
花粉……キライ💢
九州では2月中旬にスギ花粉が飛び始め、人によりくしゃみ、鼻水、目のかゆみや肌荒れなど多くの不調を引き起こします。花粉症の治療法や、花粉シーズンを乗り切るためのアドバイスを専門家に聞きました。
花粉症って?
代表的な花粉症の症状や、検査について有馬・藤島内科クリニック(鹿児島市)で聞きました。
症状の特徴
花粉により粘膜が刺激されると、花粉を排除するためにさまざまな症状が出る。花粉の飛散時期に突然症状が出始め、花粉の飛散が収まると症状も軽くなるのが特徴。

水っぽくてさらさら

連続して起こる

充血や涙目が続く
黄緑色など色の付いた粘り気のある鼻水が出る、喉に強い痛みがある場合は風邪など花粉症以外の病気の可能性もあるので注意して。気になる症状があれば自己判断せずに受診を。
花粉症患者は増えている?
食生活の変化、大気汚染や喫煙、昔より清潔になり免疫を高める機会が減ったことなどからアレルギー体質の人が増えたと言われる。
自分のアレルギーを知ろう!
血液検査で花粉症やアレルギーの原因を調べることができる。季節性の花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)のアレルギー反応を数値化し数値が高い場合、花粉症と診断。ハウスダストや食品のアレルギーも同時に検査が可能なので、この機会に知っておくと良い。

血液検査
🟨費用の目安:約5,000円(保険適用の場合)
🟨結果が出るまでの期間:1週間程度
🟨タイミング:食事制限の必要はなし
教えてくれたのは

有馬・藤島内科クリニック
院長:藤島弘光先生
📢自分のアレルギーを知り対策することで、快適に過ごせるかもしれません。
有馬・藤島内科クリニック
- 鹿児島市与次郎1-3-12[MAP]
- TEL:099-251-6336
- 診療時間/9:00~13:00、14:00~18:00(水曜午後=14:00~15:00)、土曜=9:00~13:00
- 休診/日曜、祝日
- HP/有馬・藤島内科クリニック
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日常の花粉症対策
花粉シーズンを乗り切るため日頃取り組める対策と、花粉による皮膚トラブル「花粉皮膚炎」について、あいこう皮フ科(鹿児島市)で聞きました。
ゴーグル・メガネを着用
ゴーグルで目に花粉が入るのを防ごう。見栄えが気になる、という人はメガネでもOK。何もつけない時と比べ、ゴーグルの着用で65%、メガネの着用で40%の花粉を防げる。

服装にひと工夫
ウールは花粉がつきやすいので避け、つるつるした化学繊維素材の洋服を選ぼう。花粉を家に持ち込まないようにするため、帰宅時はドアの前で花粉をはらい、上着は玄関にかけよう。帽子やストールも活用するとより効果的。
帰宅したらすぐに入浴を
花粉を持ち込まないよう、外出後はすぐにお風呂に入り顔や髪についた花粉を洗い流そう。シャワーや浴槽の湯気は一時的に鼻づまりを改善する効果も。
室内を加湿する
室内を十分加湿することで花粉の舞い上がりを防ぎ、鼻や目の粘膜も保護してくれる。40~60%の湿度を目安にしよう。観葉植物を置くのもおすすめ。

洗眼・鼻うがいで花粉を洗い流す
水道水を人肌ほどの温度にし、1Lに対し9gの食塩を入れた食塩水を使えば、鼻の奥でしみることなく鼻うがいができる。市販の鼻うがい液を使うのも◎。水道水での洗眼は粘膜を傷めることがあるので、市販の洗眼液を使おう。
花粉皮膚炎
その肌トラブル、花粉が原因かも?!
どんな病気?
花粉が皮膚に接触することで起こる皮膚炎のこと。毎年同じ季節に顔がかゆくなる、目のまわりにぶつぶつができる、首回りにかぶれや赤み、発疹が出るなどの症状がある。鼻水やくしゃみなどの花粉症の症状はなく、花粉皮膚炎のみ発症する人もいる。

発症しやすい人は?
✅肌が乾燥しやすい人
✅外での作業が多く、花粉量の多い場所で勤務している人
✅もともとアトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー素因がある人
悪化させない過ごし方
📣肌に負担をかけない洗顔を
強い力でゴシゴシ洗うのはNG。洗顔料をしっかり泡立て、肌を刺激しないように洗おう。洗顔料は肌にやさしい、刺激の少ないものを選んで。
📣普段のメイクも工夫して
肌荒れや、目のかゆみがある時は普段のメイクにも注意。保湿成分の入った化粧品を使う、粘膜に触れる化粧は避け、アイメイクは控えめにするなど工夫を。
📣お風呂の入り方を工夫
お湯の温度は42℃以下に設定しよう。温度が高すぎると肌のうるおいを逃し、かゆみの原因物質ヒスタミンの分泌が活発になりかゆみが増す。お風呂から出たら3分以内に保湿を。お風呂場でぬれたまま使えるスキンケアグッズもあるので、取り入れてみて。
📣保湿剤を使って肌を保護する
肌の角質層の乱れによって花粉皮膚炎は起こりやすくなる。定期的に化粧水、保湿ローションなどで保湿しよう。保湿剤は香料、保存料などの成分が入っていないシンプルなものを選ぼう。
花粉皮膚炎の治療法
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤などの飲み薬を内服し、花粉症そのものに対しての治療を同時にする。炎症が強い場合には、アトピー性皮膚炎の治療で使われる外用薬やステロイド外用薬を塗り、炎症を抑える。希望すれば保湿剤も処方してもらえるので合わせて使おう。
教えてくれたのは

