
久木田恵理子さん
(神村学園/いちき串木野市)
神村学園中等部の音楽の授業、高等部の音楽専門教科の指導を担当。中等部と高等部が一緒に活動する吹奏楽部で、約80人の部員を指導する。近年は全日本吹奏楽連盟のコンクール九州大会に4年連続で出場。2004年に全国大会出場経験もある強豪校だ。「いい生徒にはいい音楽がついてくる」とあいさつ、返事など基本的なことの徹底と「相手を思いやる心」を重んじる。
尊重し合って音楽を作る
28歳の時「吹奏楽に携わりたい」と、教員の道に飛び込んだ。就任当初は活発な部活ではなく、日々欠かさず練習させるところからのスタートだった。部員の欠席や退部者が相次ぐなど、部活内の雰囲気づくりに悩んだことも。
他校の先生に相談し、「部員同士を大切にする部活にしたい」と20年前に取り入れたのがマーチング。隊列を組んで歩き、フォーメーションを変えながら演奏をする奏法形態で、全員が動く歩数や、タイミングを正確に合わせる必要がある。「座奏なら、部員が減ればイスを片付けるだけ。でもマーチングはお互いを認め合い、尊重しないと成り立たない」。これがきっかけで部員全員が自分の存在意義や使命感を持って取り組むようになったという。
生徒と共に目標に向かう
コロナ禍では練習時間の短縮や、頻繁な消毒、会話も最低限にすることが求められ苦しい日々が続いた。目標とする吹奏楽コンクールは、2020年度は中止、21年度は無観客で開催。昨年ようやく通常通りに開催された。目標の舞台がなくなった直後は、部員との向き合い方に戸惑った。前向きになれたきっかけは当時の部長の「先生、頑張りましょう!」の一言だった。本番はなくなっても、自分たちの音楽はなくならない。いつも前向きな部員たちに助けられた。
楽器を積み込んだ4tトラックを運転し、県内外のコンクールや行事に出向く。トラックは学園創設者の故・神村勲先生からの贈り物。「すごく愛情をもらった。活動できるのは周りのおかげ」と感謝する。
「生徒と同じ目標を持って取り組める。こんないい仕事はない」と目を細める。今年の目標も全国大会出場だ。コツコツ積み重ねてきた、明るい“神村サウンド”を武器に大会に挑む。
久木田恵理子(くきた・えりこ)さん
プロフィール
1968年鹿児島市生まれ。城西中学校吹奏楽部に所属、ユーフォニウムに出合う。卒業後、鹿児島純心女子高校普通科に進学。くらしき作陽音楽大学在学中、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に1年間の留学を経験、ジャズやクラシックの基礎を学ぶ。卒業後、香川県の音楽事務所に勤めた後、鹿児島に帰郷し96年より現職。
- 今これに夢中です
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「半身浴・韓国ドラマ観賞」
日中は車での移動中もコンクールやアンサンブルコンテストの曲を聞くなど、吹奏楽部や音楽のことで頭がいっぱい。半身浴をしながら韓国ドラマを観賞するなどして、音楽から離れリフレッシュする時間を意識してつくっています。
資格について
中学・高校教員免許第一種
今後の目標
全国大会出場を今年も目指します。3年生が引退したあとも、安定したチームになるように励んでいる最中です。