
牧 真理子さん
(暦―KOYOMI―/鹿児島市)
奄美の伝統的な発酵飲料「ミキ」を広めたい。自身が切り盛りする発酵食品のテイクアウト専門店「暦―KOYOMI―」でミキを使ったスムージーなどを販売。2022年ミキをパウチ状にした発酵飲料「発酵MOON」が、「かごしまの新特産品コンクール」で鹿児島市長賞を受賞した。

プレーン、モリンガ、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ、ローゼルの5種類の味がある「発酵MOON」
自身の経験を原動力に
「何をしても続かないことがコンプレックスだった」。高校入学後、寮生活や学校になじめず中退。15歳で上京し、音楽の専門学校に通うが学費の負担から卒業がかなわず、音楽活動やアルバイトをして過ごした。
転機は20歳の時、大阪で沖縄料理の居酒屋で働いたことだ。そこで食材の切り方や味付けなど料理の基本を教わり、その楽しさに出合った。来店客は島文化に興味がある人が多く、郷里・奄美のことをたくさん話した。「海や自然、文化、全てがすばらしい」。今まで気に留めなかった古里の魅力に、改めて気付かされた。「奄美の魅力を発信したい」と4年前に奄美料理居酒屋をオープンしたが、コロナの影響もあり閉店。「このままで終わりたくない」とミキの商品化に着手した。
ミキはサツマイモと米を自然発酵させた飲料で、祭事のお供え物として各家庭で作られる。幼少期は飲まなかったが、見直したきっかけは自身の体調不良だった。上京後、乱れた食生活やストレスで常に体調が悪く、薬に頼る毎日だった。薬膳や発酵食を勉強し食事を見直す中で、ミキも取り入れて体調が改善。自身の経験が原動力だ。
奄美の魅力を世界中に
ミキは明確なレシピがなく、加熱時間や温度などを手探りで研究。通常、冷蔵や冷凍で流通するミキだが、常温で流通できるよう殺菌工程もこだわった。特産品コンクールの受賞が決まったときは「本当にうれしく、驚いた。自分の言葉でミキの魅力を伝えられた」。
22年には「暦―KOYOMI―」をオープンし、店頭での接客、商品の製造や事務作業など、業務のほとんどに携わる。「スタッフの助けも大きい。忙しくても、好きでやっているのでまったく苦ではない」
「ミキを造る料理教室や、海外展開もしたい。まだまだやりたいことがたくさん」と声を弾ませる。奄美を世界中の人に発信する挑戦は始まったばかりだ。
牧 真理子さん
プロフィール
瀬戸内町生まれ。東京、大阪での飲食店勤務をきっかけに食に興味を持つ。2012年結婚後、保育園や病院の調理に従事。18年から21年まで天文館かごしま横丁で奄美料理居酒屋「こよみ」を運営、22年に「暦―KOYOMI―」=099-807-2709=オープン。
- 今これに夢中です
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「足つぼマッサージ・ストレッチ」
疲れを取るために体をほぐすことを意識しています。足つぼマッサージは夫と一緒にすることも。お風呂上がりはストレッチポールを使って肩甲骨を動かして血行を良くしています。
資格について
調理師免許、国際薬膳調理師、食の6次産業化プロデューサー・レベル3
今後の目標
スタッフの育成、発酵飲料ミキの周知強化。スタッフを育てていろいろなことを任せられるようにしたい。スタッフ自らが企画や、提案ができるようになればうれしいです。ミキの製造・販売を強化して、試飲イベントなども積極的にしたいです。