あいこう皮フ科クリニック
院長:愛甲隆昭先生
📢本格的な花粉飛散シーズン1~2週間前から薬の服用を始めると、症状が軽減できておすすめです。花粉症は初めのケアが大切。早めに受診して自分にあった薬を使って。
あいこう皮フ科クリニック
- 鹿児島市宇宿7-14-26[MAP]
- TEL:099-265-0012
- 診療時間/9:00~12:00、14:30~18:30、水・土曜=9:00~12:30
- 休診/日曜、祝日
- HP/あいこう皮フ科クリニック
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新しい花粉症の治療法
アレルゲン免疫療法
花粉症の治療は投薬治療、手術療法が一般的ですが、根本的な体質改善が期待できる「アレルゲン免疫療法」を取り入れる人が増えています。どんな治療法なのか、ませだ耳鼻咽喉科(鹿児島市)で聞きました。
どんな治療法?
アレルゲンを含んだ特殊な薬を継続的に体に取り込むことで体を慣らし、アレルギー症状をやわらげる治療法。最低でも2年ほどかかる治療で、定期的な受診が必要。すべての耳鼻科で取り入れている治療ではなく、専門医がいる医院でのみ治療を受けることができる。
投薬方法①
舌下免疫療法
- 治療薬を舌の裏で1分間保持したあと飲み込む

自身で治療薬を1日1階、舌の裏に置き服用する方法。3~5年ほどかけて毎日服用するため根気が必要。
投薬方法②
皮下免疫療法
- 注射による痛みを伴うが、舌下免疫療法より効果は高いとされる

医師のもとで治療薬を注射する方法。1週間に1回の頻度で打ち、徐々に期間を空けながら2~3年ほど続ける。
治療を終えてかなうこと
くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなど基本的な症状の緩和や薬の減量が期待できる。受験生は勉強や入試にアレルギー症状なく取り組める、女性は妊娠中の投薬をなくすことができるなど生活の質向上もかなう。
治療の開始時期に注意
花粉飛散中は治療を開始することはできない。鹿児島ではオフシーズンである7~12月が適切な開始時期なので、治療を考える時は計画的に主治医に相談しよう。
治療の注意点
約8割の人に症状の軽減がみられるが、効果は人それぞれで必ず根治するわけではないという理解が必要。口内炎、口腔内の腫れ、喉のかゆみなどの副反応が出る場合もある。
- 一般的な治療法
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①:投薬治療
症状により内服薬、漢方、点鼻薬を処方し、医院で鼻からの吸入などを行う。点眼薬で目の症状を抑えると、鼻の症状も軽くなるので同時に処方されることが多い。
②:手術療法
くしゃみや鼻水に関係する神経を切断することで症状を軽くする手術。入院が必要で、一般的には成人してから行う。鼻づまりや鼻汁が出るなど、症状により術式は異なる。
教えてくれたのは

ませだ耳鼻咽喉科
院長:間世田佳子先生
📢ライフスタイルに合わせて最適な治療を見つけましょう。
ませだ耳鼻咽喉科
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体の中から花粉症を和らげよう
生活の中で症状を和らげるための工夫を、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などに詳しい口腔外科医・伊藤道一郎先生(東京・番町オーラルサージャリー&スキャニング院長)に教えてもらいました。
疲れをためないことが第一
アレルギー症状の要因の一つに、免疫力の低下がある。伊藤先生は「ストレスや疲れが蓄積すると免疫力が低下し、普段は出ないような症状が出てしまう」と指摘。休息をとり、疲れをためないように意識して。
腸内環境を整えよう
腸内環境を整えることは免疫力アップにつながる。食事については旬のものや和食を取り入れ、玄米や納豆、食物繊維が豊富な食材を積極的に食べよう。
Pick UP
ナタマメ
ナタマメって?
鹿児島は一大産地。なかでも鹿児島市吉田~姶良市蒲生で盛んだ。若さやを漬物に、実は健康茶や歯磨き粉に加工される。
さやは50~60cmで「ジャックと豆の木」のモデルになったのではといわれるほど、短期間に成長する。一度上へ伸びたつるが、また下へ戻ることから、旅人の無事を願う縁起物とされてきた。

健康茶や歯磨き粉に加工されるナタマメ
花粉症の症状緩和に期待!
伊藤先生はナタマメの成分に注目する。「ナタマメに含まれるカナバニンには抗炎症・排膿作用があり、アレルギー症状を和らげるのにつながりそうだ」と話す。特に期待を寄せるのは、免疫機能の改善が認められている「コンカナバリンA」という物質。「免疫力が高まれば、侵入したアレルゲンを外へ追い出しやすくなる」と指摘する。

副鼻腔炎や歯周病、痔、腎臓病などの改善に研究が進んでいる
「普段のお茶代わりにナタマメのお茶を継続して飲むのがおすすめ」と伊藤先生。ナタマメの生産や効果効能の研究に力を入れるヨシトメ産業(鹿児島市)の吉留嵩社長は「香ばしい味わいで食事にもぴったり。ノンカフェインなので家族で飲んでほしい」と話している。
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