
島に観光客がぐっと少なくなる晩秋、宿泊施設も土産物屋ものんびりモード。かくいう当店でも、オフシーズンに合わせ、コーヒー豆の出張販売をはじめました。出張先は、島で最も人口の多い集落、宮之浦。貨物船や旅客船が発着する宮之浦港を抱え、飲食店や宿泊施設も建ち並んでいます。
ここに昨年オープンした「椿商店」が出張の舞台。九州産を中心とした自然食品と雑貨のお店です。
旅の方にこの店を薦めるのは、意外かもしれませんが、屋久島産、屋久島製のからだにやさしい商品も取り揃えていて、ギフト用にかわいいラッピングまで施してくれるのです。無農薬のお茶や紅茶やハーブティー、塩やポン菓子やジンジャーシロップ、島産クスノキのエッセンシャルオイルや山桜のカトラリー、ススキのほうきなんて道具まで。
靴を脱いで遊べるキッズコーナーも設けられているので、子連れでもゆっくり品物を吟味できます。
何より魅力は、店主自ら採取したニホンミツバチの蜂蜜。自作の蜂箱に野生のミツバチを招き入れ、あの手この手で数カ月居心地よく過ごしてもらい、蜜がたまったら一部分けてもらう。一般的な養蜂に使われるセイヨウミツバチとは比べ物にならないほど、採れる蜜の量も少なく、手もかかる、とても貴重な蜂蜜なのです。
季節ごとに咲く花々によって味も色も異なるので、いくつか買って、舐め比べても楽しいかもしれません。
蜂の巣を溶かして漉した蜜蝋やクリームも販売しているので、木の道具とセットで贈り物にすることも可能です。
屋久島というと、長い年月をかけて大きく成長する屋久杉や、苔むす森のイメージを抱く方も多いかもしれませんが、もうひとつの主役が海岸沿いに広がる照葉樹の森。
椿に代表されるように、葉っぱの表面がキューティクルに被われ、文字通り光を反射して輝く照葉樹の森がニホンミツバチの蜜源です。色や音、香りや頬をなでる風の感触で森を楽しんだあとは、舌の上で森の恵みをじっくり味わう。小瓶に詰まった金色の液体もまた、森のもうひとつの姿なのです。
椿商店
- 屋久島町宮之浦2446-12[MAP]
- TEL.0997-42-1355
- 営:11:00~18:00
- 休:月/火(一湊珈琲焙煎所の出張は毎月第4水曜日を予定)