたコメントの書き手を訪ねて書店から図書館まで来る人がいたりと、双方にとってうれしい結果となった。大階段があるスペースでは、クラシックのミニコンサートを開催。コンサートをきっかけに初来館した、偶然に鑑賞でき楽しかった、とさまざまな声が寄せられた。

ソファ席などゆっくりくつろげるスペースもあり、世代を問わず人が集まる

可能性を広げる場所へ

図書館環境に恵まれた鹿児島市。本の種類や数が多く「市民の本棚」的な存在の市立図書館、資料や文書保管の役割も担う県立図書館もある。「アート展示が近所のカフェ、ギャラリー、美術館と、興味や内容の深度によって場所を変えるように、キャラクターの違う三つの図書館をそれぞれ楽しんでもらえたら」

天文館図書館が目指すのは、人や物との出合いの場だ。「ハッキリとした夢や目標がなくても、何かやりたいと思うときに足を運んでみて。手に取った本や出合ったイベントに、ヒントやきっかけが見つかるかもしれない。可能性が広がる場所でありたいですね」

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松田 優子(まつだ・ゆうこ)さん
プロフィール

1982年長崎市出身。長崎純心大学人文学部卒業後、接客業などを経験。テレビで見た司書の仕事にひかれ、2007年図書館管理などを行う図書館流通センターに入社、長崎市立図書館の新規オープニング業務に携わる。以降、長崎市立図書館、こども本の森 中之島(大阪市)を経て、22年鹿児島市立天文館図書館初代館長に就任。

今これに夢中です

「向田邦子のエッセイ」

鹿児島にゆかりのある向田邦子さんや梨木香歩さんをはじめ、ジャンルを問わず本を読みます。特に向田さんは、物の捉え方やライフスタイルなどがとても魅力的。かごしま近代文学館にある展示室で、ぼーっとする時間が幸せです。

資格について

司書

今後の目標

目的や価値観の違う人が集まり、共存できる図書館になればいいなと思っています。そのためには私も「こうじゃないといけない」という考えを持たず、できる方法を探していきたいです。

 

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鹿児島で働く女性たちを紹介しているFelia!の『クローズアップ』。いろいろな職場で輝いている彼女たちの姿や、これまでの足取りをご紹介します。

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