
蒲生和紙。ただ一人の後継者、小倉正裕さん
和紙に重ねる熱い思い。
江戸時代から300年以上の歴史があり、鹿児島県の伝統的工芸品に指定される蒲生和紙。障子、書道、水墨画や油のろ過など工業用などに使われる。近年は焼酎のラベルや、海外の照明アーティストにも和紙を提供する。
小倉正裕さんは、蒲生和紙のただ一人の後継者。大叔父の故・野村正二さんが紙をすく姿を幼少期から見ていて、「伝統を絶やしたくない」と26歳の時に後を継いだ。
「繊維が太く、書道や水墨画は、にじみやかすれが出て味わい深い作品になる。劣化しないので長く作品を残せる」とその魅力を語る。
1月下旬に工房を訪ねると、庭にずらりとカジノキの皮が並んでいた。地元で採れたカジノキを4tほど仕入れ大釜で煮て、皮を剝いで干す。
2月いっぱい作業をくり返し、一年分の下準備をする。その後、余分な皮を除き、煮詰め、砕いて柔らかくなった繊維を、のりを混ぜた水槽に入れ簾桁(すげた)ですく。
作業は全て緑が豊かな蒲生の山水を使う。冷たい水が繊維を引き締め、良い紙ができるという。冬場は手があかぎれ、かじかんでうまく動かないが「鹿児島なんて暖かい方。これくらいで泣き言は言えない」と笑う。
地域イベントの出展や、紙すき体験の受け入れなどの活動にも力を入れる。藺牟田小学校(薩摩川内市)の6年生は自分ですいた紙を卒業証書として受け取るのが恒例となった。
「日本の素晴らしい文化を発信し続けたい」。山に囲まれた静かな工房の中で、意欲が燃えていた。
蒲生和紙工房
- 姶良市蒲生町上久徳1487[MAP]
- TEL:0995-52-1104
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よかもんのススメ…
カフェ らびゅう
蒲生交流センター近くの築120年の古民家を改装したカフェ。店内は障子と照明に蒲生和紙を使い、水を垂らし模様を作った「落水紙」や繊維を残した「雲龍紙」などさまざまな表情を楽しめる。
「蒲生和紙をもっと知ってほしい」とマネジャーの上永吉美幸さん。小倉さんに相談して柄や組み合わせを決めたという。帖佐人形や龍門司焼など姶良市の工芸品が並び、メニューは姶良産の食材にこだわる。姶良牛を使ったランチセット「あいらぎゅーカレー(1,430円)」など地元のおいしさを堪能しよう。
蒲生流水米を使う麺「おこめん」のパスタ「蒲生山菜おこめん(1,320円)」はもちもちの食感!
カフェ らびゅう
- 姶良市蒲生町上久徳2324[MAP]
- TEL:080-2772-5644
- 営/11:00~17:00(フードL.O.=15:00、スイーツL.O.=16:00)
- P/蒲生観光交流センター駐車場をご利用ください
- /kamouraview
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